本日は、また「グリフィンと欠落の姉妹編」です。
ポートランド邸で調査をおこなった日、グリフィンは眠りのなかで奇妙な夢を見ました。それは【世界を産んだ女神】による啓示だったのか。ともかく朝はやってきて、グリフィンの一日がまた始まります。
それでは、本日もまいりましょう!
(最終加筆修正:2024年4月12日)
*
時刻は、午後二時十五分。
グリフィンの姿は、ストレンジャービルの中心部から離れた【軍の施設】にありました。
ムーア「そんで、マルボロの野郎はおれたちを呼び出しておきながら、本人はどっか行っちまって見つからないと。めんどくせぇな。おれたちも帰っちまう?」
グリフィン「受付のファニー・ガヴォットに確認をとった。話を聴け。マルボロは十二時まえに第三研究所に行ったらしい」
ムーア「うげぇ。だったらなおのこと、きょうはもう帰ってこないんじゃねぇの?ここから研究所まで、何マイルあると思ってるの」
グリフィン「いや、マルボロはすでに研究所を離れ、こちらにもどってる。ガヴォットはほんの十分前、一階の喫煙室の衝立にマルボロの上着が掛かってるのを見たそうだ。ガヴォットは喫煙者ではないから、なかに入って本人がいるか確かめることまではしなかったらしい。……これが、おれが知ってることのすべてだ」
ムーア「ヤだなぁ。マルボロが一階の喫煙室にこもるのって、大抵どえらい問題が明るみに出たときだぜ?ほんとに帰ろうかな……」
グリフィン「どうでもいい」
ムーア「……で、この紙っぺらはなによ」
グリフィン「ガヴォットを介して、マルボロからの配布物だ。施設職員全員に、アンケートをとるらしい。おれも内容は見てない」
ムーア「そんなことより、おれはメシだよ。……紙のアンケートなんて、ここは前世紀かと疑いたくなるぜ」
グリフィン「マルボロは紙を信奉してる。彼は紙に書かれてることしか信じない」
ムーア「はっ!機密を守るには紙の書類がいちばんだとか、ワケわかんねぇこと言ってたぜ。いざとなりゃ書類にライターのオイルを染みこませて、暖炉に放りこめばいい。灰のなかから情報は拾えないってさ」
グリフィン「そうか」
ムーアの軽口にもきまじめな返事を忘れず、グリフィンは勤務中の人の顔をして、アンケートに目を通しました。その表情が険しくなりました。
ムーア「どうした。眉間のシワが十本になってる」
グリフィン「…………」
アンケートの表題には、こう書かれていました。
【命名しがたい奇妙な現象についての聴き取り調査】
設問は、たとえば次のようなものです。
1)過去二か月の間に、これまでに経験のない原因不明の体調不良に見舞われた者は申し出よ。その症状の詳細を記せ。(例:暗闇で虹彩が光るようになった、身長が一インチ縮んだなど)
2)過去二か月の間に、異常な姿の生物を目撃した者は、その時期(思い出せぬ場合はおおまかで良し)を届け出よ。その生物の姿について詳細に記せ。(例:耳が四本あるウサギ、鱗を持たない蛇など)
3)過去二か月の間に、自宅の上水の水質に異状を感じた者は申し出よ。
このような設問が、三十六個並んでいました。
ムーア「なんだね、こりゃ」
グリフィン「…………」
グリフィンの脳裏に、つい先日、一族の森で長老から聞かされた話が蘇ってきます。
ペルーダ「この【清浄と魔力の森】に、おかしな姿のけものたちが現れているらしい。三本の角を持つ子鹿や、尾がふたまたに分かれたリスなんかがね。その正体は【偏在する生命体】……こことは違う、妖魔の世界から迷いこんだどうぶつたちさ」
ムーア「マルボロの野郎、変なものでも食ったかね」
グリフィン「そうじゃない」
休憩室の入口に、受付の女性が現れて呼びました。
ガヴォット「清掃員メルヴィル・ムーア、ならびにグリフィン・スノウフイール。マルボロ少尉がお呼びです」
ムーア「来た来た!」
ムーアはやけっぱちのように膝をたたいて立ちあがりました。
グリフィンはまだ、アンケート用紙を見つめて考えていました。
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つづきます!
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Thanks to all MOD/CC creators!
And I love Sims!
(ポーズは、自作です……)
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