すっかり遅くなってしまいました。
本日は、また「グリフィンと欠落の姉妹編」ですー。
(あ。異様に時間が掛かったのは、忘れてた訳でもプレイヤーがこのシリーズに飽きた訳でもなく、挿絵SSのために準備しなきゃいけない物が多かったのと、作業がめちゃめちゃ遅かったのが原因でございます……)
さて!
前回は、失踪した姉・イナを待ち続けるポートランド姉妹の様子を追いかけました。今回は、またグリフィンの動向に視点を戻します。三歳児の姿になってしまったイナを訪ね、物言わぬ彼女に日々語りかけるグリフィン・トワイライト。彼の献身が実を結ぶ日は来るのでしょうか……?
それでは、本日もまいりましょう!
*
グリフィンの【小さなイナを見舞う生活】は続いていました。
ある日、彼がIDカードを使って病室に入っていくと、意外な先客がありました。施設の受付担当であるファニー・ガヴォットが、イナの身支度を整えていたのです。
グリフィン「すまない。待つ」
回れ右して部屋を出て行こうとするグリフィンに、ガヴォットは笑って言いました。
ガヴォット「いいんですよ。お着替え、もう終わりましたから。ふふ、このスモック、可愛いでしょう?……お嬢ちゃん、今日も王子様が来てくれましたよ?」
イナ「…………」
グリフィン(…………。立ってる)
ガヴォットによって抱き上げられ、ぽんと床に下ろされたイナを見て、グリフィンは【間が抜けているかもしれないが、奇妙に新鮮な感想】を持ちました。グリフィンが見ている前では、小さなイナはベッドの上で座っているばかりだったので、彼女がその足で立つ姿を思い浮かべたことがなかったのです。
グリフィン「あなたが彼女を看てるとは知らなかった」
小さなイナから目を離して、彼は仕事仲間に言いました。
ガヴォット「わたしも恐らく、あなたと同じ。マルボロ少尉に引き込まれたうちのひとりですよ。お互い、苦労人ということです。まぁなんにせよ、仕事を任されるのは良いことですね?」
彼女はさっぱりとそう言って、
ガヴォット「今日のプログラムはお庭で、と聞いてます。呼出機をお渡しするので、この機器が鳴ったら彼女を連れて部屋に戻ってきてください。それで面会終了です」
グリフィン「わかった」
ガヴォットに見送られ、小さなイナの手を引いて……グリフィンは、施設の庭に出ました。柔らかく小さな手を握って歩く、という行動は、彼に不思議な居心地の悪さをもたらしました。
たとえば遙か昔、弟の手を引いて森を歩いていたことを、彼は錆びついた蓋の下から思い出しました。
グリフィン「…………」
グリフィン「外に出るのは久しぶりか」
たやすく感傷を手放して、彼は淡々と尋ねました。
イナ「…………」
グリフィン「…………」
イナ「…………」
彼は、世間話は苦手でした。
グリフィン「…………。変わった物を持ってきた。あなたが気に入るかどうかはわからないが、気分を変えるにはいいと思う」
彼がとりだしたのは、鳥の模型でした。
グリフィン「見ててくれ」
イナ「…………」
気がつくと……
向こうのほうにムーアが立っていて、グリフィンとイナを観察しています。
グリフィン「…………」
ムーア「うんにゃ、続けてくれ。おれのことは煉瓦塀の一部だと思って」
グリフィン「おれの監視か」
ムーア「こっちも給料の分は働かにゃならんワケよ。おれだって時には、まともなこと言うぜ?」
グリフィン「……おまえの自由だ」
グリフィンはその後も鳥を飛ばしてみせ、それを拾ってはまた飛ばして、イナから反応を引き出そうとしました。
ムーア「その鳥、変な軌道で飛ぶな。まるで生きてるみたいだ。おまえの魔法なんだろ?……そういうの見ると、おまえが魔法使いだって信じる気になるよ」
【自分を煉瓦塀として扱え】と言っておきながら、煉瓦塀が口を開いて尋ねました。
グリフィン「魔法石を動力源とした、単純なからくりだ。おれが直接、魔法を使ってる訳じゃない」
ムーア「そのふたつの違いがわからねぇよ。どっちも魔法には変わりないだろ?」
グリフィン「説明は長くなる。おまえが望むなら……」
ムーア「あー。じゃ、いいや」
ふたりの男が漠然と会話を続けている横で……
鳥を見上げるイナの表情が変わりました。
はたり、はたりと、優雅に手を動かします。
それは、あるいは翼のように。
小さなイナの魂が今、動き出そうとしています……。
つづきます!
*
今回お借りしたポーズ
SS4~5枚目(幼児期のグリフィンとロイヤル)のポーズは、
よりお借りしております。いつもありがとうございます。
Thanks to all MOD/CC creators!
And I love Sims!
(その他のポーズは、自作です……)
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