こんにちはー。

本日は、また「ロイヤルと裸足の魔女編」ですー。
魔力が枯渇し、みずからの生命が危機に瀕しているにも関わらず、誰にも助けを求めないロイヤル。彼は「あまったれの卑怯者」だった自分から脱皮しようとして、事態をひとりで解決しようともがいていました。そんなロイヤルの許に、ユキちゃんから野外上映会(映画会)のお誘いが届きます。その誘いはロイヤルの心を明るくし、彼はウィンデンバーグへ出かけようとしますが……?

それでは、本日もまいりましょう!




ユキ「遅いね、ロイヤル……」

リノ「……そうですね」

野外上映会直前。
ウィンデンバーグのカフェでは、ユキちゃんとリノ(フォレスティーナ)が待ちくだびれている様子でした。ここは、ふたりとロイヤルの待ち合わせ場所。ユキちゃんもリノもとっくにお茶を飲み終わって、ぼんやりするばかりです。


ユキ「……今、一時四十五分。上映会が始まっちゃう。ロイヤルが遅刻なんて、今まで一度もなかったのに。……ともかく、映画が始まったあとも会場には入れるはずだから、ロイヤルにそのことをメールしておくね?そして……彼には悪いけど、わたしたちは先に、入場しようか……?」

リノ「…………」

リノは何も言わず、緊張した顔をしていました。
彼女が射抜くようにユキちゃんを見た時、その赤い瞳は「あなたに同意する」と伝えていました。


ユキ「…………」

その頃「行方不明」のロイヤルがどこに居たかというと……?


砂ぼこりが舞うストレンジャービルの片隅に……


苦しそうにうずくまる、坊っちゃんの姿がありました。

通りすがりの婦人「坊や、大丈夫……?

ロイヤル「あ……、平気です。めまいがしただけ。ありがとう」

ぎこちなく笑って身体を起こし、ロイヤルは日差しに手をかざして透かし見ました。

ロイヤル「まいったな……。こんなに急激に身体に【来る】とは、思ってなかった。まさか、歩くのがキツくなるなんて。ウィンデンバーグ行きのバスは……とっくに行っちゃったな……」

…………。
……………………。

空虚な風が、通りを吹き抜けます……。


そして、その日の夕刻。
ウィンデンバーグの「野外上映会場」には、まだほのかな熱気と興奮が、余韻のように残っていました。そして、ユキちゃんとリノはまだ、そこでぽつんと彼を待っているのでした。


ユキ「ロイヤル、来なかったね……。どうしたんだろう、何かあったんだと思う。映画を観てる間は携帯電話の電源をオフにしていたから、今から連絡を取ってみる……!フォレスティーナ、彼にメッセージを送る間、少し待っててもらってもいい?」

リノ「勿論です」

ユキちゃんは手慣れた指さばきで文章を打ち、送信します。

…………。
……………………。

ユキ「…………!!すぐに既読がついた!よかった……ロイヤルはメッセージを見てる!元気なんだ……!」

ユキちゃんの顔が、花がほころぶように明るくなりました。
そして、次の瞬間、

ロイヤル「ユキ!リノ!

ユキ「え……?」

リノ「…………!」


映画会場への小道を、ロイヤルが駆けてきます。
携帯電話を握りしめ、健康な少年そのものの顔をして!

ロイヤル「ごめんな……!とんでもなく遅くなっちゃった。ほんとにごめん。映画は……もう終わっちゃったよな……!?」

からっぽの会場に飛び込んできたロイヤルは、急ブレーキを掛けました。
膝に両手をつっぱって、ゼーハーと息をしています。

ユキ「よかったぁ……!ロイヤル、今までどこに居たの?わたし、ロイヤルの身に何かあったのかと思っちゃった。それに、わたしたちこそロイヤルを置いてきてごめんね?もしかして、道に迷っちゃった……?」


ロイヤル「え?あ、えーっと、忘れ物しちゃったんだ!はは、馬鹿だよな、おれ。それで家まで取りに帰ってたら、バスを逃しちゃって」

見るからに狼狽えながら、ロイヤルはそう誤魔化しました。

実際には、弱った身体を引きずるように停車場まで歩いて、三本も遅いバスになんとか乗って、こうしてここに駆けつけたのです。何としても約束を違えず、ユキちゃんの許にたどり着きたい……と、彼はそれだけを思っていたのです。

ユキ「…………。何を、忘れちゃったの……?」

いつも素直なユキちゃんが、珍しく疑いを消すことが出来ずに訊きました。
彼女の目は、ロイヤルの蒼白な顔を見つめています。走ってきたから白い顔をしているのではなく、体調が悪いのではないかと……もしかしてロイヤルがどこかで倒れていたのではないかと……そう気づいているのです。

ロイヤル「え、あ、えーと、電話だよ。携帯電話を忘れたんだ」


ユキ「…………。そう……」

ロイヤルが本当のことを話す気がない以上、ユキちゃんも踏み込むことが出来ません……。

リノ「…………」

気まずさが、訪れました。

ロイヤル「映画」

ユキ「え?


ロイヤル「上映会では、何の映画を観たんだ?」

ユキ「あ……そっか。言ってなかったね?【ドクトル・ユスポフの十八時間四十分】だよ?」


ロイヤル「こんな林のなかで観るのは、面白いだろうな。ユキたちは楽しんだ?リノは初めて、映画っていうものを観たんだろ?……あ、おれの遅刻が頭に来て、それどころじゃなかったか……」

ロイヤルは申し訳なさそうに、肩を落としました。

リノ「…………。魔法

ロイヤル&ユキ「え?」


リノ「映画とは、まるで魔法のようでした。小屋の桟敷で芝居を観るのとも、まったく違う。ひらべったい絵が動くのを観るのは、不思議なものです。そして、白い幕いっぱいに、役者の顔が広がっていた。巨大な顔は、わたしを驚かせました。ほくろひとつが、スイカほどの大きさだった」

リノの感想は、映画やテレビやゲームに慣れ親しんだロイヤルやユキちゃんにとって、新鮮なものでした。

ユキ「ふふ……」

ロイヤル「ははは……!」

夕暮れの丘に、若者たちの笑い声がこだまして……

つづきます……!



今回のポーズ

SSの5枚目(うずくまるロイヤル)

以上1枚のポーズは、
akuiyumi
よりお借りしました。いつもありがとうございます。

尚、
SSの8枚目(駆けてくるロイヤル)
以上1枚のポーズは、自作です。

今回も、たくさんのMOD・CCのお世話になりました。
すべてのクリエイター様に、心より感謝しております!
Thanks to all MODS/CC creators!

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