本日は、また「ロイヤルと裸足の魔女編」ですー。
リノへの怒りから、我を忘れていたロイヤル。しかし、マル・フォーンの話を聞き、ユキちゃんに支えられ、自分を取り戻しました。再び前を向いた彼は「試したいことがある」と、ユキちゃんをバーの外に連れ出すのですが……?
それでは、本日もまいりましょう!
*
ユキ「何をするの?外で」
ロイヤル「うん。頭がクリアになったら、思いついたことがあってさ。新しい魔法を試すんだ」
時刻は、午後。場所は、ウィンデンバーグのバーの外。
ロイヤル・バーンウッドはそう言って自分の手を見つめ、その手を握ったり開いたりしました。
ロイヤル「ただ、その前に確かめておかなきゃいけないことがある。どうやら今、おれの瞬間移動の技は使えなくなっているらしいんだ。本当は、それが使えれば一発なんだけどな」
ユキ「…………?何が、一発なの?」
ロイヤル「一発でリノのところまで移動できる、ってこと。あの技、相手の名前を呼びさえすればその相手のところまで飛べるんだから、彼女を探し出す手間が省ける。でも、おれが昨夜ユキのところに飛ぼうとした時、変な反動が起こって技が発動しなかったんだ。一応、もう一度やってみよう。ユキ、おれの腕を掴んでて。もし発動すれば、一瞬で彼女の前に着く」
ユキ「すごい」
ユキちゃんは感嘆のため息を洩らし、トトを片手で抱きあげました。もう片方の手で、ロイヤルのひじのあたりを掴みます。
ユキ「でも、その技……を使って、ロイヤルの身体は大丈夫なの?ロイヤル身体が弱ってるって、マルさんが言ってた」
ロイヤル「心配するなよ。手、離さないで」
ロイヤルは目を閉じ、腕を肩の上からまわして自分の背中に触れました。そこにある刺青……梟の紋章を感じながら、彼女の名前を唱えます。
ロイヤル「リノ」
途端に「ばちんっ!」とスイッチが切られるような音がして、ロイヤルの身体を、痺れるような衝撃が走りました。
ユキ「ロイヤル!大丈夫……!?」
ロイヤル「痛てて。……やっぱり発動しないな」
ロイヤルとユキちゃんは変わらず、ウィンデンバーグのバーの外に立っています。
ユキちゃんは心配そうに、ロイヤルの背中をさすります。
ロイヤル「ありがとう。平気。技が発動しないのは【前提】だし。……反動があって弾かれるのは、おれの魔力が足りないせいだという気がする。ガス欠で空回りしてるんだ。もしかすると、他に原因があるのかもしれないけど」
ユキ「無理しないで」
ロイヤル「うん。で、ここからが本題だ。新しい魔法を試してみる。おれ、リノを追跡する方法がもうひとつあることに気がついたから。……さっき、マルの話を聞いてて思いついたんだ。マルはバーの外を通りかかった時におれの気配を感じて、それを辿って店に入ってきた、って言ったよな?リノに対しておなじことが出来ないか、やってみる。気配を辿るんだ。リノのブラッドの匂いを遡って、それを嗅ぎ当てたら掴んで引っ張る。うまく行けばおれの血筋が手助けして、おれの背中にある瞬間移動の技が、微弱に発動する。空間を超えて、彼女の許へ引き寄せられるはずだ。たぶんこのやり方だと、少ない魔力でもジャンプできる」
自分の話があまりにも突飛であることに、彼自身は気づいていないようでした。
彼の紫色の瞳が、彼の一族の名にふさわしく、魔法的に輝いています。
ユキ「そんなことが」
ロイヤル「おれと何の関わりもないシムなら、こんな技使っても瞬間移動なんか発生しないと思うけど。でも彼女が……リノが、本当にライオネル・トワイライトの妻であるとしたら。……そしたら、彼女とおれの間には、決してほどかれることのない結束があるってことだ。ライオネルは、おれの祖先。その妻である彼女もまた、おれの祖先ということだから。おれは血の繋がりを遡って、彼女の許へ飛ぶんだ!」
ユキちゃんの目に、この世の不思議を目にした者特有の、敬意と驚きが現れていました……。
ユキちゃんの目に、この世の不思議を目にした者特有の、敬意と驚きが現れていました……。
ロイヤルは胸に手をあて、自分の鼓動を感じました。自分の血の匂いを嗅ぎ、風の匂いを嗅ぎ、どこかに居る彼女の鼓動に耳をそばだてました。
ですが……
やがて彼は目を開け、水にぬれた犬のように頭を振りました。
ロイヤル「むっずかしいな……!練習が必要かもしれない。待って。もうちょっとやってみる」
息を吐いて心を落ち着け、もう一度胸に手をあてます。
ロイヤル「…………。…………。うまく行かない。でも、やり方は合ってるはずだ。……もう一度」
ユキちゃんがじっと見守る前で、坊っちゃんは魔法の「成立」に挑み続けます。
そして……。
ユキ「ロイヤル、ソフトクリーム買ってきたよー?あんまり根を詰めると、ほんとに倒れちゃう。十分だけお休みしよう?」
延々続く練習を見かねて、ユキちゃんが差し入れを持ってきてくれました。
彼女はロイヤルの体調を心配しているはずですが、集中しているロイヤルの足かせにならないよう、普段通りに明るく接しています。
彼女はロイヤルの体調を心配しているはずですが、集中しているロイヤルの足かせにならないよう、普段通りに明るく接しています。
ロイヤル「……あ。あまくて美味しい」
ユキ「ふふ、ほんとに美味しいね?そこの曲がり角で、ブリンドルトン・ベイの牧場から来たアイスクリーム屋さんが、屋台を出してたの」
ロイヤル「バニラかと思ったら、ミルク味だった。なんか、いいな。ユキのは、イチゴか?」
ユキ「ううん。桜餅の味」
ロイヤル「バニラかと思ったら、ミルク味だった。なんか、いいな。ユキのは、イチゴか?」
ユキ「ううん。桜餅の味」
気は逸りますが、焦りは禁物です。
坊っちゃん。充分に休憩したら、また歩き出しましょう。
つづきます!
*
今回のポーズ
SSの6枚目(ソフトクリームを持つユキちゃん)
SSの7枚目(ソフトクリームを持つロイヤル)
いつもありがとうございます。
SSの4枚目(手を握るロイヤル)
SSの5枚目(ロイヤルの手)
の2枚は、自作ポーズです。
他、たくさんのMOD・CC・ギャラリー作品のお世話になりました。
すべてのクリエイター様に、心より感謝しております!
Thanks to all MODS creators and all builders!
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