本日は、また「グリフィンと欠落の姉妹編」ですー。
いやはや、なんかもう、大変に間があいてしまいまして申し訳ないです。カミナリが来ないように、天に向かって踊りを捧げたほうがいいんだろうか……それはともかく!
ロイヤル・バーンウッドはまたひとつ兄を理解し、兄の人生を憶えていようと心に決めました。それは、永劫ロイヤルを縛ることになる誓いでした。そして月は沈み、新しい太陽が昇ります……
それでは、本日もまいりましょう!
*
ロイヤルの熱は、朝にはすっかり下がりました。
目を醒ました時、ロイヤルの身体はいつになく軽く、頭もスッキリしていました。いつものように地下水を汲もうと、ロイヤルは下におりてゆきました。
ロイヤル「……あ」
グリフィンはまだ、地下室の机の前にいて、昨夜から着替えた様子もありませんでした。
ロイヤル「おはよ、グリフィン」
心を決め、ロイヤルはまったく普段通りの明るい声を出しました。
グリフィン「……おはよう」
振り向いたグリフィンも、まったく普段通りの【無感動】です。それで歯車がかみ合い、兄弟の間にあった具合の悪さが消えました。ふたりにとっては、それで充分でした。
ロイヤル「徹夜?」
グリフィン「そうだ。朝になってるのを知らなかった」
もしかすると兄は、ロイヤルが倒れたことに責任を感じて眠れなかったのかもしれません。しかしそれにしては、兄の【例の調べ物】は……相変わらず、何を調べているのかロイヤルには見当もつきませんが……はかどっているように見えました。
ロイヤル「ほどほどにしろよな。何か食べたら?」
二十歳にもなって【おれのことを心配してくれたのか?】などという恥ずかしいことは訊けないと思って、ロイヤルは当たり障りなくねぎらいました。
グリフィン「……食べる。だがその前に、風呂に入って着替えたい」
この場合、グリフィンが言っているのは【シャワーを浴びたい】という意味です。グリフィンはバスタブに浸かることもシャワーも、温泉でさえも【風呂】の一語でまとめる大雑把なところがありました。
ロイヤル「たぶん、グリフィンが髪洗ってる間にシャンプーが切れるよ。詰め替えは下の棚から出してくれ」
グリフィン「わかった」
…………。
…………。
グリフィンは、あっというまにバスルームから出てきたあと……
時間をかけて、モソモソと朝食をとりました。
生まれついての少食で、どんなに食べやすいおかゆでも、この世で一番好きな食べ物であっても、なかなか食べ終わらない青年です。ただ、この日シャーロッタが工夫を凝らして用意してくれたお弁当を「とてもおいしい」と感じていることは、彼の表情からわかりました。
ロイヤル「……あれ、出かけるのか?仮眠なしで?」
兄が荷物を支度しているのを見て、ロイヤルは面食らいました。
グリフィン「職場に用事が出来た。数時間で戻る」
朝コンピューターのわきに積み上げてあった書類を、グリフィンは手際よくトランクに収めてゆきます。
ロイヤル「あ、そう。……グリフィン、帰りにマーケットに寄ったりするか?」
グリフィン「何が必要だ」
ロイヤル「段ボールを切る、でかくて丈夫なハサミ。こないだエルウィンの店で買ったハサミはダメだった。あっというまに切れなくなっちゃってさ」
グリフィン「買ってくる」
ロイヤル「あ、赤いやつな。ハサミはやっぱり、赤がイチバンだよ!」
グリフィン「……そうなのか」
その後、数分目を離した隙に……
グリフィンの姿は、家のなかから消えていました。これもまた、いつも通りのこと。職場に出かけていく時、グリフィンは決まって、誰にもその瞬間を目撃されずに姿を消すのです。
ロイヤル(……ま、いいか)
ところどころ謎のある兄を、ロイヤルは笑って許しました。
ロイヤル(何をしてるのか知らないけど、話したくなったら、おれやシャーロッタに話してくれるかもしれないしな。グリフィンはまだ【ここ】にいる。今日も帰ってくるだろう。それでいいんだ。……さて、シャーロッタが郊外の農場から戻ってくる前に、裏の掃き掃除でもしようかな?)
行く手にどんな運命が待っていようとも、とりあえず今日という日が、また始まりました。今日はシャーロッタが、新しく飼うことになったニワトリを連れてくるのです。
ロイヤル(年がら年じゅう悲観していられないよ。くたびれるし)
急速に大人になっていく少年の、それが偽らざる気持ちでした。
つづきます!
*
SS4枚目・グリフィンが持っている書類
SS13枚目・グリフィンが持っているトランク
以上のアクセサリーは、
よりお借りしております。
SS10~11枚目・グリフィンが食べているお弁当
以上のカスタムフードは、
よりお借りしております。
皆様、いつもありがとうございます。
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