本日は、また「アーモンドちゃんとグリフィンのお話?」です。
……と、ご紹介したあとでアレですが、このシリーズも長くなってきて、【物語のカケラ】タグで「ほかのエピソードと一括りにしてまとめている」状態が合わなくなってきました。ので、近いうちに正式タイトルを付けて、独立エピソードとして保存したいと思います。
……そんな事務的なハナシはともかく、前回のお話を振り返りましょう。
ポートランド邸から脱出したものの、魔法疾患によって身動きが取れなくなったグリフィン。彼の頭に蘇るのは、世界を旅していた頃のこと。サンマイシューノでグリフィンを助けた少女、イナ・ポートランドについての記憶でした……
それでは、本日もまいりましょう!
(最終加筆修正:2023年10月5日)
*
グリフィンの追憶のなかで日が沈み、日が昇ります。
追憶の世界に、新しい一日がやってきます。
???「グリフィン!」
グリフィン「イナ・ポートランド」
イナ「憶えててくれたんだね!あれ、なにしてんの。アルバイト中?」
グリフィン「そこのトイレの清掃。もう終わった」
イナ「旅の途中に、お掃除の仕事?あ、旅費を稼ぐ……ってやつ?」
グリフィン「そうだ。きのうは、たいやきをありがとう。あのときは血のめぐりが悪くて、うまく礼を言えなかった。あなたのおかけで、きょうも生きてる」
イナ「はは!なんだかあんたが言うと、シャレにならない感じがするね?あのとき、あんたはずっと座りこんでたから、ケガをしてたのかなって心配してた」
グリフィン「なんともない。元気だ」
???「グリフィン!!」
グリフィン「ロイヤル、どうした」
ロイヤル「ポーラねえさんとシャーロッタが、情報を集めてもどってきた。三ブロック先に、百歳を超えてる魔法使いが住んでるって。なにか知ってるかもしれない」
グリフィン「わかった。給金を受け取ってから、いつもの場所で待つ」
イナ「じゃ、あたしももう行こっかな?またね、グリフィン!」
ロイヤル「……だれ。友だちができたの?」
グリフィン「イナ・ポートランド。この都会(まち)の子だ。……いまはまだ」
*
グリフィンの追憶のなかで日が沈み、日が昇ります。
追憶の世界に、新しい一日がやってきます。
イナ「あたしはきっと、ダンサーになるの。劇場から劇場へと旅をして、どんなお客さまも魅了する、しなやかな翅の蝶になる。しなやかな蝶は十八時から夜明けまで踊り続けて、バラを投げてもらったり、たくさん恋をしたりするんだよ。……聞いてる?グリフィン」
グリフィン「聞いてる」
イナ「ほんとうかなぁ。貝細工を散りばめたお衣裳、孔雀の羽根飾り、サファイア色のドレスや、楽屋に充満するドーランの匂い。あたしは、そういうものが好き。あたしはいつか、そのすべてを身にまとって、オーケストラの演奏で踊るんだよ」
グリフィン「…………」
イナ「ふふ。でもきっと、あんたは観にきてくれないね。あたしが、ほんもののダンサーになったとしても」
グリフィン「……その頃おれは、どこを旅してるかわからない。あなたとおれは、別の世界に生きてると思う」
イナ「はは!さみしいこと言うねぇ。……あ、そろそろ行かなくちゃ。十六時からバレエのお稽古なんだ。またね、グリフィン!」
*
グリフィンの追憶のなかで日が沈み、日が昇ります。
追憶の世界に、新しい一日がやってきます。
イナ「……それで、だ。どうしてあんた、週に一度は、身動きが取れなくなるくらい、なんにも食べていない日があるワケ?」
グリフィン「…………」
イナ「ね、待って。ちょうどいま、マーケットで買ったリンゴを持ってる。イナ・ポートランドの直送便だよ。……はい、食べて!」
グリフィン「…………」
イナ「ねえ、グリフィン。あんたが食事をとらないのは、なにか事情があるんだね?」
グリフィン「……事情というほどじゃない。金が足りないことがある。食糧を買って弟と妹たちに配分すると、それで。おれは元々、量を食べなくても維持できる体質だ」
イナ「だからって限度があるでしょうよ。人形じゃないんだから」
グリフィン「金がない。この数日は、食費の七割を薬代にまわしてた。……妹が、熱を出してる」
イナ「え?」
イナがまじめな顔になり、グリフィンは顔をそむけました。
*
つづきます!
*
グリフィンが持っているデッキブラシは
A-luckyday 様より、
グリフィンが持っているリンゴは
新生まるきぶねスローライフ 様より、
イナがダンスをしているポーズは
Katverse 様より、
それぞれお借りしました。
(12月8日追記:一部クレジットが抜け落ちていたことに気づきましたので、修正しました。すみません……!)
いつもありがとうございます!
Thanks to all MOD/CC creators!
And I love Sims!
(その他のポーズは、自作です……)
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