本日は、仕込み中のため「グリフィンと欠落の姉妹編」は、おやすみですー。
そして……
今回は、先日「前編」をお披露目させて頂いて以来、そのまましーーーん……としていた短編こと「過去編時代のお兄ちゃんのボクシングの話」の続きでございます!表記の通り全2話構成なので、このエピソードは今回で完結いたします。
旅の途中にお金が尽きて「賭けボクシングの選手になる」という、派手で危険なアルバイトを見つけてきたグリフィン・トワイライト。「たまに、割と好戦的」な兄の気性をよく知っているロイヤルは、大惨事が待っている予感がして気が気じゃありません……
それでは、本日もまいりましょう。
はじまりはじまり、ひらけゴマ!
*
(クリックで拡大します)
ロイヤルの心配をよそに、ゲームはきわめて安全に、紳士的に進みました。
実のところ、グリフィンが対戦相手を華麗にノックアウトした時でさえ、ロイヤルは喜びより何より「これで対戦相手が頭に来て、血みどろのデスマッチに発展してしまったらどうしよう……」と冷や汗をかいていたのです。
が、しかし。
それもまた、心配性なロイヤルの杞憂にすぎませんでした。
ビッグでストロングな対戦相手は、グリフィンのフェアな試合をおおいに気に入ってこう言いました。
首輪の男「いい腕じゃないか、兄弟!よかったら、これからうちのジムに顔を出さないか?おれの可愛い仲間たちに、おまえを紹介してやりたいんだ!」
グリフィン「……いや、悪いがもう行く。賞金は、ギルドに顔を出せば?」
首輪の男「おうよ!ギルドの受付にいるカリッサ・グリーンヒルに言えば、キャッシュで手渡ししてくれるだろう。銀行振込のほうが都合がよけりゃ、そう言えばいい。……おまえを仲間に紹介できないのは残念だが、じつに熱い試合だった!せめて名前を教えてくれ……!」
【影の世界に生きている】ようなグリフィンが、旅の途中で出会った人びとに名前を明かすことは、これまで一度もありませんでした。だが彼は、二秒考えて言いました。
グリフィン「おれは、森から来たグリフィン。あっちは弟のロイヤル」
首輪の男「おれはジロー。おまえと同じく、元はこの街の外から来た男だ。またな、グリフィンとロイヤル!運命がそう望むなら、おれたちはいつかまた出会うだろう!」
*
……舞台は変わって、アップタウンの静かなベンチ。
ギルドからの帰り道、兄弟はここで休憩をとることにしました。
それにしてもグリフィンは、どうしてあの男に名前を教えたのでしょうか?
「今までそんなことしなかったじゃないか!」とむくれるロイヤルに、グリフィンは屋台で買った食事を差し出しました。賭けボクシングの賞金は、早くも食べ物に姿を変えたのです。
グリフィン「……あの男が言った通りだ。いつかまた、あの男と出会い、あの男の世話になる日が来るかもしれない。おれ自身としてはとりたてて再会したいと思わないが、仮にそうなった時のために、名前があったほうがいい」
ロイヤル「名前があったほうがいい?あいつの心のなかに、おれたちの名前が存在してたほうがいいってことか?」
グリフィン「そうだ。打ち合ってみて分かった。あの男もおれたちと同じ、何か事情を抱えて流れてきた男だ。似た者同士は引き合う。……名前を分かち合ったことにより、あの男の心のなかに、おれとおまえが占める【部屋】が出来た。あの男は、おれたちを忘れないだろう」
兄が何を言っているのか、ロイヤルにはよくわかりませんでした。兄がこんなふうに【予言者めいて、魔法使い然とした】ことを言うのは珍しいことです。まさか、兄はあの男に魔法をかけたのでしょうか?
しかし、よくよく魔力を暴走させていた子供時代は別として、兄は決して魔法を使わないよう、常に厳しく自分を律しているはずでした。
考え込みながらかぶりつき、飲み下しているうちに……ロイヤルの身体に温かな血がめぐりはじめました。頭はハッキリとしてきたし、目の前の景色も鮮やかに見えてきます。なんとロイヤルは一日半の間、何も食べていなかったのです。
旅の途中にお金が尽きるということは、つまりこういうふうに、瞬く間に【飢え】に繋がるということでした。
ロイヤル「……あれ、グリフィンは?食べなくていいのか?」
兄が屋台の皿を持っておらず、手持ち無沙汰に爪なんか見ていることに気がついて、ロイヤルは不思議に思いました。
グリフィン「おれはいい。……食べる気にならない」
一日半の間食べていないのはグリフィンも同じなのに、空腹ではないと訴えます。まったく、兄の少食ときたら破滅的でした。これで身体が悪い訳ではなく「健康そのもの」なのですから、兄は本当に変わった少年でした。
ロイヤル(……あぁ、そうか)
ようやく、ロイヤルは気づきます。
とにかく目立たないように生きている兄が、とつぜん【賞金を掴み取るためにボクシング!】などというド派手な仕事を請けたのは……ただ一刻も早くお金を手にして、ロイヤルを食べさせたかったのです。そのために、兄は道端の殴り合いを演じたのです。
ロイヤル(敵わないよな、まったく……)
面と向かって「ありがとう」と言うなんて、多感なティーンエイジャーであるロイヤルには、恥ずかしくて出来ません。なんだか眠そうな顔になってきた兄のボンヤリとした視線を受けながら……ロイヤルはちょっと赤い顔をして、まっすぐ前を見て、モグモグと口を動かしていました……。
*
おしまい。
*
【おまけ】
お兄ちゃんの対戦相手・ジローさんのこと。
見た目はコワいが、平和を愛する男です。ジローさんと闘ったお兄ちゃんは、ジローさんのそんな気性もすぐ嗅ぎ分けた模様。
お兄ちゃんや坊っちゃんと再会するかは別として、ジローさんは割とまもなく、当ブログに再登場する予定です……。という、中途半端な予告でした(?)
ちゃんちゃん。
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それでは今日は、このへんで。
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