やわらかな鳥籠

2021年5月13日木曜日

★グリフィンと欠落の姉妹編 マジカル後継者世帯

t f B! P L
こんにちはー。

本日は、また「グリフィンと欠落の姉妹編」ですー。

グリフィンの働きかけによって(?)イナ・ポートランドは魂を取り戻しました。しかし、その日を境に、彼女への面会申請は却下されるようになりました。イナは上層部からの尋問に晒されているのか?それとも、彼女の容体が悪化したのか?情報の乏しいなか、想像を巡らせるグリフィンの許に「ついに、面会の許可が下りた」という知らせがもたらされ、彼は病室に急行します……。

それでは、本日もまいりましょう!



グリフィン・トワイライトが病室に入っていくと、イナは既に身を起こしていました。

顔色はそれほど悪くない……ちらりと振り向いたイナを見て、まずグリフィンが思ったことがそれでした。その事実は、彼を少しばかり安心させました。

イナ「【オオカミと踊り子】は、初日から三日で打ち切りになった

グリフィン「…………?」

小首を傾げて続きを待つグリフィンに(首を傾げるのは、彼のクセのひとつでした)イナ・ポートランドは口を歪めて、大人びた表情をしました。


イナ「心配しないで。また心を閉ざしたワケじゃない」

グリフィン「……それは、気配でわかる」

イナ「【オオカミと踊り子】は、あたしが最後に立った舞台のタイトルだよ」

グリフィン「……あぁ」

得心が行ったと、グリフィンの頷き。こんなに小さな姿でありながら、まったく大人のように話すイナを見るのは、彼にとっても不思議な体験です。そんな彼の心のなかを、あの邸宅でイナの妹……アーモンドが歌っていた民謡が、ふいに通り過ぎてゆきました。


アーモンド「踊る娘はさらわれたー、踊る娘はさらわれたー、オオカミにキスをされたのさ、ふたりは遠い霧のなか……」


イナ「【オオカミと踊り子】は、あたしが最後に立った舞台……そう、最後に」

ベッドのうえの小さなイナが、話を戻しました。

イナ「身体が小さくなってしまったために、あたしは舞台を務めることが出来なくなった。やらせてくださいと言ったけど【こんな姿のダンサーを、お客様にお見せするワケにはいかない】……それが、プロデューサーの判断だった」

イナ「【それにイナ、衣裳をどうするつもりだね?】演出家は言った。【子供のサイズになったきみのために、今から衣裳を作り直せと?そんな時間はないんだよ】……その通りだと、あたしも思った」


イナ「……自分が許せない。あたしは舞台に穴をあけるどころか、公演そのものを台無しにした。失格だよ」

イナの声は低くくぐもり、彼女は自分の殻に閉じこもってゆきました。


グリフィン「……目を醒ましたあなたが、尋問を受けてるのではないかと懸念してた」

彼は慰めを口にするよりも、すぐそこにあるかもしれない危険について尋ねることを選びました。心を痛めていようと何だろうと、それがグリフィンという男でした。

イナ「尋問っていうか、研究者みたいな人にいろいろ訊かれたよ」


イナ「毎日毎日聴き取りで、正直気がへんになりそうだった。出身地や職業に始まって、いつどこで何をしたかとか、何を食べたとか。【きみの身体が小さくなったキッカケについて、何か心当たりはないのかい】……ハッ!そんなの、あたしが訊きたいよ」

イナ「あたし、頭がハッキリして自分が塀のなかにいるって気づいた時、警察に捕まったと思ったんだ。でも、ここはそれより【やばい】場所だね。血液検査、MRI、あとなんだかわからない機械とか……検査・検査・検査で、イヤになるよ」

話を続けているうちに、彼女はふつふつと怒りが湧いてきたようでした。それで、とにかくフッと息を吐いて、気持ちを切り替えました。


イナ「あんたは、聴いてくれるんだね」

グリフィン「…………?」

イナ「あたしの話を聴いてくれる。それが、どうしようもない愚痴でもさ。あたしはあんたに、あんなに怒ったっていうのに。……てっきり、あんたもあたしに腹を立ててると思ってた」


グリフィン「怒ってない」

イナ「うん。まぁ、見ればわかるよ。……まったく、頼んでもいないのにあたしを揺さぶり起こして、余計なことをしてくれたとは思うけど。……いろいろ、あんたらしかった」

グリフィン「あれから、身体を壊してはいなかったか」


イナ「そんなには。……この通り、元から【ぶっ壊れてる】ようなモンだしね。まさかあんた、ずっと気にかけてくれてたんじゃないだろうね?」

グリフィン「……おれが、あなたの絶望を深めた」

質問に答える代わりに、グリフィンは率直に認めました。


イナはいくらか具合の悪さを感じたらしく、横を向いて言いました。


イナ「あんたが責任を感じる必要はないよ。あたしが言ったことなら、気にしないで。あたし気が高ぶると、時々自分でも手が付けられなくなるの。あんたも知ってるでしょ?」

グリフィン「…………」

イナ「……それで、本当に訊きたいことは何?」

グリフィン「?」

イナ「知ってるよ。あんたも、このシセツの職員だか関係者だかなんでしょ?あたしに近づいて、何か情報を引き出せ……エライ人に、そう言われたんじゃないの?」

心の距離が近づき、友人同士に戻ったような気がしたのは錯覚で……目の前にいるはずのイナは、急速に遠ざかってゆきました……。


つづきます!


今回お借りしたポーズ

SS3枚目(ネモフィラとアーモンド)のポーズは、
Miiko 様
よりお借りしました。いつもありがとうございます。

Thanks to all MOD/CC creators!

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