勇者よ、唱和せよ(The Key to Twilight)

2021年9月16日木曜日

★グリフィンと欠落の姉妹編 マジカル後継者世帯

t f B! P L
こんにちはー。

本日は、また「グリフィンと欠落の姉妹編」ですー。

グリフィンの旧友であり、謎の症状により幼児の姿になってしまった女性イナは、グリフィンに「行方不明になった息子・トリー坊や」の捜索を依頼しています。グリフィンは持ち前の粘り強さを発揮して、トリーの消息を追い続けました。

その結果得られたのは「ストレンジャービル近郊の宿場で、人や動物が次々に行方不明になっている」という異様な事実。人びとはその現象を【消滅事件】と呼んでいるというのです。

この事件について知らされたイナの不安は、深まるばかり。今回は、グリフィンが報告を終え、病室を辞したあとの「イナ・ポートランドの動向」を追いかけます。

……それでは、本日もまいりましょう!
(今回も、やっぱり長めです……!)



その晩、イナ・ポートランドはまんじりとも出来ませんでした。昼間、グリフィンがもたらした【奇妙な情報】が、彼女に不安を与えていました。


イナ「ワットさんの運転する車は、トリーを乗せて……その、本当に消えてしまった……ってこと?」

グリフィン「確かに、事実を並列するとそう聞こえる。だが、ただ並列しただけだ。それぞれは別個の事件で、横の繋がりはないかもしれない。まだ何もわからない」



グリフィンは冷静であり慎重でもあり、トリー坊やの行方を無責任に推測するような真似はしませんでした。けれど、何人もの住人が【消滅】した話を持ち出して、トリーの話と【並列】したのも事実でした。

イナ(……あんなふうに言われたら、トリーも煙みたいに消えてしまったんじゃないかって、あるいは得体の知れないブラックホールに飲み込まれてしまったんじゃないかって、あたしはそう思ってしまう。グリフィン、あたしはあんたみたいに論理的に考えられないから)

居ても立ってもいられないような心持ちで、イナはパタパタと手足を動かしました。

イナ(グリフィンとあたしじゃ、性格が違い過ぎるんだ)

それを認めてしまうと、深い孤独を感じました。彼と自分との間に、埋めがたい断絶があるように思われたのです。

イナ(グリフィンにばかり頼るんじゃなくて、あたしも自分でトリーを捜しに行けたらいいのに。トリーと……それから、ワットさんもかな。ケンカ別れをしたけれど、消滅してほしいなんて願ってはいなかった)

そこまで考えて、彼女は重苦しいため息をつきました。


イナ(……なんということだろう。グリフィンはあんなに良くしてくれるのに、あたしはそれをうしろ足で蹴飛ばして、自分で歩き出したいと考えてる。自分の家族を、自分の力で取り戻したいと考えはじめてる。なんて恩知らずで、傲慢な女なんだろう

イナ(でも、焦りを抑えられないんだから仕方ないと思う。トリー……。消滅してしまうって、どういうこと?水蒸気のように、蒸発してしまうの?)

彼女はブルッとふるえました。


イナ(捜しに行きたい。この病室の壁をぶち壊して、修復不能な大穴を開けて、そこから這い出してでも捜しに行きたい

イナ(ヒーローみたいな友達に頼るだけじゃなくて、お姫様みたいに尽くされるだけじゃなくて、どうしたって自分で立たなきゃいけないんだ。あたしは誰?忘れないで、あたしはイナ・ポートランド。いつかずっと昔、路地裏の野良犬のように生きたいと思ってた)

彼女は小さなこぶしを握り、


イナ「……かつては、痛みを恐れなかった。鼻の曲がる腐臭の気配があっても、目を塞ぎたくなる事実が待つとしても、この自分自身で確かめたいと願ってた」

口に出して呟きました。

???「抜け出せばいいではないか。壁を壊し、修復不能な大穴を開けて

イナ「!?」


いつのまに入ってきたのか、暗がりにフードをかぶった見知らぬ男が立っていました。

イナ「……誰?夜中の巡回は、一時間も先でしょ?……ううん

眉間にキュッと皺を寄せて、イナはベッドから飛び降りました。そして、次のように事実を突きつけました。


イナ「壁を壊して抜け出したい、あたしは確かにそう思った。だけど、それを口に出して言ってはいなかった。あたしが声に出したのは【かつては痛みを恐れなかった】のほう。あんたは誰。あたしの心の声を聴いたというの?」

男は顎を引き、くぐもった笑い声を洩らしました。

フードの男「願うか?

イナ「何を」

???「そなたの愛息子をみずからの目で見つけ出したいと、そなたは本当にそう願うのか?」

この男、どこまで知っているのだろう。イナは真っ先にそう思いましたが、それよりも彼女一流の衝動が、烈しく頭をもたげてきました。

イナ「願う!あたしはトリーを捜したい。他でもない、自分の力で。あの子が得体の知れないブラックホールに飲みこまれていたとしても、その手を掴んで引きずり出したい!」

ハッキリした声で、彼女は本心を告げました。

男は満足そうに頷いて、黒装束に包まれた腕をひと振りしました。
途端に、病室の片隅に一枚の鏡が現れました。


イナ(…………!この男、魔法使いだ。グリフィンと同じ。でもグリフィンは、あたしの部屋で魔法を使うような傍若無人なことはしなかった)


フードの男「鏡は扉だ。ここに飛び込み、通り抜ければ、堅固な牢獄の外に出られる。自由の身となり、どこへでも行ける」

イナ「そんなことを言って、その鏡に入ったら、あたしもトリーのように消えてしまうってことは無い?」

イナは唇の端を吊り上げ、不敵に言い返します。妙な鏡を見せられて「ああそうですか」と納得するほど素直ではありませんでした。

フードの男「そなたも消滅するとなれば、それはそれで好都合だろう。そなたもまた、消え去った息子のいる場所にたどり着けるかもしれぬ。それとも、そなたは別の物語を信じているのか?そなたの息子があとかたもなく消滅し、今はもうどこにもいないのだと」

イナ「いいえ!

恐怖をかき消すように、彼女は昂然と叫びました。

イナ「……オーケー。行くわ」


イナは注意深く、鏡に歩み寄りました。

そっと手を触れてみると鏡の表面が溶解し、イナの指は鏡面の向こうへと突き抜けました。向こうがどうなっているかは見えませんが、ひんやりとして気持ちがいい。真夏の木陰で、池に手をひたした時のような感じでした。

ひと呼吸おいて、彼女は鏡のなかへ飛び込みました。
イナ・ポートランドの身体は、こうして病室から消え去りました。


フードの男「…………」

あとには、フードをかぶった男だけが残され、


フードの男「聴こえているか、黄昏の男(トワイライト)

男の声は歪みながら、不自然に反響して拡がります。

フード「おまえの友が立ち上がるぞ



グリフィン「…………!?

グリフィン・トワイライトは、弾かれたように目を醒ましました。

一日が終わり、彼はすっかり疲れて眠りこんでいたのです。それがとつぜん、つめたい刷毛で背筋を撫でられたように感じました。


ロイヤル「え……どうした?」

グリフィンが機械仕掛けのように跳ね起きたので、彼の弟が面食らった声を出しました。

グリフィン「…………。何かがカギをこじ開けた」

ロイヤル「は?」


グリフィン「わからない。だが呼ばれた。カギをこじ開け、悪意あるモノがやってきた

目の前の弟に対してではなく……彼は確かな敵意を持って言い切りました。その瞳のまわりには……彼自身の魔力が、見たこともないほど強く、青白く結晶していました……!

つづきます!


Thanks to all MOD/CC creators!
And I love Sims!

web拍手 by FC2

にほんブログ村 ゲームブログ ザ・シムズシリーズへ
にほんブログ村

このブログ内を検索

アーカイブ

ラベル

【Terms of Use】 (1) 【あの時ハナシの裏側で】 (4) 【ある日どこかで】 (106) 【サブデータ】 (5) 【プレイ日記】 (88) 【プレイ日記2020】 (157) 【プレイ日記2021】 (28) 【プレイ日記2022】 (16) 【プレイ日記2023】 (33) 【プレイ日記2024】 (24) 【プレイ日記2025】 (13) 【プレイ日記2026】 (2) 【配布物】 (69) 【物語のカケラ】 (26) 【夢想編】 (11) ★ガレ編 (14) ★グリフィンと欠落の姉妹編 (81) ★サンマイシューノの兄弟編 (6) ★ヨルの秘密編 (7) ★ロイヤルと裸足の魔女編 (88) ★幕間きみはここに (14) 31の質問 (1) 31の質問回答編 (2) Britechester (12) CASの話 (36) CC作成メモ (32) MODメモ (34) POSEメモ(自作) (6) POSE置場(自作) (50) SS撮影 (111) StrangerVille (23) いろいろな世帯 (23) ヴァトーレ家 (9) ウィンター家 (21) エンバー家と縁者たち (7) おじガール世帯 (11) カー家 (95) チョン家 (9) ドレス少年世帯 (20) ナカマたちの世帯 (2) バルクリ家 (8) フォーン家 (2) フォーン家(A) (25) フォーン家(B) (22) プレシャス・トゥ・ヒロインズ (37) ベーア家 (60) マジカル後継者世帯 (348) マジカル旅人世帯 (47) マジック賢者世帯 (10) ミナキ家(子) (146) ミナキ家(親) (17) 過去編 (14) 閑話 (49) 御挨拶 (1) 登場人物 (16) 未分類 (24) 目次 (2) 旅人チガヤの二万マイル (2)

シム人気投票やってます

QooQ