責務と衝動(Keep your back straight)

2021年6月21日月曜日

★グリフィンと欠落の姉妹編 マジカル後継者世帯

t f B! P L
こんにちはー。

相変わらず投稿間隔が大幅にあいたまま……
本日は、また「グリフィンと欠落の姉妹編」ですー。

限られた面会時間で対話を続けるなか、イナはついに重要な事実を告白しました。彼女が結婚していたこと、彼女に小さな息子がいたこと、彼女が息子と生き別れていたこと。グリフィンは、彼女と自分の季節がまたひとつ終わったことを自覚します。そして彼女の言葉をきっかけに、彼の胸には、これまでと別の想いが根づいていました……

それでは、本日もまいりましょう!



イナの息子……二歳になるトリーの物語は、グリフィンに、グリフィン自身の子供時代を思い起こさせました。

今となっては、一族内ののっぴきならない問題と格闘し、彼らの代表として矢面に立っているグリフィンです。けれども、その少年時代は【一族によって追いやられ、森の奥に閉じ込められて過ごした】という日々でした。

彼自身が、そういった子供時代を思い出すことは稀(まれ)でした。


イナ「……どうしたの、グリフィン?疲れた?」

窺うようなイナの声が、彼を現実に引き戻しました。


グリフィン「違う」

イナ「そう……?いつもいつも、あたしばっかりウワゴトみたいに喋ってるし、今日はとくにつまんない話だったと思うから……あんたを疲れさせちゃったかと思った」


いつのまにか、イナの姿は幼児のものに戻っています。ふたりは白い病室で、いつものように向かい合っています。

グリフィン「そんなことはない、聴けてよかった。ありがとう」

最近のイナは、ときおりグリフィンに対するいたわりのようなものを見せることがありました。それは、目醒めたあとの彼女が短い期間のうちに見せた【もっとも顕著な変化】でした。


グリフィン「……これでひとつ、やるべきことが出来た。あなたと別れたあとでトリーがどこに消えたのか、彼が今満足な生活を送れているか、それを調べなければならないと思う。最優先だ。必要なら、児童福祉課の出番だ」


彼の言葉に、イナは花曇りのようなほほえみを浮かべて、

イナ「うん……でも、トリーはきっと大丈夫なんだよ。ワットさんはあたしに対して冷淡だったけど、息子のことは溺愛してたから。あたしと一緒だった時よりも、幸せな暮らしをしてるかもね?……はは」

グリフィン「調べてみなければわからない。あなたとトリーが別れてから、それなりに時間が流れてる。足跡(そくせき)を追うのは困難だと思うが、無理ではない」

イナ「……あんた、もしかして怒ってる?こんな大事なことを黙ってたなんて、イナはなんと愚かな女だろうって、あたしのことをそう思ってる?」

グリフィン「おれは何も言ってない」

反論ではなくただの事実として、彼はそう言いました。

イナ「あたしがトリーのことを黙ってて、その話題を舌の上に載せようとも思わなかったのは……、それは……。あたしのために親身になってくれて、あたしを綺麗な少女みたいに扱ってくれるあんたを見てたら、あたしが子供を持ってるなんて言いにくかったんだよ」

グリフィン「…………」

イナ「……ううん、違う、違う……その言い方は【甘え】だ。……あたしはただ、言いたくなかったんだよ。あの頃の曇りのなさを抱いたまま大人になったあんたを前にしていると、あたしも……まだ汚れ(けがれ)を知らなかった頃の自分に戻れるような気がした。この白い部屋で、あんたと話している間だけは」


グリフィン「だが、現実は降ってくる」

指差して追い詰めるかのようにモノを言うグリフィンが、戻りつつあります。

イナ「そう、現実は降ってくる。……やっぱりあたしは、母親失格だな。今トリーがどうしているか、あの子は無事に過ごしているかっていう、抜き差しならない問題から目を逸らしたかった。ほかでもない【あたしのために】目を逸らしたかった。でも、正しく歩まなきゃいけないと思う」

グリフィン「その意気だ」


イナ「グリフィン、あらためてお願いがあるの。あんたからこのシセツのエライ人に頼むのでも、他の方法でも構わない。あたし【本当は】トリーが今どこにいて、どんなふうに暮らしてるのか知りたい。それを調べてほしい。あたしが本当の意味で頼りにできるのはあんたしかいないし、雲をつかむような話だと思うけど」

グリフィン「やってみる。それと、恐らくあなたが勘違いしてることが、ひとつある。トリーは今もあなたを捜してて、待ってると思う。何の関係もないおれが言うのは差し出がましいが、おれの理解は正しいはずだ」

イナ「まさか」

鼻で笑ったイナは、寂しげでした。


グリフィン「あなたが息子を棄てた母親だったということと、あなたの息子があなたを求めるということは、因果関係がないままに両立する。それが真実だと思う」

イナ「うん……?」


グリフィンの言い方は理解しづらく、しかも理解してみれば、イナにとって残酷な響きを帯びていました。それでも、イナは怒りませんでした。彼が何か重要なことを言おうとしていると、気づいたのです。

イナ「…………」


結局、グリフィンはそれ以上のヒントを与えませんでした。

グリフィン「とりあえず、おれは一度退室して、この話を上に持っていく。面会の様子はすべて録画されているから、いちいち報告する手間が省けて良い」

グリフィン「上の方針が出たら、おれはそれをあなたに伝えるため、今日じゅうにここに戻ってくる。おれのほうから申請するとハネられるから、おれが退室したらすぐ、あなたのほうから面会申請をもう一本出してくれ。他にも、手立ては考える。時間をくれ」

イナ「わかった、待ってる。またね、グリフィン」


またね、グリフィン……。

それは、少年時代によく聞いた……けれども再会してからは初めての、イナ・ポートランドの言葉でした。

……つづきます!


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