本日は、また「グリフィンと欠落の姉妹編」です。
上官からの呼び出しを受け、午後一時半に出頭したグリフィン。しかし、当の上官は行方不明。軽薄な同僚・ムーアのボヤキに耳を傾け、奇妙なアンケート用紙と向かい合っているうちに、ふたたび呼び出しがかかります。
それでは、本日もまいりましょう!
(最終加筆修正:2024年4月12日)
*
時刻は、午後三時五分。
グリフィン・トワイライトは同僚とともに、上官の執務室に召喚されました。
???「待たせた。捜したか」
東方のなまりがある話し方で、上官はまず言いました。
コードネーム【マルボロ】少尉。
表向きは清掃員として働くグリフィンやムーアに、ウラの仕事をあたえる人物です。
グリフィン「そこそこ捜しました。あなたの行き先を人に尋ねただけで、とくに苦労はしてないが」
グリフィンは感動のない声で、ばか正直に答えました。
マルボロ「きみの率直さは、長所であると判断する」
少尉は鷹のように鋭い目つきをして、くそまじめに許容しました。
ムーア「……おれは捜しちゃいねぇよ。あんたが第三研究所から帰ってこなけりゃ、きょうのところはラクできそうだったのに」
このふたりにはついていけない、とムーアが疲れた顔をしています。
マルボロ「ムーア。いまさら確認するまでもないが、わたしはきみの上官である。きみの憎まれ口は、わたしへの信頼に基づくものだと理解している」
ムーア「はいはい」
マルボロ「諸君。わたしが第三研究所に出向いていたことを知っているなら、話が早い。検査結果が出た。筆跡鑑定のほうは時間がかかると思っていたが、そちらも済んでいる。グリフィン・スノウフイールが入手した【イナ・ポートランドの手紙】と【アーモンド・ポートランドの遺伝子情報】。その両方が一致を見ることになった」
なにと一致したのか。
マルボロの通告は重要な部分が抜けおちていて、理解しようがありませんでした。
それでもグリフィンには想像力があったので、内臓のあたりが暗く沈みこむような感覚を覚えました。ああ、覚悟はできていたことだ。それで、彼はむしろ感情を棄て、斬り込むように聞き返しました。
グリフィン「なにと一致したのですか」
【イナ・ポートランドとではないかと考えられていた身元不明の遺体とだ、グリフィン・スノウフイール。遺体は事実、イナ・ポートランドだった】
そういう答えがもたらされると、グリフィンは予想しました。
イナから彼女の妹たちにあてた手紙が存在すると知ったとき、イナが生存している可能性があると希望を持ったものだった。
だが【アーモンド・ポートランドの遺伝子情報と一致するモノ】が第三研究所にあると聴かされたいま、それはイナの遺体、遺体の遺伝子情報だとしか思えなかった。
マルボロは、なにも言わずに部下たちを見つめました。
グリフィン「…………」
マルボロ「見るか」
ムーア「は?」
マルボロ「すべての情報が【一致】を示した人物を」
マルボロの部下たちは機密区画の扉をくぐり抜け、
施設の最奥部まで案内されました。
こんな深部に入りこむのは、グリフィンにとっても初めてでした。
マルボロ「あの者だ」
巨大なマジックミラーになっている窓のむこうに、白い病室がある。
そこに、知らない女の子が眠っていました。
マルボロ「先月、我々が【保護】した子どもだ。昨夜、スノウフイールがもたらした【イナ・ポートランドが妹たちにあてた手紙】の筆跡は、あの子どもの筆跡と完全に一致する」
グリフィンの頭のなかに、あの手紙のうたうような文面が蘇りました。
*
時間がさかさまに流れている。
あたしはもう、あきらめなければならない。
人生のすべてを棄てて懸けた夢も、手に入れたはずの愛する者も。
ネモフィラとアーモンド、あたしのなつかしい妹たち。あんたたちにもう一度会いたかったと、いまでは思う。白い帽子はリボンをなびかせ、祭りの朝に飛び去った。あたしはここにいるけれど、二度と出会うことはないだろう。ーーイナ・P
ムーア「また、あの子どもの遺伝子情報は、アーモンド・ポートランドと【高い割合】で一致する。紹介しよう。彼女はイナ・ポートランド。現在の身長は九十五センチ。AB型。実年齢は二十二歳。……我々が正体を探っていた子どもの、それがほんとうの姿だ」
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つづきます……!
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Thanks to all MOD/CC creators!
And I love Sims!
(ポーズは、自作です……)
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