そのカフェにおける集積(アーモンド)

2020年11月1日日曜日

★グリフィンと欠落の姉妹編 マジカル後継者世帯

t f B! P L
こんにちはー。

本日から、当ブログはぼちぼち「次のお話」のシリーズに入っていこうかと思いますー。

とは言っても、今回もかなりの短編です。

ストレンジャービルを舞台に、グリフィンと「とあるシム」との出会い……というか交錯……みたいなエピソードを、数回に分けて保存したいと思います!

そして、話のカギを握る「とあるシム」は、新しいシムです。今回はまず、そのシムのご紹介からお話を始めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします!

それでは、本日もまいりましょう!

(最終加筆修正:2024年4月12日)


序文

オオカミのなかのオオカミ、銀鈴山脈のクリーヴリンは三年のあいだ農夫に飼われ、茶色の瞳を持つあの少女を待った。クリーヴリンは、ついに飼いイヌになることはできなかった。鋼のような心臓が、こうべを垂れるのを拒絶していた。

革の首輪に鎖をつながれ、納屋で眠っているときでさえ、王は王のままだった。


――アリソン・リヴァーエンド作「キャラバンの少女」より――




娘の名は、アーモンド・ポートランド。十八歳。

お屋敷町として有名な、ストレンジャービルの高台地区に住む高校生です。

彼女が祖父から受け継いだ邸宅は、ホールケーキを取り出したあとの紙の箱みたいにがらんどうです。広大な敷地に反して、使用人はひとりもいませんでした。




家族は、姉がひとり。




名前は、ネモフィラ・ポートランド。二十歳。

ネモフィラはほんの子どものときから尼寺に預けられていて、信仰を身につけた淑女に成長しました。ときは来た。彼女は青色のローブを脱ぎ、真新しいドレスに身を包んで、颯爽とストレンジャービルにもどってきました。

アーモンド自身はウィンデンバーグの寄宿学校で育ったのですが「姉が帰ってくる」と聞いては、いてもたってもいられない。転校の届(とどけ)を出してストレンジャービルにもどり、町の高校に移りました。もういちどおねえさまと暮らすためなら、クラスメイトと別れることはなんでもありませんでした。




姉妹は、親友でもありました。

ネモフィラ「わたしたち、ふたりでひとつよアーモンド。もし、おたがい好きなひとができたなら、いちばんはじめに教えあいましょう。たとえば、アーモンドが好きになったひとが、フタを開けてみたら【ろくでなし】だったとするでしょう。そしたらわたし、あなたのために彼を悔いあらためさせて、まっとうな男にしてしまうわ」

そんな話を、姉はことあるごとにくりかえすのでした。




この物語のはじまりから遡ること、ひと月まえ。


ストレンジャービルの高台に新しく「古書店を兼ね備えたカフェ」がオープンしました。


住む者のいなくなった歴史ある住居が改装され、カフェカウンターが気持ちよく整えられた。次に、たくさんの興味ぶかい書物とじょうぶな本棚が運び込まれた。最後に、手触りのいいテーブルが充分な空間的余裕をもってならべられ、店のいのちを吹きこまれて、客を迎え入れることになったのです。





アーモンド・ポートランドは開店初日に店を訪れ、本棚のすみにアリソン・リヴァーエンドの「キャラバンの少女」を見つけて、大喜びしました。はちみつ入りの紅茶がとてもやわらかな香りだったことも、彼女を喜ばせました。

週末はこのカフェで紅茶を飲み、幻想小説や草花図鑑を読みふける。

そうしたスケジュールが彼女の手帖に追加されるのに、時間はかかりませんでした。土曜と日曜に書物に埋もれながら過ごすひとときが、彼女が平日、勉学に励んでいる間の心の支えになったのです。




物語をはじめましょう。
季節は、初夏。
近ごろ、アーモンドがカフェでよく見かける人物がいます。

土曜日も日曜日も午前十一時に現れる、大学生くらいの男のひと。

彼はきまってコーヒーを一杯注文し、正午にそれを飲み終わって二杯目を注文します。そこから午後三時半までねばります。ねばりきれずに、三杯目のコーヒーを頼むこともある。

しかし、店の名物である「コモレビ山のモンブラン」や「ラムレーズンのホットケーキ」を食べているところは見たことがありません。四時間半も店にいるのに飲み干すばかりで、フードメニューに手を出さないのです。

アーモンド(初めて彼を見たのがいつだったかは、憶えてない)

「キャラバンの少女」の第四巻を読みながら、アーモンドは彼女自身にむかって語りかけました。

アーモンド(コーヒーが好きなひとだということは、見ればわかる。あまいものが苦手なのかな。男性には多いと聞いたことがある。だけど、ひとくくりにしちゃいけないよね。だっていとこのギルバートもラッセルも、砂糖をたっぷり入れた玉子焼きが大好きだわ)




アーモンドは「コーヒーがぶ飲み」の彼について、なにも知りません。どちらの方角からカフェまでやってくるかもわからない。しょっちゅうこの店を訪れるということは、彼の家は近所だと思うのですが。

それでも、最近わかったことがありました。

カフェには独特のサービスがあって、コーヒーや紅茶を注文するときに、客に好みのカップをお客に選ばせてくれるのです。ぶどうのつるが描かれたものや、バラの花が描かれたもの、取っ手のうえにまるいハリネズミが三匹ならんでいるものなど、店には五十二種類のカップが用意されています。

「どのカップになさいますか」

ストライプのエプロンをした店員が落ち着いた声で尋ねると、がぶ飲みの彼はきまって「潔い筒型の、白い厚手のマグカップ」を選びます。飲みやすそうで、かっこいいカップ。都会的な好みなのか、白が好きなのか、むだを好まない性格なのかもしれないと、アーモンドは考えました。




アーモンド(あのひと、あごの線に潔癖な気性の気配があると思うわ。品のある顔立ちをしてると思う。ウィロークリークの旧家の出かしら。それか、西の城塞都市に住んでるっていう公爵の関係者とか。どんな本を読んでるのかな。論文、ミステリー、医学書、それとも……)

盗み見ると、彼が手にしている書物のタイトルは【精霊文字】で書かれていた。文学少女のアーモンドも手を出すことさえ考えつかない、ほんものの古文書です。

アーモンド(もしかして、魔法使いなの。魔法の本のなかには、精霊文字で書かれたものがあると聞く。あのひとが魔法使いかもしれないなんて考えもしなかった。とんがり帽子をかぶってないし、ほうきを持ってないから。だけど、ひとくくりにしちゃいけないよね。わたしは魔法使いじゃないけど、物置小屋にはほうきが入ってるわ)




別のある日のこと。

がぶ飲みの彼は何を思ったのか、かの有名な「オービタルプリン」を、最後のページから逆向きにめくっていました。読んでいるというより、めくって暇をつぶしているのです。左手で本をめくりながら、右の人差し指でテーブルのふちをなぞっています

アーモンド(もしかして、変わり者なのかしら。姿かたちは、変わってるようには見えないけど。だけど、ひとくくりにしちゃいけないよね。リリー叔母さまは髪をひっつめててまじめそうだけど、お屋敷のひさしのうえを逆立ちして歩いたことがあると言ってたわ)

アーモンドは「キャラバンの少女」の第七巻を閉じて、自分の考えに夢中になっていきました。

アーモンド(そうよ。姿かたちだけ見れば、あのがぶ飲みのひとは古城にでも住んでいそうだわ。燭台のあかりに照らされながら、執事さんに新聞を読んでもらうような雰囲気だわ。だけど、ひとくくりにしちゃいけないよね)

アーモンド(それはともかく、本に出てくるえらい人って、どうしてほかのだれかに文字を読んでもらうんだろ。字が読める人でも「朝刊を読んでくれないか」とか言うのよ。先週ティファニー・マクスウェルに貸してもらった本にも、執事さんが出てきた。名前はバージルだったかな。月曜日の朝ティファニーに会ったら、あの本を返さなくちゃならないわ)


別の日の夕方のこと。
アーモンドの心を浮き立たせる、ちょっとした事件が起こりました。

カフェにひとりの少年が現れて、店に来ていたがぶ飲みの彼を、名前で呼んだのです。




???「グリフィン!ここにいると思ってたんだ!

カフェに入ってきた少年が、がぶ飲みの彼にむかって手を振った瞬間、アーモンドの脳がスパークしました。推理小説を読んでいて「真犯人に関する重要な手掛かり」を文中から見つけだしたときとそっくりな、毛細血管に火花が散る思いです。




アーモンド(あのひとは、グリフィンという名前なんだ!




グリフィンは二秒の間少年を見つめ、読みかけの本を閉じました。彼のきょうの一冊は、エヴァ・ライトの「チンアナゴ十二か月」でした。

彼のくちびるが動き、彼が息を吸うのを見ると、アーモンドは熱に浮かされたような心持ちになりました。グリフィンさんは、いったいどんな声をしてるの?

彼の声は、じつに印象的だった。
それは、荒れ地に響く黒い鐘の音のような、心をざわつかせる響きを持っていた。

だが、彼がその声を用いて言ったのは、

グリフィン「叫ぶ必要はない、聴こえてる。この店では、おまえの声は通りすぎる……と思う。さっき電話があって、局留めで芋を一キロ送ったと言われた。あしたの朝、郵便局が開いたらとりに行く」

…………。
…………。

知らなかった。
お芋って、局留めで送れるんだ。

というのが、アーモンドがこの日最後に抱いた感想でした。


つづきます!


今回の区画(Book Cafe)は、
HIKARE! 様より、

ふたつのポーズ(ネモフィラ&アーモンドのキッチンのポーズ、文庫本を読んでいるアーモンドのポーズ)、及びマグカップのaccは、

グリフィンが持っている大きな本は、
Crystaroshsonia-TS4 様より、それぞれお借りしております。

また、今回もたいへん多くのCCのお世話になりました。
Thanks to all MOD/CC creators!
And I love Sims!

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