願いと背徳の行方

2020年5月7日木曜日

【プレイ日記2020】 いろいろな世帯

t f B! P L
こんにちはー。

前記事の「お知らせ」にて、5月7日の朝までに次の更新をするとお伝えしておりましたが、遅くなってしまって申し訳ございません。(今、5月7日の昼です)少々、リアルで多忙になっておりました……。

そして、本日は仕込みが間に合っていないため「ロイヤルと裸足の魔女編」は、おやすみです。

そこで、今回は……
先日お届けした「ハイスクールのスター的少女ジョイ・ラム&コンプレックスだらけのヴァンパイア少年レヴィ・タル」のデートの続き(後編)を見てみたいと思います!

それでは、本日もまいりましょう!




「おれは、彼女にふさわしい男ではないのではないか?」
「もしわたしが、今のわたしと全然違うシムだったら、彼はもっとすんなり恋人になってくれたのではないか?」

それぞれの青春の悩みはそのままに、ジョイ&レヴィはテーマパークにやってきました。

ここは、オアシススプリングスの中心部。新しくオープンしたパークは、西部劇映画のセットの中をじかに歩ける「映画記念パーク」だったのでした。


ジョイ「わぁ、見てレヴィ!シェリフ・スターがある。ここ、保安官事務所なんだわ!」

レヴィ「しぇりふ・すたー……?」

ジョイ「うん、あのお星さまのマーク。入ってみよう?チケットは【一日パスポート】を買ったから、わたしたち、どの建物でも自由に見学できるのよ?」

レヴィ「へぇ、そうなんだ。便利だなぁ……。うわ、まぶし……!

雲間から強い日差しが差し込んで、レヴィが目でも痛んだように、眉間を押さえました。大きな日傘を差しているにもかかわらず、ヴァンパイア少年の背中からは「ぷすぷすぷす……」と、煙が出はじめています。

ジョイ「たいへん!レヴィ、保安官事務所のなかへ!早く!」


保安官事務所(映画のセット復元)のなかは、ひんやりと涼しくて静かでした。

ジョイ「……【ご自由にお座りください】だって。座ってみる?」

レヴィ「ん……」

ジョイ「うふふ……、檻の前でおしゃべりするって、変な感じね?動物園の猛獣になったような感じがする」

レヴィ「ジョイは動物園、行ったことあるんだな?」

ジョイ「レヴィは、動物園を見たことがない?じゃあ、今度また、動物園デートしようよ?ゾウとかラマとか、ペンギンとかがいるのよ。とても面白いわ」

レヴィ「え……あ……うん……」

【デート】というワードを聞いて、再びレヴィの顔が真っ赤になりました。

ジョイ「でもまず、今日はこのパークを楽しむことにしましょう。動物園行くのは、また今度の約束よ?わたし、計画を忘れないようにする。明日、動物園のウェブページを見るわ」

レヴィ「う、うん……!」


パークの隅っこに「変わった撮影スポット」があると聞いて、園内マップを頼りにやってきたふたり。

ジョイ「うん……?レヴィ、あの白い木の枠から、何かぶらさがってるように見えない?」

レヴィ「…………!!ジョイ、見ちゃダメだ!」

ジョイ「え、うわわ……」

レヴィが腕をまわして、彼女の目を掌で塞ぎましたが、遅かった……!
ジョイはばっちり、見てしまいました。


白い木の枠……絞首台にぶらぶら揺れる、しゃれこうべを!

ジョイ「…………!…………?あはは、レヴィ、大丈夫よ!あれは模型だわ!とてもよく出来てる」

レヴィ「え……あ、ほんとだ。びっくりした……。ジョイに骸(むくろ)なんて見せたくなかったから……」

ジョイ「ありがとう、心配しないで?ここはパークの中ですもの。すべては美しい作り物よ?」


観光施設というものに慣れてきたらしく、レヴィもだんだん楽しそうな顔を見せはじめました。
さっきから、あちこちの壁やテーブルに携帯電話をかざしては、満足そうな顔をしています。

レヴィ「うん?気になるの?これ、電子スタンプラリーだよ。パークのあちこちにマークが隠れてて、そこにカメラをかざすとスタンプが貯まる」

おーーー!
楽しそうです!


西部の街並みを歩く、現代の少女。
意外なほどハマるというか、絵になります!

レヴィ「…………」

ふと見ると、レヴィは暑いのか、顔をゆがめていました。

ジョイ「レヴィ……?どうしたの?」

レヴィ「……てきた」

ジョイ「え?

ぽそりと小声でつぶやくレヴィの口もとに耳を近づけると、彼はもう一度、言いにくそうに言いました。渇いてきた、と。

ジョイの顔が引き締まり、

ジョイ「レヴィ、ブラッドフルーツは持ってる?」

レヴィ「ひとつだけ、持ってる……」

ジョイ「飲んで、さあ。今なら、あたりに誰も居ない。今ならブラッドフルーツの果汁を飲んでも、あなたがヴァンパイアだって気づくシムはいないわ」

レヴィ「うん……」


レヴィはフルーツにストローを挿してごくごくと飲み……

レヴィ「まいったな。全然足りないや……」

ジョイ「頭、ぼーっとする?」

レヴィ「する……」

ジョイは左右に目を走らせ、自分の袖口をまくって手首を見せました。

ジョイ「レヴィ、飲んで

レヴィ「でも……!」

ジョイ「いいのよ。あなたが苦しんでるほうが、わたしはつらい。この像のかげで、他のシムが来ないうちに。さあ。あなたが躊躇うというのなら、わたしは自分の手首をあなたの唇に差し入れるわよ?」

強い口調で言われ、また本能的な衝動が膨らむのを抑えることが出来ず……


レヴィは、彼女のブラッドを受け取りました……。

ジョイ「う……」

レヴィ「ごめん。おれ、飲むのが上手くない」

ジョイ「うん、いいから……」


レヴィにブラッドを手渡したあと、流石にジョイは疲れを感じて、ベンチに倒れ込みました。

レヴィ「ごめん、ジョイ……」

ジョイ「そんなに悲しそうな顔をしないで?ちょっと休めば元気になるわ。……でね、わたし、あなたにブラッドを渡してる間、ちょっと考えてたんだけど」

レヴィ「うん、何……?」

ジョイ「瀉血(しゃけつ)って、こんな感じなのかしら?」

レヴィ「は?

ジョイ「大昔は【病気を治すためには、患者の血を抜くと良い】……と信じられていたって、本で読んだわ。瀉血される時ってこんな感じなのかなぁ、って考えてたの」

レヴィ「……ジョイは面白いね。おれは百二十年くらい生きてるけど、瀉血されたことはないから、よくわかんないや」

ジョイ「うふふ……」


その後、ジョイはすぐに体調を取り戻し、レヴィも渇きが癒え、ふたりは静かに散策を楽しみました。
夕刻、ふたりが最後に立ち寄ったのは……


教会(映画のセット複製)でした。

ジョイ「……美しいわ。あ、でも十字架がある……。レヴィ、大丈夫?」

レヴィ「

ヴァンパイア少年はきょとんとして……、

レヴィ「うん。おれ、十字架は平気。むかしのヴァンパイアなら死んじゃったかもしれないけど、今のヴァンパイアで十字架が苦手なやつは居ないんじゃないかな……?産業革命以降、ヴァンパイアもみんな変わっちゃったから。神秘がチカラを失って、科学が根を下ろしたんだって……ばあちゃんが言ってた」

ジョイ「そうなの?」


ふたりは、教会(映画のセット復元)の調度を見学して……


結婚式のように、ふたりならんで居ました。

ジョイ(わたしは今、未来の夫と一緒に、ここに立っているのかしら……?そうだといいな。そういう未来に向かって、わたしは歩きたい。優しくて、可愛くて、美しいヴァンパイアと一緒に……

ジョイはそう思いながら、内気な少年の横顔を見つめていました。

レヴィ「……何をお祈りしてたの?」

ジョイ「ん……。願いが叶ってほしいから、今は言わないわ」

そして、ふたりはつかず離れず帰って行き……
土曜日のデートは終わったかに見えました。

しかし、その日の深夜。
ジョイが寝入ったあと、ソファーでだらだらしていたレヴィが、急に身を起こしました。

彼は、何か白昼夢を見ているようなボンヤリした目で、外に出て行き……


暗闇のなか、人知れず(シム知れず)生き血を啜っているのでした……。

いつかどこかの話に、つづきます……!



今回も、たいへんたくさんのMOD・CC・ギャラリー作品のお世話になりました。
すべてのクリエイター様に、心より感謝しております!
Thanks to all MODS/CC creators and all builders!

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