こんにちはー。
本日は、また「ロイヤルと裸足の魔女編」ですー。
ロイヤルとユキちゃん、そしてリノ・ミナキには、ひと時の平安が訪れました。同じ頃、遠く離れたロイヤルの実家……ノーマン一族のお屋敷では、何が起きていたのか?ロイヤルの兄・グリフィンと姉・ポーラスターのその後の動向は?……というエピソードを、今回はお届けしたいと思います。
それでは、本日もまいりましょう!
*
グリフィンとポーラスターの兄妹は、お屋敷のなかの「とある一室」を訪ねていました。
ふたりの従姉妹である、レイニー・クレイフィールドの居室……。
外の世界に身寄りのないレイニーは、グリフィンとポーラスターの父ウルハによって、お屋敷から追放されることが決められました。グリフィンは父の決定に反抗し、ポーラスターと共に「レイニーを救う手立て」を考えています。
ポーラスター「レイニーは、まだドアを開けてくれない……?」
グリフィン「ああ、ノックしても返事はない。だが、ドアの向こうに気配がするし、昨日おれとおまえがドアの下に入れた手紙も、無くなってる。彼女が読んでくれたと思いたい。……使用人が掃除の時に見つけて回収してしまった、というのもあり得るが」
ポーラスター「……コワいこと言わないでよ」
もし使用人が拾ってしまったら、父ウルハの手に渡ってしまうのが目に見えているので、ポーラスターは身震いしました。兄妹は人目(シム目)を避けて小声で話していましたが、それでもその声は、廊下じゅうにぽわんと反響しています。
グリフィン「……行こう。いつまでも部屋の前を占領して話していると、それはそれで、レイニーにプレッシャーを与えそうだ。十年以上、部屋から一歩も出なかった女だ。おれたちが、彼女に歓迎されてないのはわかってる」
ポーラスター「うん、そうだね……」
兄に続いてポーラスターが歩き出した時、カチャリとドアノブがまわる音がして、彼女は振り返りました。グリフィンは既にだいぶ先を歩いていて、階段を下り始めています。
ポーラスター「待って、兄さん」
グリフィン「…………?」
部屋の前に、レイニー・クレイフィールドが出て来ていました……。
ポーラスター「…………!火の、精霊……?」
赤みを帯びた彼女の顔の色を見て、ポーラスターが驚きの声を洩らしました。
グリフィン「おまえが……レイニー・クレイフィールドか」
ある種の感慨を持って、グリフィンはそう言いました。十年以上居室に閉じこもっていた従姉妹の姿を見るのは、彼にとってはこれが初めてでした。ポーラスターだって、はるか昔にうしろ姿を見たきりだというのですから、似たようなものでしょう。
ようやく出てきてくれたことに感銘を受けてはいても、グリフィンはあまり感情を込めず、いつも通り断定的でやや不遜な感じです。その口調が冷たく聞こえたのでしょう、レイニーがビクッと肩を震わせました。
レイニー「……はい」
消え入りそうな声。
グリフィン「おまえと話がしたい。ただ、使用人や他の家族の目には触れたくないと思ってる。温室にでも行くか?」
レイニー「……いいえ」
グリフィン「じゃあ……、おまえの部屋を借りたい」
レイニーは一歩わきに退(しりぞ)き、手でお部屋のなかを示しました。
レイニー「お入りください、グリフィン様……。ポーラスター様も、どうかご一緒に」
お部屋のなかは暖かく、女の子らしいしつらえでした。
ポーラスターの顔が明るくなり、その唇が「可愛い……!」という形に動きます。
自分のお部屋であるにも関わらず、レイニーは隅のほうに立って、子ウサギのように小さくなっています。
グリフィン「……怖がる必要はない」
グリフィンが例によって、親切ではあるが、感情の読み取りにくい口調で言います。
ポーラスター「グリフィンのその真顔が、コワがらせてるんだと思うけど」
グリフィン「?」
ポーラスター「ごめんごめん、なんでもない。いいんだよ、グリフィンはそのままで」
彼の妹がそう笑ってから、「ほぼ初対面」の従姉妹に向きなおります。
ポーラスター「レイニー、お部屋に入れてくれてありがとう!初めまして。ご存知の通り、こちらがわたしたちの新しい代表である、第二十七代当主グリフィン・トワイライト。わたしはその妹の、ポーラスター。…………?その鼻のキズ、どうしたの?」
レイニー「あ……、その。実験で、失敗した……のです。魔法薬の調合がうまくいかず……バクハツ、させてしまいました」
ポーラスター「そうなんだ。……あ、ちょっと待って。わたし、可愛い絆創膏持ってるんだ。レイニーにもあげるね?はい、どうぞ!」
レイニー「これ、全部……?」
小さな絆創膏が二ダースも入ったパックを手渡されて、レイニーが少し目を大きくしました。
ポーラスター「うん、レイニーが使って?そうだな……これは今日、わたしたちが出会った記念かな?レイニーはもう大人だから、ちょっとコドモっぽい絵柄に思えるかもしれないけど、そこは勘弁してもらえると嬉しいな。ふふ」
(※レイニー・クレイフィールドは、十八歳です)
レイニー「ピンクに、ブルー、ハートの模様……の絆創膏……。可愛い、です……」
女の子同士ならではの方法で距離を縮めようと試みるポーラスターと、それをぎこちなく受け入れるレイニーを、グリフィンは黙って見守っていました。
グリフィン「……レイニー・クレイフィールド。おれがおまえに会っていることが知られると厄介だから、早めに本題に入りたい。だが、その前にひとつだけ。おまえが火の精霊だとは、知らなかった。火の粉を撒いたようなおまえの姿を見て、驚かなかったと言えばウソになる。おれもポーラスターも、おまえについて……おれたちの従姉妹について、多くを知らされてなかったから」
彼は率直に、そのことに触れました。
グリフィン「だが、おまえの精霊としての姿には、何か……違和感を感じる。おまえが今その姿をとっていることには、何か理由があるはずだ」
レイニー「…………!!」
ポーラスター「グリフィン……?」
レイニーが怯えたように、首を縮めました。ポーラスターは、鋭敏な兄が何を感じ取ったのかわからず、少し心配しながらびっくりしています。
グリフィン「言いたくないなら構わない。だが、おまえが今その姿をしていることには、おれとポーラスターの父……先代当主たるウルハ・エルダーグラスが関わってるんじゃないか?」
射抜くようなグリフィンの視線と、戸惑いと温かさの交差するポーラスターの眼差し……
ふたつを受けて、レイニーはオドオドと俯いています……。
つづきます……!
*
今回のポーズ
SSの10枚目(鼻に絆創膏を貼ったレイニーのアップ)
以上1枚のポーズは、
CC.カラフル 様
よりお借りしました。いつもありがとうございます。
尚、
SSの5枚目(胸に手を添えるレイニー)
SSの6枚目(胸に手を添えるレイニー、5枚目と同一のポーズ)
SSの7枚目(グリフィン、俯瞰)
以上3枚は、自作ポーズです。
今回も、多数のMOD・CC・ギャラリー作品のお世話になりました。
すべてのクリエイター様に、心より感謝しております!
Thanks to all MOD/CC creators and all builders!
にほんブログ村
このブログ内を検索
アーカイブ
-
▼
2020
(386)
-
▼
4月 2020
(30)
- 贖罪を超える日
- 牧場主と恋人の二重奏
- お風呂撮影会と、おかん的プレイヤー
- ギャラルホルンは吹き鳴らされた
- 【解決】無限セーブとデータ破損とその後
- デフォルトシムさん降臨、再び
- 夢のなかでも、大ボケ小ボケ
- 彼女の名は、悲嘆のレイニー
- 遊びながらシアターを建てる日
- 子供になったベーア姉妹
- ぬくもりは息を吹き返す
- いろんな角度で撮影会
- 薄氷が砕け散る時
- 世界が夢見た兄妹生活
- ミナキ家の、すっとぼけた夜
- 勝者のいない世界
- ユキちゃんの新しい朝
- 灯台守は夜空を見上げて
- 奈落の底の、少年と魔女
- バディもの的な兄妹と、感謝を
- 坊っちゃんは、出番待ち
- いにしえの戦士の述懐
- 現存最古のSS
- 彼女の許へと遡上する
- 情報屋とキャンディーちゃん
- 彼の、血脈の魔法
- 過ぎ去りし日のSS
- 黙っていれば兄弟と思われない
- 妖精のような子がやってきた
- 情熱は消えない
-
▼
4月 2020
(30)
ラベル
【Terms of Use】
(1)
【あの時ハナシの裏側で】
(4)
【ある日どこかで】
(106)
【サブデータ】
(5)
【プレイ日記】
(88)
【プレイ日記2020】
(157)
【プレイ日記2021】
(28)
【プレイ日記2022】
(16)
【プレイ日記2023】
(33)
【プレイ日記2024】
(20)
【配布物】
(65)
【物語のカケラ】
(17)
【夢想編】
(11)
★ガレ編
(14)
★グリフィンと欠落の姉妹編
(81)
★サンマイシューノの兄弟編
(6)
★ヨルの秘密編
(7)
★ロイヤルと裸足の魔女編
(88)
★幕間きみはここに
(11)
31の質問
(1)
31の質問回答編
(2)
Britechester
(12)
CASの話
(36)
CC作成メモ
(32)
MODメモ
(34)
MOD一覧
(2)
POSEメモ(自作)
(6)
POSE置場(自作)
(50)
SS撮影
(111)
StrangerVille
(23)
いろいろな世帯
(23)
ヴァトーレ家
(9)
ウィンター家
(21)
エンバー家と縁者たち
(7)
おじガール世帯
(11)
カー家
(95)
チョン家
(9)
ドレス少年世帯
(20)
ナカマたちの世帯
(2)
バルクリ家
(8)
フォーン家
(2)
フォーン家(A)
(25)
フォーン家(B)
(22)
プレシャス・トゥ・ヒロインズ
(37)
ベーア家
(60)
ヘクターの難破船
(1)
マジカル後継者世帯
(348)
マジカル旅人世帯
(47)
マジック賢者世帯
(10)
ミナキ家(子)
(146)
ミナキ家(親)
(17)
過去編
(14)
閑話
(49)
御挨拶
(1)
登場人物
(16)
未分類
(22)
目次
(2)
旅人チガヤの二万マイル
(2)
0 件のコメント:
コメントを投稿