本日は、また「アーモンドちゃんとグリフィンのお話?」です。
また、きょうからこのシリーズを【物語のカケラ】タグから独立させ、
【グリフィンと欠落の姉妹編】
として、保存しようと思います。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします!
さて。
前回のお話を振り返りましょう。
物語は、グリフィンの少年時代に遡っています。弟妹に食糧を与えるため、また妹の薬代を賄うために、自分自身は食事を摂っていなかったグリフィン・トワイライト。
街の少女イナは、いまいちど彼に手を差しのべます。彼女が彼を連れてきたのは【無免許医】が住むアパートでした。謎の無免許医とグリフィンの問答が始まります……
それでは、本日もまいりましょう!
(最終加筆修正:2023年10月6日)
*
フリントロック「少年よ、おまえは自分を責めたのか。おまえの持つ強大な魔力が周囲の者たちを侵食し、汚染していくことを……おまえは恐れているのだろうか」
グリフィン「…………!」
イナ「気をつけて、グリフィン!先生はときどき、妖しい術で人の心を読むの!」
イナは無声音でささやきましたが、息の勢いがつよすぎて響きわたっていました。
グリフィン「…………。もう遅い」
フリントロック「図星か」
グリフィン「個人的な事情に踏みこまれるのは、好きじゃない。先生、あなただって、そうされるのはイヤだろう。たとえあなたの読心術が正確だったとしても、おれが一人前のおとなじゃなくても、出会い頭に心を暴くのは無礼だと思う」
フリントロック「終始うつむいている割に、意外とはっきりモノを言うな。北方なまりのある発音、正確な文法、興味深い。わたしを患者のところへ連れて行け」
グリフィン「…………!感謝します」
…………。
…………。
フリントロック「……眠ったか。これで大丈夫だ」
グリフィン「ありがとう、先生」
フリントロック「風邪をあまく見てはいけない。それから疲労も。滋養のあるものを食べさせて、あたたかい部屋に……と言いたいところだが、おまえたちの仮住まいが、この倉庫ではな。いつから潜りこんでいる」
グリフィン「きょうで、二十六日」
フリントロック「困った子ネズミたちだ」
ロイヤル「先生、お願いだよ。おれたちのことをだれにも言わないで!おれたち、サンマイシューノで情報を探してるだけなんだ。ホテルをとる金がないんだよ!用事が終わったら、かならず静かに出ていくから」
フリントロック「わたしはここへ来ていないし、なにも見はしなかった」
グリフィン「!」
ロイヤル「?」
フリントロック「なにも見ていない者が、子ネズミをつかまえることはできない。追い出すこともできない。ここに来なかった者に、できることはなにもない」
ロイヤル「あ……ありがとう!」
フリントロック「ただし人間の恢復を目指すのは、医者の務めだ。あとでこの倉庫に、人数ぶんの毛布と湯たんぽを運び込む。当分のあいだは一日二回、パンと野菜とチーズも届ける」
ロイヤル「わぁ!……おれ、先生をコワいと思ってたことを謝るよ。先生がいいヒトだって、気がつかなかった!」
グリフィン「……それは、診療のしごとではないだろう。あなたの役目じゃない」
ロイヤル「う……グリフィーン……」
フリントロック「診療外のおせっかい焼きで若者が健康を取りもどしたというのなら、おせっかいもムダではなかったことになる。隣人の世話を焼くこと、人間の不幸を見つめること、貧しい者とともにあることは、女神たる精霊・レティーシャの意志だ」
グリフィン「?」
フリントロック「わたしはロブ教の僧侶だ。破門されてひさしいが、信仰を棄てたことはない」
グリフィン「……知らなかった」
フリントロック「当然だ。わたしの容貌を見て、気がつく者はひとりもいない。グリフィン。おまえには、わたしがおまえたちを世話することはけっしてムダにならない、と思わせるちからがある。あとでもう一度、わたしのアパートに来なさい。診療報酬の話をしよう」
グリフィン「…………。はい」
…………。
…………。
グリフィン「ここにいたのか」
イナ「グリフィン!診察終わったんだね。妹さん、身体はラクになったみたい?」
グリフィン「いまはよく寝てる。あなたのおかげだ。中に入ればよかったのに。みんな、あなたに礼を言いたがってる」
イナ「はは!そんなのはいいんだよ。あたしはただ、友だちがつらそうな顔してるのがイヤだっただけなんだからさ」
グリフィン「友だち?だれだ」
イナ「…………!!ばっかじゃないの!?グリフィン、あんたのことだよ!あたしたち、とっくに友だちになったでしょ!」
グリフィン「…………。…………。そうか」
イナ「え!?なんなの!まさか、友だちだと思ってるのはあたしだけだったなんて、そんなオソロシイこと言う気じゃないよね!」
グリフィン「言わない。ただ、おれが友だちを持つのはとてもひさしぶりだから、驚いた。あなたがそう思ってくれてるとは、知らなかったから」
イナ「ふ……ははは!あたしもひとつ、知らなかったことがある!」
イナは、涙を流すほど笑っていました。
イナ「グリフィン、あんたってほんとうは、ちょっとおもしろい子だったんだね?……さあ!それじゃ、あたしは行くよ!十四時からオーディションなんだ。演出の先生があたしの踊りに才能の片鱗を見出してくださるように、あんたも祈っててね!」
*
つづきます……!
*
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(ポーズは、自作です……)
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