本日は、また「グリフィンと欠落の姉妹」編です。
グリフィンの記憶の旅は続きます。大都会で得た友人、イナ・ポートランドの助力によって、少年時代のグリフィンは妹を救うことが出来ました。一方で、不思議な無免許医フリントロックは、グリフィンに「導きの言葉」を授けます。そして……
それでは、本日もまいりましょう!
(最終加筆修正:2023年10月8日)
*
追憶のなかの世界にも、時間はまたたく間に流れます。
追憶の大都会に、雪の季節が訪れました。
グリフィン「……冷えるな」
グリフィン(サンマイシューノの冬は厳しい。そろそろここを離れて、次の街に行くべきかもしれない。これ以上ここを探しても【呪いを解くカギ】は見つからないだろう。次に弟妹のだれかが倒れたら、今度こそ命にかかわる気がする)
イナ「グリフィン!!」
グリフィン「イナ。……どうした、三日間姿を見なかった」
イナ「聞いて!すごくいいニュースがあるの!あんたに聞いてほしいんだよ!……あぁ、こんな道のまんなかじゃ、落ち着いて話もできやしない。こっち来て!」
グリフィン「なんだ」
イナ「あぁ、まだ信じられない。あたしの手がふるえてるのがわかる?あたしの人生に、こんな成功が訪れるなんて思わなかった。あたし、劇場で踊れることになったんだよ!」
グリフィン「……すばらしい。おめでとう」
イナ「四か月かけて各地を回る公演なんだ。初舞台は十四日後、ウィロークリークの小劇場で。……信じられる?あたし、一場面センターで踊ることになったんだよ。いままで、だれもかれも酔いつぶれて、ショーなんか見ちゃいないようなクラブでしか踊ったことがなかったのに……」
グリフィン「実力があるということだ。オーディションをとおったのだから」
少年のほほえみに、少女は口許をゆがめて答えました。
イナ「はは。そうだったらよかったんだけどね」
グリフィン「?」
イナ「あたし、取引をしたの。興行主のワットさんにとっての、たったひとりの美の女神になるんだ。ワットさんは最近カメラがご趣味で、あたしをモデルに写真を撮りたいんだって。ほかにもワットさんが望むときにご一緒に食事したり、ワットさんが用意した豪華な部屋で寝たりするわ。そうすれば、ワットさんはあたしに劇場で踊らせてくれるって。そういう契約なんだ」
グリフィン「…………」
グリフィン「…………!?」
グリフィン「どうした」
イナ「しっ、黙って!名もないカップルのふりをして、あたしの背中に手をまわして。いまあたしのうしろを通り過ぎていく連中に、あたしの顔が見えないようにして!」
…………。
…………。
イナ「……よかった。あいつら、行ってしまったみたい」
グリフィン「いいかげんに離れろ」
イナ「怒らないでよ。ちょっとくらい、助けてくれたっていいじゃない」
グリフィン「怒ってない。だが、おれに触れると魔力に酔って、身体を壊す」
イナ「そういえば、グリフィンは魔法使いなんだっけ。でもあたし、なんともないけれど」
グリフィン「離れろ」
…………。
…………。
グリフィン「なんだ、いまの連中は」
イナ「ワットさんの取り巻き。怪力自慢のゴロツキだよ。あたし、ワットさんのものになるって血判を捺したのに、こんなところで男の子と一緒にいるのがバレたら、耳を切り落とされちゃうからね。はは!」
グリフィンは初めて、イナのよく響く笑い声を不快に感じました。
*
つづきます……!
*
今回のポーズ
SSの8枚目(劇場で踊るイナのイメージ)のポーズは、
Katverse 様
よりお借りしました。いつもありがとうございます!
Thanks to all MOD/CC creators!
And I love Sims!
(その他のポーズは、自作です……)
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