本日は、また「ロイヤルと裸足の魔女編」ですー。
お屋敷を追放されることが決まった従姉妹・レイニーを救うため、彼女と面会したグリフィンとポーラスター。しかし、レイニーは前当主(であり、グリフィンとポーラスターの父親でもある)ウルハに盲目的な信頼を寄せ、自分はウルハの決定に従うのだと語ります。状況は膠着したかに見えましたが……?
それでは、本日もまいりましょう!
*
これといった収穫もないまま、レイニーとの秘密の面会は終わり……、
グリフィンとポーラスターは、廊下にもどってきました。
レイニーは最後まで「ウルハ様に従う」の一点張りで、彼女自身がウルハの決定をどう思っているのか、その本心を話してはくれませんでした。
ポーラスター「正直、びっくりした。レイニーがあんなにお父様に心酔してるなんて」
グリフィン「ああ、そうだな……」
ポーラスター「レイニー本人があの調子だと、どうしたらいいんだろう?匙を投げて見ないふりするのは簡単だけど、それじゃ何も解決しないもの。お父様の暴虐には逆らって良いんだってこと、レイニーはわかってくれるかな。……彼女に、ロイヤルのことも訊かれたね?【ロイヤル様はお元気にしてますか?】って。レイニーがロイヤルを気に掛けるのも……なんだか不思議な感じだった。だって、彼女はロイヤルと会ったことないはずだよね?」
グリフィン「…………」
グリフィンは妹の顔を見つめて、答えあぐねていました。
【レイニーが、ロイヤルの婚約者としてお屋敷に置かれていた娘であること】を、ポーラスターは知りません。ロイヤル本人にさえ、その婚約計画は知らされておらず、それを知っている子供は長男であるグリフィンだけだった。
この婚約計画は、ロイヤルがそうであったように、レイニーの側にも知らされていなかったのでしょうか?
グリフィン(あの親父のことだ。当然、レイニーにも知らせなかっただろう)
と、彼は思いました。
しかし、知らされていなかったとすれば……
確かに、レイニーはどうして急に、ロイヤルのことを気に掛けたりしたのでしょう?
会ったこともないはずなのに?
彼女にとって、ロイヤルは何か特別な存在なのでしょうか?
グリフィン「レイニーの部屋に、親父の本があった」
ポーラスター「え?」
同時に複数のことを考えるクセのあるグリフィンが、もうひとつ頭の隅で考えていたことを、意識の上にのぼらせました。
グリフィン「親父は凝り性だから、魔法研究の成果を何百枚もの原稿にまとめて、私家版を刷るクセがあるだろう。そのうちの一冊がレイニーの部屋にあるのを見た。著者の名前が親父のペンネームだったから間違いない」
グリフィン「レイニーを見てると、昔のおまえを思い出す」
ポーラスター「え?」
ポーラスターの声がひっくり返りました。
ポーラスター「似てる?わたしとレイニーが!?流石にそんなことは……ないんじゃないかな。レイニーはおとなしくて控えめだし、いい子だもの。グリフィンの目、おかしくなっちゃった?引き換え、わたしはご存知、夜な夜な食糧庫からお菓子を盗む【悪童のポーラ】だったんだよ?」
グリフィン「今のレイニーと同じように、かつて、誰もおまえを顧みなかった。おまえの母上でさえも」
ポーラスターの呼吸が、一瞬だけ止まりました。ふだんなら笑い飛ばしてしまえる子ども時代の記憶が、彼女の前にありありと立ち現れてきました。
グリフィン「そして、おれもロイヤルも、おまえを助けるために何もしなかった」
優しくも厳しいグリフィンが、沈んだ声で断罪しました。
ポーラスターは、まだ動悸の残る胸に手を当てて、目を閉じました。そうして暫く心を落ち着けたあと、彼女は兄にほほえみました。
ポーラスター「……わたしだって、グリフィンやロイヤルを助けようとしなかった。わたしはただ、ふたりの苦境を傍観してただけ。……それでよかったとは全然思わないけど、もう一度あの頃の自分に戻れるとしても、わたしはやっぱり何もしないと思う。……仕方なかったんだよ。わたしたちはみんな子どもで、力が足りていなかった。でも、今は違う」
グリフィン「そうだ。今はもう、おれたちは無力ではないと信じてる。あの頃と同じことはしない」
ポーラスター「……うん!今度は、レイニーのためになることをしよう」
グリフィン「必ず」
つづきます……!
*
今回のポーズ
SSの1枚目(歩くグリフィンとポーラスター)
SSの2枚目(ポーラスター)
SSの3枚目(ロイヤル・イメージ)
SSの5枚目(話すグリフィン)
SSの7枚目(ドア前のレイニー)
SSの8枚目(目を伏せるグリフィン)
SSの10枚目(目を伏せるポーラスター)
以上7枚ののポーズは、
新生まるきぶねスローライフ 様
よりお借りしました。いつもありがとうございます!
SSの9枚目(子供時代のポーラスター)
以上1枚のポーズは、
A-luckeyday 様
よりお借りしました。いつもありがとうございます!
他、たいへん多数のMOD・CC・ギャラリー作品のお世話になりました。
すべてのクリエイター様に心より感謝しております!
Thanks to all MODS/CC creators and all builders!
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ポーラスター「正直、びっくりした。レイニーがあんなにお父様に心酔してるなんて」
グリフィン「ああ、そうだな……」
ポーラスター「レイニー本人があの調子だと、どうしたらいいんだろう?匙を投げて見ないふりするのは簡単だけど、それじゃ何も解決しないもの。お父様の暴虐には逆らって良いんだってこと、レイニーはわかってくれるかな。……彼女に、ロイヤルのことも訊かれたね?【ロイヤル様はお元気にしてますか?】って。レイニーがロイヤルを気に掛けるのも……なんだか不思議な感じだった。だって、彼女はロイヤルと会ったことないはずだよね?」
グリフィン「…………」
グリフィンは妹の顔を見つめて、答えあぐねていました。
【レイニーが、ロイヤルの婚約者としてお屋敷に置かれていた娘であること】を、ポーラスターは知りません。ロイヤル本人にさえ、その婚約計画は知らされておらず、それを知っている子供は長男であるグリフィンだけだった。
グリフィンは父親から、そう聞かされていました。
レイニーのほうは、どうなのだろう?
という疑問が、彼の頭に浮かびました。
レイニーのほうは、どうなのだろう?
という疑問が、彼の頭に浮かびました。
この婚約計画は、ロイヤルがそうであったように、レイニーの側にも知らされていなかったのでしょうか?
グリフィン(あの親父のことだ。当然、レイニーにも知らせなかっただろう)
と、彼は思いました。
しかし、知らされていなかったとすれば……
確かに、レイニーはどうして急に、ロイヤルのことを気に掛けたりしたのでしょう?
会ったこともないはずなのに?
彼女にとって、ロイヤルは何か特別な存在なのでしょうか?
グリフィン「レイニーの部屋に、親父の本があった」
ポーラスター「え?」
同時に複数のことを考えるクセのあるグリフィンが、もうひとつ頭の隅で考えていたことを、意識の上にのぼらせました。
グリフィン「親父は凝り性だから、魔法研究の成果を何百枚もの原稿にまとめて、私家版を刷るクセがあるだろう。そのうちの一冊がレイニーの部屋にあるのを見た。著者の名前が親父のペンネームだったから間違いない」
グリフィン「だが、おかしい。……本来、親父は一族のなかでも研究を共にした者にしか、私家版を配らないから。レイニーは……共同研究者ではないはずだ」
ポーラスター「それは……まあ、そうだね?レイニーはずっとお部屋に閉じこもって、誰とも会わなかったって聞いてるし。そんな毎日で、お父様の研究をお手伝いするなんて、確かに出来ないと思うけど……」
グリフィン「……レイニーには、不自然な点が多い。彼女は内気で、怯えていて、それで部屋から出て来ないと思ってた。……だが、そうじゃない可能性がある。調べてみたほうがいい」
ポーラスター「そうだね、わたしもやる。……さっき、レイニーが兄さんの話を聴いてた時ね、時折ふっと子供みたいな目をすることがあったの。なんだか……自分が迷子になったと気づいた時の、子供みたいな。……彼女は【追放を受け入れる】と言ったけど、彼女の表情は助けを求めてたと思う」
グリフィン「ああ……」
グリフィン「…………」
ポーラスター「ねえ、グリフィン……?訊くのやめようかと思ったけど、気になるからやっぱり訊くね?……さっきから、どうしたの?兄さんは元からよく喋るほうじゃないと思うけど、それにしても口数が少ないよ?」
グリフィン「…………」
グリフィンはポケットに手を入れて俯いたまま、目だけ動かしてポーラスターを見ました。
そうしていると、妙な迫力を帯びるのですが、彼の妹は慣れていたので気にしませんでした。
しかし、グリフィンは十秒がすぎても口を開きませんでした。答える気がないのかもしれない。ポーラスターがだんだん諦めはじめた頃、
ポーラスター「それは……まあ、そうだね?レイニーはずっとお部屋に閉じこもって、誰とも会わなかったって聞いてるし。そんな毎日で、お父様の研究をお手伝いするなんて、確かに出来ないと思うけど……」
グリフィン「……レイニーには、不自然な点が多い。彼女は内気で、怯えていて、それで部屋から出て来ないと思ってた。……だが、そうじゃない可能性がある。調べてみたほうがいい」
ポーラスター「そうだね、わたしもやる。……さっき、レイニーが兄さんの話を聴いてた時ね、時折ふっと子供みたいな目をすることがあったの。なんだか……自分が迷子になったと気づいた時の、子供みたいな。……彼女は【追放を受け入れる】と言ったけど、彼女の表情は助けを求めてたと思う」
グリフィン「ああ……」
グリフィン「…………」
ポーラスター「ねえ、グリフィン……?訊くのやめようかと思ったけど、気になるからやっぱり訊くね?……さっきから、どうしたの?兄さんは元からよく喋るほうじゃないと思うけど、それにしても口数が少ないよ?」
グリフィン「…………」
グリフィンはポケットに手を入れて俯いたまま、目だけ動かしてポーラスターを見ました。
そうしていると、妙な迫力を帯びるのですが、彼の妹は慣れていたので気にしませんでした。
しかし、グリフィンは十秒がすぎても口を開きませんでした。答える気がないのかもしれない。ポーラスターがだんだん諦めはじめた頃、
グリフィン「レイニーを見てると、昔のおまえを思い出す」
ポーラスター「え?」
ポーラスターの声がひっくり返りました。
ポーラスター「似てる?わたしとレイニーが!?流石にそんなことは……ないんじゃないかな。レイニーはおとなしくて控えめだし、いい子だもの。グリフィンの目、おかしくなっちゃった?引き換え、わたしはご存知、夜な夜な食糧庫からお菓子を盗む【悪童のポーラ】だったんだよ?」
グリフィン「今のレイニーと同じように、かつて、誰もおまえを顧みなかった。おまえの母上でさえも」
ポーラスターの呼吸が、一瞬だけ止まりました。ふだんなら笑い飛ばしてしまえる子ども時代の記憶が、彼女の前にありありと立ち現れてきました。
グリフィン「そして、おれもロイヤルも、おまえを助けるために何もしなかった」
優しくも厳しいグリフィンが、沈んだ声で断罪しました。
ポーラスターは、まだ動悸の残る胸に手を当てて、目を閉じました。そうして暫く心を落ち着けたあと、彼女は兄にほほえみました。
ポーラスター「……わたしだって、グリフィンやロイヤルを助けようとしなかった。わたしはただ、ふたりの苦境を傍観してただけ。……それでよかったとは全然思わないけど、もう一度あの頃の自分に戻れるとしても、わたしはやっぱり何もしないと思う。……仕方なかったんだよ。わたしたちはみんな子どもで、力が足りていなかった。でも、今は違う」
グリフィン「そうだ。今はもう、おれたちは無力ではないと信じてる。あの頃と同じことはしない」
ポーラスター「……うん!今度は、レイニーのためになることをしよう」
グリフィン「必ず」
つづきます……!
*
今回のポーズ
SSの1枚目(歩くグリフィンとポーラスター)
SSの2枚目(ポーラスター)
SSの3枚目(ロイヤル・イメージ)
SSの5枚目(話すグリフィン)
SSの7枚目(ドア前のレイニー)
SSの8枚目(目を伏せるグリフィン)
SSの10枚目(目を伏せるポーラスター)
以上7枚ののポーズは、
新生まるきぶねスローライフ 様
よりお借りしました。いつもありがとうございます!
SSの9枚目(子供時代のポーラスター)
以上1枚のポーズは、
A-luckeyday 様
よりお借りしました。いつもありがとうございます!
他、たいへん多数のMOD・CC・ギャラリー作品のお世話になりました。
すべてのクリエイター様に心より感謝しております!
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