彼女の名は、悲嘆のレイニー

2020年4月23日木曜日

【プレイ日記2020】 ★ロイヤルと裸足の魔女編 カー家 マジカル後継者世帯

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こんにちはー。

本日は、また「ロイヤルと裸足の魔女編」ですー。
ロイヤルとユキちゃん、そしてリノ・ミナキには、ひと時の平安が訪れました。同じ頃、遠く離れたロイヤルの実家……ノーマン一族のお屋敷では、何が起きていたのか?ロイヤルの兄・グリフィンと姉・ポーラスターのその後の動向は?……というエピソードを、今回はお届けしたいと思います。

それでは、本日もまいりましょう!




グリフィンとポーラスターの兄妹は、お屋敷のなかの「とある一室」を訪ねていました。

ふたりの従姉妹である、レイニー・クレイフィールドの居室……。
外の世界に身寄りのないレイニーは、グリフィンとポーラスターの父ウルハによって、お屋敷から追放されることが決められました。グリフィンは父の決定に反抗し、ポーラスターと共に「レイニーを救う手立て」を考えています。

ポーラスター「レイニーは、まだドアを開けてくれない……?

グリフィン「ああ、ノックしても返事はない。だが、ドアの向こうに気配がするし、昨日おれとおまえがドアの下に入れた手紙も、無くなってる。彼女が読んでくれたと思いたい。……使用人が掃除の時に見つけて回収してしまった、というのもあり得るが」


ポーラスター「……コワいこと言わないでよ」

もし使用人が拾ってしまったら、父ウルハの手に渡ってしまうのが目に見えているので、ポーラスターは身震いしました。兄妹は人目(シム目)を避けて小声で話していましたが、それでもその声は、廊下じゅうにぽわんと反響しています。


グリフィン「……行こう。いつまでも部屋の前を占領して話していると、それはそれで、レイニーにプレッシャーを与えそうだ。十年以上、部屋から一歩も出なかった女だ。おれたちが、彼女に歓迎されてないのはわかってる」

ポーラスター「うん、そうだね……」

兄に続いてポーラスターが歩き出した時、カチャリとドアノブがまわる音がして、彼女は振り返りました。グリフィンは既にだいぶ先を歩いていて、階段を下り始めています。


ポーラスター「待って、兄さん

グリフィン「…………?」


部屋の前に、レイニー・クレイフィールドが出て来ていました……。


ポーラスター「…………!火の、精霊……?

赤みを帯びた彼女の顔の色を見て、ポーラスターが驚きの声を洩らしました。


グリフィン「おまえが……レイニー・クレイフィールドか」

ある種の感慨を持って、グリフィンはそう言いました。十年以上居室に閉じこもっていた従姉妹の姿を見るのは、彼にとってはこれが初めてでした。ポーラスターだって、はるか昔にうしろ姿を見たきりだというのですから、似たようなものでしょう。

ようやく出てきてくれたことに感銘を受けてはいても、グリフィンはあまり感情を込めず、いつも通り断定的でやや不遜な感じです。その口調が冷たく聞こえたのでしょう、レイニーがビクッと肩を震わせました。

レイニー「……はい」

消え入りそうな声。

グリフィン「おまえと話がしたい。ただ、使用人や他の家族の目には触れたくないと思ってる。温室にでも行くか?」

レイニー「……いいえ」

グリフィン「じゃあ……、おまえの部屋を借りたい」

レイニーは一歩わきに退(しりぞ)き、手でお部屋のなかを示しました。

レイニー「お入りください、グリフィン様……。ポーラスター様も、どうかご一緒に」



お部屋のなかは暖かく、女の子らしいしつらえでした。
ポーラスターの顔が明るくなり、その唇が「可愛い……!」という形に動きます。
自分のお部屋であるにも関わらず、レイニーは隅のほうに立って、子ウサギのように小さくなっています。

グリフィン「……怖がる必要はない」

グリフィンが例によって、親切ではあるが、感情の読み取りにくい口調で言います。

ポーラスター「グリフィンのその真顔が、コワがらせてるんだと思うけど」

グリフィン「?」

ポーラスター「ごめんごめん、なんでもない。いいんだよ、グリフィンはそのままで」

彼の妹がそう笑ってから、「ほぼ初対面」の従姉妹に向きなおります。

ポーラスター「レイニー、お部屋に入れてくれてありがとう!初めまして。ご存知の通り、こちらがわたしたちの新しい代表である、第二十七代当主グリフィン・トワイライト。わたしはその妹の、ポーラスター。…………?その鼻のキズ、どうしたの?


レイニー「あ……、その。実験で、失敗した……のです。魔法薬の調合がうまくいかず……バクハツ、させてしまいました」


ポーラスター「そうなんだ。……あ、ちょっと待って。わたし、可愛い絆創膏持ってるんだ。レイニーにもあげるね?はい、どうぞ!」

レイニー「これ、全部……?」

小さな絆創膏が二ダースも入ったパックを手渡されて、レイニーが少し目を大きくしました。


ポーラスター「うん、レイニーが使って?そうだな……これは今日、わたしたちが出会った記念かな?レイニーはもう大人だから、ちょっとコドモっぽい絵柄に思えるかもしれないけど、そこは勘弁してもらえると嬉しいな。ふふ」

(※レイニー・クレイフィールドは、十八歳です)

レイニー「ピンクに、ブルー、ハートの模様……の絆創膏……。可愛い、です……」

女の子同士ならではの方法で距離を縮めようと試みるポーラスターと、それをぎこちなく受け入れるレイニーを、グリフィンは黙って見守っていました。

グリフィン「……レイニー・クレイフィールド。おれがおまえに会っていることが知られると厄介だから、早めに本題に入りたい。だが、その前にひとつだけ。おまえが火の精霊だとは、知らなかった。火の粉を撒いたようなおまえの姿を見て、驚かなかったと言えばウソになる。おれもポーラスターも、おまえについて……おれたちの従姉妹について、多くを知らされてなかったから」

彼は率直に、そのことに触れました。

グリフィン「だが、おまえの精霊としての姿には、何か……違和感を感じる。おまえが今その姿をとっていることには、何か理由があるはずだ」

レイニー「…………!!

ポーラスター「グリフィン……?」


レイニーが怯えたように、首を縮めました。ポーラスターは、鋭敏な兄が何を感じ取ったのかわからず、少し心配しながらびっくりしています。

グリフィン「言いたくないなら構わない。だが、おまえが今その姿をしていることには、おれとポーラスターの父……先代当主たるウルハ・エルダーグラスが関わってるんじゃないか?」

射抜くようなグリフィンの視線と、戸惑いと温かさの交差するポーラスターの眼差し……
ふたつを受けて、レイニーはオドオドと俯いています……。

つづきます……!



今回のポーズ

SSの10枚目(鼻に絆創膏を貼ったレイニーのアップ)

以上1枚のポーズは、
CC.カラフル 様
よりお借りしました。いつもありがとうございます。

尚、
SSの5枚目(胸に手を添えるレイニー)
SSの6枚目(胸に手を添えるレイニー、5枚目と同一のポーズ)
SSの7枚目(グリフィン、俯瞰)
以上3枚は、自作ポーズです。

今回も、多数のMOD・CC・ギャラリー作品のお世話になりました。
すべてのクリエイター様に、心より感謝しております!
Thanks to all MOD/CC creators and all builders!

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