秘密工作員の逡巡

2020年11月9日月曜日

★グリフィンと欠落の姉妹編

t f B! P L
こんにちはー。

本日は、また「アーモンドちゃんとグリフィンのお話」です。

【失踪した少女、イナ・ポートランドの遺伝子情報のサンプルを入手せよ】……軍上層部からのこの指令が、グリフィンとアーモンドの出会いのきっかけでした。イナ・ポートランドはアーモンドの姉だったのです。そして……

それでは、本日もまいりましょう!

(最終加筆修正:2024年4月14日)




その日。

ムーアから三十五番廃倉庫に呼び出され、次の【仕事】について聞かされた日の帰り道。
グリフィン・トワイライトは考えこんでいました。

グリフィン(今回の任務は、どういう意味だ)


【イナ・ポートランドの遺伝子情報のサンプルを入手せよ】

軍上層部からの指令をグリフィンに伝えたあと、ムーアが「これはまぁ余談だけど」という顔をして、付け加えた話がありました。




ムーア「あともうひとつ、マルボロ個人からの依頼が来てるのよ」

グリフィンは目だけ動かし、にらみ上げるように同僚を見ました。
本人としてはにらんでいるつもりはなく【つづけて話せ】と言ったのです。




ムーア「マルボロが話したことを、おまえ宛てに繰り返す。【今回の任務と並行して、消息不明のイナ・ポートランド……つまり、現在二十二歳のイナ・ポートランドが存在していないことを、おまえたちで証明してほしい】」

グリフィンは二秒の間考えました。
よくわからなかったので、どういう意味だと尋ねました。

ムーア「言葉のまんまだろう。おれとおまえで、彼女が存在しないことを証明する。もし、そうでないことをやれという意味だったとしたら、マルボロの感覚がわからん。読解問題としちゃ難易度が高すぎる」




グリフィン「イナの死体が上がってるのだとしたら、彼女の不在をおれたちが証明すること自体が無意味だ。死体はもうそこにあるのだから。百歩譲って、彼女が【存在している】ことを証明しろと言うなら、まだ理解できる。だが、どこにもいない者が【いない】という事実を、どうやって証明できる」

ムーア「おれに訊かれても困るよ。ただマルボロはめずらしく、人間らしい困惑を見せていた。だからおれも人情を発揮して、こんなわけのわからん依頼を引き受けてみせたんだ。……てきとうに町を捜しまわって、イナがいなかったら【いませんでした】と報告すればいいんじゃないかね」

ムーアは、この問答に飽きている。

この同僚はグリフィンのように、ものごとを徹底的に突き詰めるタイプではありません。そもそも、こんなわけのわからぬ依頼をもたらしたのはムーア自身ではないのです。この男を問いつめても意味がなかった。




グリフィン「……やってみる」

ムーア「おうよ。そうそう。【いないことを証明する】っちゅう追加依頼には、それに応じた報酬が上乗せされるそうだぜ」

グリフィン「断る。報奨金の欄にはサインしない」

ムーア「は?」

グリフィン「意図不明の依頼に対して報酬を提示されることに、危険を感じる。マルボロが【やれ】と言うならやるしかないが、おれたちがこの仕事をかたづけた結果、なにが起こるか予測がつかない。今回の仕事は、あまりに奇妙だ」

グリフィン「上は、おれたちが集めた情報を使ってだれかを罠にはめようとしているのかもしれない。おれたちが働いた結果、ここじゃないどこかの町が滅ぶことだってあるかもしれない。責任のとれない身でありながら金だけ受けとって食べるのは、恥知らずのおこないだ」

ムーア「潔癖だね。おれたちは末端だぜ。おれらが持ち帰った情報を上がどう使ったところで、おれらが責任とることじゃないのは当然だ。だいいち金を受け取らなかったところで、おまえが【仕事】したという事実は消せやしないぜ」

グリフィン「知ってる。だが、魂を売るのは死ぬのとおなじだ」

ムーア「向いてないよ、おまえ。この仕事」

同僚は薄笑いを浮かべて言いました。




そして。

グリフィンは夜明けとともに退勤し、ストレンジャービルの高台にそびえる赤屋根の家……「イナ・ポートランドの生家」だという邸宅のまえに立っています。




グリフィン(ここがイナの家だったとは知らなかった。知らずにこの通りを歩いてた)

イナ・ポートランドは、ほんとうに死んだのか。

彼は右手を持ちあげて爪を見つめ、脳から感情を締め出しました。
それでスイッチが入りました。

グリフィン(邸宅に潜入してイナの痕跡を探すのは、またの機会にすればいい。日が昇ってきた。手はじめに、イナの妹を尾行する。アーモンド・ポートランド。妹をつければ、姉であるイナが妹のそばに【いるか】【いないか】手掛かりをつかむことはできるだろう。イナが存在しているのか存在しないのか、まず調べる)

頭はなめらかに働いたが、感情を消したところで暗澹とした胸はどうにもならない。早くも徒労じみた感触があるのは、イナがすでに死んでいるとしたら、この「二十二歳のイナを捜す仕事」は、彼女のためになんの役にも立たないからでした。




グリフィンはトレーラーパークにもどってきました。
夜勤明けですから、いまはやすむしかありません。




ロイヤル「おかえり」

兄がドアを開けたことに気がついて、ロイヤルが顔をあげました。
起床直後といった様子です。

グリフィン「ただいま。シャーロッタはどうした」

ロイヤル「トトの散歩。きょうは図書館のほうに行くってさ。グリフィン、なんか食うか。きのう買ってきたオレンジがあるよ。あとはグラノーラとか」




グリフィンは、弟の明るい顔立ちを見つめました。

【おまえ、イナ・ポートランドを憶えてるか】

ロイヤルにそう尋ねてみたい気持ちが、頭をもたげてきます。
それを言ったところで、事態が好転するわけではなかったが。




ロイヤル「ん?おれの顔、なんかついてるか」

だが、グリフィンの仕事が軍から請け負ったものである以上、秘密は守らなければなりません。あのイナを探しているなどと、おくびにも出せるはずはない。

そもそもグリフィンは、彼のほんとうの職業を弟に話したことがありませんでした。

「軍の施設で清掃の仕事をしている」とは伝えてありましたが、そのウラで軍の【雑用】を引き受ける身だということは、だれにもうちあけたことがなかったのです。

ロイヤル「……グリフィン、疲れてるんじゃないの。寝たら」

心配というよりほほえみに近い表情で、ロイヤルは肩をそびやかしました。




グリフィン「なんでもない。手を洗ってくる」

グリフィンは感動のない声で言って、バスルームのドアを開けました。


つづきます!


今回のポーズ

SS4枚目(イナ、イメージ)のポーズは、
よりお借りしました。いつもありがとうございます!

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