本日は、仕込み中のため「ニカラスが引越してきたお話」は、おやすみですー。
そして……
今回は、私が最近ぽちぽちと作ってたワンシーン用のポーズを、お話仕立てで保存したいと思います。Twitterではお披露目済みのポーズですが、SS自体は撮り直したものもございます。もしお気が向かれましたら、ちろりとご覧くださいませ……。あ、登場シムは、グリフィンとシャーロッタです!
それでは、本日もまいりましょう!
*
ある晴れた朝。
ストレンジャービルのおうちの横合いで、グリフィン・トワイライトが爪をいじっていました。
グリフィン「…………」
ひどく真剣な顔で何をしているのかといえば、彼は自分の爪の横にできた「ささくれ」が気になって仕方がないのです。
シャーロッタ「グリフィン様、どうしましたか……?」
お世話係の声がして、彼は顔を上げました。
シャーロッタ「あぁ……」
グリフィンが何も言わないうちに、シャーロッタはこの若いご主人が何をしているのか、気がついたようでした。力仕事を請け負うことの多い彼の手は、おおむねいつも荒れています。それで、傷やささくれが出来やすいのです。
シャーロッタ「グリフィン様。ささくれは引っぱらないほうがいいんですよ?爪切りを持ってきて、切って差し上げましょうか?」
100パーセントの親切心から、シャーロッタがそう言いました。彼女は今でも、彼や彼の弟のお世話をすることが大好きです。たびたび「おかあさんモード」のスイッチが入ってしまうのが、彼女の困った点でした。
グリフィン「…………」
彼女のあるじは、フッと目をそらしました。
グリフィン「自分で切るから、いい」
淡々と応じているように見えて……
彼はそれなりに困っています。
(……彼女は、おれの歳を忘れているのではないか?)と、彼はまた考えました。しかし、そもそもシャーロッタは、永劫の時を生きる【水の精霊】です。彼女から見れば、十二歳の時のグリフィンも、二十二歳のグリフィンも、そう差はないのかもしれません。
ちらりと目を上げた時、彼は別のことに注意を惹かれました。
グリフィン「シャーロッタ。おまえの髪に、小さい枯葉がついてる」
シャーロッタ「えっ?えっ?」
グリフィン「取る。座れ、ここに」
ひどく簡単な言葉で命じられて、シャーロッタの動きが止まりました。躊躇ったすえ、おずおずと椅子に腰かけます。緊張しているのか、目を彷徨わせていましたし、ちょっぴり頬が赤くなっています。
シャーロッタ「……なんだか、変な感じですね。以前は、いつもグリフィン様の髪を梳かしていたのは、わたくしのほうでしたのに。なんだか恥ずかしいような感じがします」
グリフィン「…………。そうか」
水のようになめらかで細い髪が傷まないように、引っかかっていた枯葉をはずします。アザレアか何かの葉っぱでした。とくに感動もなく、グリフィンはそれを風のなかに捨てました。
グリフィン「取れた」
ふいに……
シャーロッタが、グリフィンの腕を取りました。
グリフィン「…………。どうした」
シャーロッタ「なんでもないです……」
そう言いながらも、彼女はグリフィンの手を解放してくれそうにありません。仕方がないので、されるがままです。一分後、シャーロッタは深く静かな息をついて、ぽつりと言いました。
シャーロッタ「大きな手……。いつのまに、こんなに大人になられたんでしょう……」
その声は、感慨深げというよりは、悲しげでした。幼かったグリフィンを食べさせ、寝かしつけ、飽かずにあやして過ごしたのは、間違いなくシャーロッタその人です。幼児は立派に成長しましたが、その身を縛る呪いが解かれることはありませんでした。
彼が成長していくということは、彼自身の破滅に向かって歩いていく、ということでもあります。彼は、やがて斃(たお)れる。その事実は、いつもシャーロッタの胸の一部分を占めていました。彼が歳を重ねれば重ねるほど、タイムリミットは近づいてくるのです。
グリフィン「本当は、みんな同じだ。誰でも制限時間はある。心を痛める必要はない。おれは変わってない。まだ、ここにいる」
曇りのない声で、彼はそう言いました。
シャーロッタ「はい……、わかってます……」
それは、よく晴れた日の会話。
いつかは忘れられてゆく、でも今はここに在る、静かな朝の光景でした……。
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Thanks to all MOD/CC creators!
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