本日は、また「ロイヤルと裸足の魔女編」ですー。
ユキちゃんのおうち(ベーア邸)に集まり、映画上映会を開催して楽しんだロイヤル・リノ(フォレスティーナ)・そしておうちの主ユキちゃん。そのままソファーで眠り込んでしまったロイヤルのもとに、電話が掛かってきます。起こそうとしても目を醒まさないロイヤルに代わり、ユキちゃんはおずおずと、彼の携帯電話を手に取ります。そして……?
それでは、本日もまいりましょう!
*
ユキ「も、もしもし……?」
グリフィン「…………。間違っていたら、すみません。そちらはロイヤル・バーンウッドの携帯電話では、ないのですか?」
ユキ「…………!!」
ユキちゃんは息を呑み、ソファーに沈み込んでいるロイヤルを見ました。彼は電話にはまったく気づかず、浅い寝息を立てています。電話の相手(グリフィン)の「感情をまじえない声」が詰問のように響き、ユキちゃんは狼狽えながら説明しました。
ユキ「ロイヤルは、その、眠っていて……待って、起こします……。……いいえ」
ユキちゃんは思い切って、背筋を伸ばしました。チャンスは、今しかないかもしれない。心の奥のほうで、彼女はそのことに気づきました。
ユキ「とつぜん、こんなことをお訊きしてすみません。あなたは、ロイヤルのお兄さんですか?」
グリフィン「…………?はい」
グリフィンはいつものように、短く答えました。警戒したわけではなく、彼は単純に「あまり余計なことを言わない」性格でした。
ユキ「わたし、失礼でごめんなさい。今、ロイヤルの電話に出る時に、液晶画面にあなたのお名前が表示されたのを見たんです。グリフィンさんという名前のお兄さんがいること、ロイヤルから聞いてます」
グリフィン「はい、それで」
グリフィンは、先を促します。
一生懸命話すユキちゃんの声に事情を感じ取り、ロイヤルの身に何かが起こったことを察したのです。まったく、彼の鋭敏さときたら、そらおそろしいほどでした……!
ユキ「わたしの名前は、ユキ。ウィンデンバーグに住んでる、ロイヤルの友達です。ロイヤルは今、わたしの家に居ます。寝込んでいるんです。……詳しいことをひと息に説明するのは難しいけど、ロイヤルは魔力を失って弱っています。わたしじゃ、彼の助けになれない。そして、彼は助けを拒んでいます。以前、ある魔女に、このままではロイヤルの命が危ないと言われました」
グリフィン・トワイライトは、落ち着きはらって聴いていました。訪れた危機が深刻であればあるほど冷静さを増し、冴え渡ってしまうのが、グリフィンという男でした。
ユキ「ロイヤルが知らない間に、ロイヤルの電話に勝手に出て、ロイヤルに黙ったままあなたに事情を話してしまって、ひどいことをしてると思います」
その言葉の通り、ユキちゃんの身体は小刻みに震えていて、その顔はだんだん青ざめていきました。かわいそうに、彼女は自身の行動を、ロイヤルへの裏切りだと感じてしまっているのでした。
ユキ「でも、ロイヤルが怒ってわたしと絶交すると言ったとしても、つらいけど耐えられると思います。彼が助かるのであれば」
ユキ「ロイヤルには、だれか魔法使いの支えが必要なんだと思います。彼が魔力のことで苦しんでいる以上、ほかに助けることができるシムはいないって。ロイヤルのお兄さんは凄い魔法使いなんだって、ロイヤルから聞きました。グリフィンさん、知恵を貸してください。このままじゃ……!」
ロイヤル「ユキ、何の話……?」
ふいに、ロイヤルがむにゃむにゃいう声がして、ユキちゃんはとびあがりました。これ以上ないほど蒼白な顔で振り返ると、ロイヤルがソファーに身を起こしていました。ユキちゃんは電話を続けながら、じりじりとロイヤルから離れ、出来る限りロイヤルに聞こえないよう努めていたはずなのですが……やはり、限界がありました。
ロイヤルは、ユキちゃんが彼の電話を耳に当て、棒立ちになっているのを見ました。ユキちゃんの目尻には、苦しい涙がにじんでいます。
今度は、ロイヤルが色を失う番でした。
ロイヤル「ユキ、どうして泣くんだ……?いや……それ、誰から電話……?」
そこまで言って、彼は口をつぐみました。
ユキちゃんが誰と話しているのか……こんな夜遅く、ロイヤルに電話してくるのは誰なのか……思いあたる人物は、そう多くはありませんでした。
ロイヤル「電話、こっちに」
ロイヤルは手を突き出し、有無を言わせぬ口調で要求しました。
実のところ彼もまた、タンバリンを乱打したかのような動悸を感じています。自分が文字通り「死んでも」守ろうとしていた秘密が、あっけなく暴かれようとしているのを理解して、恐怖と安堵がごちゃ混ぜになっているのです。
ユキちゃんは何も言えず、携帯電話を手渡します。
ユキちゃんの手から電話が離れる直前、機器の向こうで、グリフィンが何か言いました。手は打つ……?そう。「手は打つ」と、彼はユキちゃんにだけ聞こえる声で言ったのです。
ロイヤル「もしもし。……あぁ、グリフィン。……ううん、なんでもない。……うん、何も起きてない。なんにも。……うん、うん、問題ない。なんでもないったら!グリフィンが心配することなんて、何もないよ!おれは、平気だから!!」
取りつくしまもなく、ロイヤルは画面をタップして、電話を切ってしまいました。
しかし……、降って湧いた事態に対する混乱で、彼の顔は泣きそうに歪んでいました。そして、彼の叫び声もまた、悲鳴のように尾を曳くのでした……。
グリフィン「…………」
つづきます……!
*
今回のポーズ
SSの6枚目(缶を投げるロイヤルとユキちゃん)
SSの8枚目(顔を手で押さえるロイヤル)
以上2枚のポーズは
新生まるきぶねスローライフ 様
よりお借りしました。いつもありがとうございます。
尚、
SSの4枚目(グリフィン、アップ)
SSの9枚目(ロイヤルの手)
以上2枚のポーズは、自作です。
今回も、たいへん多くのMOD・CC・ギャラリー作品のお世話になりました。
すべてのクリエイター様に、心より感謝しております!
Thanks to all MODS/CC creators and all builders!
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