本日は、また「グリフィンと欠落の姉妹編」ですー。
グリフィンの「調査」は本人のあずかり知らぬところで役に立ち、とある「子供」の正体を暴きました。イナ・ポートランド。実年齢は、二十二歳。何かがズレはじめ、ねじ曲がっていく世界の中で、三歳児の姿になってしまった女性です。
そして彼女はまた、数年前に行方不明になった「忘れ得ぬイナ」その人でもありました。グリフィンはついに、旧友と再会を果たしたのでしょうか……?
それでは、本日もまいりましょう!
*
マルボロ「彼女こそが、イナ・ポートランド。二十二歳の、棄てられた踊り子。……我々が正体を探っていた子供の……それが、真実の姿だ」
…………。
…………。
マルボロ少尉がそう告げたあと、誰も、何も言いませんでした。
ムーア「……は?」
十秒も経ってからムーアが洩らした声が、この場の【気分】を表現していました。
あれが、あの子供がイナ……?
そんなことはあり得ない、と考えるのが当たり前です。しかし言われてみれば、あの子供はどことなく、イナ・ポートランドに似ているようにも感じられました。
もしあの子が、本当にイナだとしたら……少なくとも、彼女は死んではいない。彼女は生きて、ここにいるのです。
しかし、彼女がここにいることを容易く信じるのは【ありもしない希望】にとびついている、というだけのことではないか?グリフィンの執拗なまでの冷静さが、彼自身にそう思わせました。
グリフィン「病室の監視カメラにアクセスしたい」
唐突に、グリフィンはマルボロに頼みました。
マルボロ「何をする」
グリフィン「あの子供の顔を、よく見る。ここからでは遠くてわからない」
マルボロ「…………。わたしの監督下でなら構わない。仮発行のIDを使え」
どうしたんだよスノウフイール、という同僚の声にも応えず、グリフィンは監視カメラをズームにしました。
遠い日を共に過ごした少女の面影が、あるような、ないような……。揺るがぬ判断力に恵まれたグリフィンをもってしても、見極めるのは難しいことでした。
マルボロ「あの子を拾ったのは、このわたし自身だ。奇妙に暑かった日の午後、あの子は町の片隅に立ち尽くしていた。このストレンジャービルの街角に」
グリフィンを好きにさせておきながら、彼の上官が物語ります。
マルボロ「その時、彼女は今のような幼児の姿ではなく、もう少し年かさの子供の姿をしていた。十歳かそこらのように、わたしには見えた。信じられなければ、それで構わない。だが事実として、彼女は今より身体が大きかった」
グリフィン「…………」
ムーア「…………」
マルボロ「【どうした、迷子か】……わたしはそう言った。【親はどこにいる】……彼女は答えなかった。かわりに、こう言った」
少女「……帰りたい」
マルボロ「【どこへだ】と、わたしが問うと、彼女は答えた」
少女「……今じゃない場所、過去じゃないどこかへ」
マルボロ「ともかく、わたしは彼女を警察に連れて行くべきだと思った。迷子を助けるのは軍人の仕事ではないが、大人の義務ではあるはずだ。【わたしと一緒に警察署に行こう】……そう言うと、彼女は怯えた顔になり、野良犬のように走り去った」
マルボロ「四日後、わたしは再び彼女を見つけた。今度は、きみたちもよく知る場所……ポートランド邸の目の前で」
グリフィン「…………!?」
マルボロ「あの大通りは、わたしの出退勤のルートに入る。彼女はそこに立っていて、まるで幽霊のように見えた」
マルボロ「どうした」
少女「……帰りたい」
マルボロ「どこへだ」
少女「……今じゃないどこか、未来じゃない場所へ」
*
マルボロ「あとでわかったことだが、彼女はこうした言葉を繰り返すだけで、他のことを何ひとつ話さなかった」
つづきます……!
*
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