本日は、また「グリフィンと欠落の姉妹編」ですー。
グリフィンは、イナ・ポートランドから大切な役目を預かりました。イナの行方不明となった息子・トリーの足取りを追うという大役です。イナのために心を砕き「手がかりのない人捜し」へと足を踏み入れることになったグリフィン。
その姿は、彼の「身近な者たち」の目には、どう映っていたのでしょうか……?今回は視点を変え、グリフィンの異母弟・ロイヤルの行動を追ってみます。
それでは、本日もまいりましょう!
(今回はいつもより長く、画像も多いです。重くて申し訳ないです……!)
*
ロイヤル・バーンウッドには、不満がありました。
彼には二歳上の兄がいて、名をグリフィンと言います。
一族の子供の例にもれず、兄もまた、古い森で生まれました。兄がほかの子供と違っていたのは、生まれつきその身に強大な魔力を秘め、また鋼のような意志の強さを持ち合わせていたことです。そのうえ彼は、並外れて聡明ときていました。
正真正銘、兄は「一族でもっとも優れた子供」であり、長い間ロイヤルの憧れでもありました。
その兄が、近ごろロイヤルと口を利いてくれません。たとえばおうちのなかに、兄弟ふたりしかいない時でさえ。森の奥で育った子供時代も、長い旅をしていた頃も、こんなことは今までありませんでした。
ええ、そう。ロイヤルの不満の源がコレでした。だって、いくらなんでも不自然でしょう。この間の金曜日などは、おなじ屋根の下で十五時間、兄弟で顔を突き合わせていた訳です。だのに、その間に話したのが、
ロイヤル「ハンドソープの詰め替え、どこ?」
グリフィン「下の棚だ」
このひと言だけだったなんて!
しかも兄は、詰め替えを「下の棚」の何段目にしまい込んだのか言いませんでした。おかげでロイヤルは、十三分にわたって棚をガサゴソやる羽目になったのです。
もっとも、兄は普段から口数の多いほうではありません。仕事が休みの日には、本を読んでいるか……
星を見上げているかのどちらかです。
それでも、ロイヤルが話しかければ(それがどんなに取るに足らないことであっても)律義に答えてくれるのが、兄でした。
ところがこの数日、兄はひどく研ぎ澄まされていて、会話というものを疎かにします。
ロイヤルが話しかけても、無言のまま地図アプリを睨んでいたり……
コンピューターで調べものに没頭していたりします。
それどころか、仕事が休みであるはずの月曜にまで、職場に顔を出しに行く始末です。(グリフィンは軍の施設で、清掃の仕事をしていました)ロイヤルが訝しく思うのも、無理のないことでした。
はじめのうちロイヤルは、兄が何か怒っていて、自分と話してくれないのかと思っていました。しかし直截的な性格である兄が、そんなまわりくどい当てつけを選ぶとは思えません。
ロイヤル(文句があるなら、おれにハッキリ言うはずだ)
ロイヤルは、そう結論づけました。
とにかくロイヤルは「兄が目の前にいるのに、兄の心が別のところにある」のがイヤでした。もっと正確に言えば、不安でした。
ロイヤル(もしコレが、屋敷の執務が送られてきて、それに忙殺されてる……っていうなら、仕方ないって思う。グリフィンはもう、当主になったんだから。でも今のグリフィンは、何と格闘してるのか教えてくれないんだ。そりゃ、グリフィンにはグリフィンの自由があるけどさ)
ロイヤル(だけどやっぱり、何をしてるのかっていうことくらい、教えてくれてもいいんじゃないか?仕事で問題があったのか?それとも、もしかして次の請求書が払えないのか?万が一、何か悩んでるなら……それこそ、打ち明けてくれたっていいんじゃないだろうか。おれは相談相手として選ばれないほど、頼りにならない兄弟なのか?)
持ち前の【何事も突き詰めて考えてしまう、純粋な心】は猛威を振るい、ロイヤルはひとり、堂々巡りを繰り返していました。
そんなある日、グリフィンとロイヤルのおうちにお客さんがやってきました。
箒に乗った魔女「こんにちはー!郵便ですよー?」
ロイヤル「ユーリエ?……びっくりした。ほんとに郵便屋さんが来たのかと思ったよ」
グリフィンやロイヤルの一族に名を連ねる娘……手紙や小包を持って【魔力の森】から各地へと飛びまわる、ユーリエ・ロックフォレストです。
ユーリエ「ロイヤル様、こんにちは!……やだなぁ、あたしはほんとに【一族みんなの郵便屋さん】ですよ?……はいコレ、今日のお渡し分です。差出人は珍しく、長老様方の連名です!」
ロイヤル「ぅわ、重い……。あれ、ユーリエもう帰るのか?お茶くらい飲んでいけばいいのに」
ユーリエ「あはは、お気持ちだけ頂きますよ。あたし、これから都市の居住区にもお届け物があるんです。それじゃ、ごきげんようロイヤル様!グリフィン様にもよろしくね!」
受け取った荷物を、ロイヤルはテーブルに置きました。
ロイヤル「…………」
ロイヤル「グリフィン」
グリフィン「ああ」
返事は早いが、ロイヤルに関心がある訳ではない。相変わらず画面に没頭していることは、明らかです。
ロイヤル「今、ユーリエが来た。長老様方からの届け物だって。ユーリエ自身は、すぐ帰ったけど」
グリフィン「そうか、開封してくれ」
振り向きもしません。
ロイヤル「……おれが、届け物を?宛名はグリフィンだぞ?」
グリフィン「構わない。今数式をやってて、手が離せない」
ロイヤル「…………」
ロイヤルはムスッとして、言われた通りにしました。
ロイヤル「…………。グリフィン」
硬い声。
さすがのグリフィンも異変に気づき、振り返って言いました。
グリフィン「……怒ったのか。おまえの話を聴く。おまえを邪魔だと思った訳じゃない」
兄の言葉を、ロイヤルは切り落とすように遮りました。
ロイヤル「見合い話だ。グリフィンに、花嫁の写真が送りつけられてる」
グリフィン「…………」
グリフィン・トワイライトは、驚きを見せませんでした。その瞳は冷え切って青みを増し、何の感情もあらわしてはいませんでした……
つづきます!
*
今回お借りしたアクセサリー
グリフィンの文庫本(SS4枚目)
グリフィンのiPhone(SS7枚目)
ユーリエの箒(SS11枚目)
以上のアクセサリーは、
新生まるきぶねスローライフ 様 裏オカンシムズ 様
よりお借りしております。いつもありがとうございます。
Thanks to all MOD/CC creators!
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