こんにちはー。
前記事の「お知らせ」にて、5月7日の朝までに次の更新をするとお伝えしておりましたが、遅くなってしまって申し訳ございません。(今、5月7日の昼です)少々、リアルで多忙になっておりました……。
そして、本日は仕込みが間に合っていないため「ロイヤルと裸足の魔女編」は、おやすみです。
そこで、今回は……
先日お届けした「ハイスクールのスター的少女ジョイ・ラム&コンプレックスだらけのヴァンパイア少年レヴィ・タル」のデートの続き(後編)を見てみたいと思います!
それでは、本日もまいりましょう!
*
「おれは、彼女にふさわしい男ではないのではないか?」
「もしわたしが、今のわたしと全然違うシムだったら、彼はもっとすんなり恋人になってくれたのではないか?」
それぞれの青春の悩みはそのままに、ジョイ&レヴィはテーマパークにやってきました。
ここは、オアシススプリングスの中心部。新しくオープンしたパークは、西部劇映画のセットの中をじかに歩ける「映画記念パーク」だったのでした。
ジョイ「わぁ、見てレヴィ!シェリフ・スターがある。ここ、保安官事務所なんだわ!」
レヴィ「しぇりふ・すたー……?」
ジョイ「うん、あのお星さまのマーク。入ってみよう?チケットは【一日パスポート】を買ったから、わたしたち、どの建物でも自由に見学できるのよ?」
レヴィ「へぇ、そうなんだ。便利だなぁ……。うわ、まぶし……!」
雲間から強い日差しが差し込んで、レヴィが目でも痛んだように、眉間を押さえました。大きな日傘を差しているにもかかわらず、ヴァンパイア少年の背中からは「ぷすぷすぷす……」と、煙が出はじめています。
ジョイ「たいへん!レヴィ、保安官事務所のなかへ!早く!」
保安官事務所(映画のセット復元)のなかは、ひんやりと涼しくて静かでした。
ジョイ「……【ご自由にお座りください】だって。座ってみる?」
レヴィ「ん……」
ジョイ「うふふ……、檻の前でおしゃべりするって、変な感じね?動物園の猛獣になったような感じがする」
レヴィ「ジョイは動物園、行ったことあるんだな?」
ジョイ「レヴィは、動物園を見たことがない?じゃあ、今度また、動物園デートしようよ?ゾウとかラマとか、ペンギンとかがいるのよ。とても面白いわ」
レヴィ「え……あ……うん……」
【デート】というワードを聞いて、再びレヴィの顔が真っ赤になりました。
ジョイ「でもまず、今日はこのパークを楽しむことにしましょう。動物園行くのは、また今度の約束よ?わたし、計画を忘れないようにする。明日、動物園のウェブページを見るわ」
レヴィ「う、うん……!」
パークの隅っこに「変わった撮影スポット」があると聞いて、園内マップを頼りにやってきたふたり。
ジョイ「うん……?レヴィ、あの白い木の枠から、何かぶらさがってるように見えない?」
レヴィ「…………!!ジョイ、見ちゃダメだ!」
ジョイ「え、うわわ……」
レヴィが腕をまわして、彼女の目を掌で塞ぎましたが、遅かった……!
ジョイはばっちり、見てしまいました。
白い木の枠……絞首台にぶらぶら揺れる、しゃれこうべを!
ジョイ「…………!…………?あはは、レヴィ、大丈夫よ!あれは模型だわ!とてもよく出来てる」
レヴィ「え……あ、ほんとだ。びっくりした……。ジョイに骸(むくろ)なんて見せたくなかったから……」
ジョイ「ありがとう、心配しないで?ここはパークの中ですもの。すべては美しい作り物よ?」
観光施設というものに慣れてきたらしく、レヴィもだんだん楽しそうな顔を見せはじめました。
さっきから、あちこちの壁やテーブルに携帯電話をかざしては、満足そうな顔をしています。
レヴィ「うん?気になるの?これ、電子スタンプラリーだよ。パークのあちこちにマークが隠れてて、そこにカメラをかざすとスタンプが貯まる」
おーーー!
楽しそうです!
西部の街並みを歩く、現代の少女。
意外なほどハマるというか、絵になります!
レヴィ「…………」
ふと見ると、レヴィは暑いのか、顔をゆがめていました。
ジョイ「レヴィ……?どうしたの?」
レヴィ「……てきた」
ジョイ「え?」
ぽそりと小声でつぶやくレヴィの口もとに耳を近づけると、彼はもう一度、言いにくそうに言いました。渇いてきた、と。
ジョイの顔が引き締まり、
ジョイ「レヴィ、ブラッドフルーツは持ってる?」
レヴィ「ひとつだけ、持ってる……」
ジョイ「飲んで、さあ。今なら、あたりに誰も居ない。今ならブラッドフルーツの果汁を飲んでも、あなたがヴァンパイアだって気づくシムはいないわ」
レヴィ「うん……」
レヴィはフルーツにストローを挿してごくごくと飲み……
レヴィ「まいったな。全然足りないや……」
ジョイ「頭、ぼーっとする?」
レヴィ「する……」
ジョイは左右に目を走らせ、自分の袖口をまくって手首を見せました。
ジョイ「レヴィ、飲んで」
レヴィ「でも……!」
ジョイ「いいのよ。あなたが苦しんでるほうが、わたしはつらい。この像のかげで、他のシムが来ないうちに。さあ。あなたが躊躇うというのなら、わたしは自分の手首をあなたの唇に差し入れるわよ?」
強い口調で言われ、また本能的な衝動が膨らむのを抑えることが出来ず……
レヴィは、彼女のブラッドを受け取りました……。
ジョイ「う……」
レヴィ「ごめん。おれ、飲むのが上手くない」
ジョイ「うん、いいから……」
レヴィにブラッドを手渡したあと、流石にジョイは疲れを感じて、ベンチに倒れ込みました。
レヴィ「ごめん、ジョイ……」
ジョイ「そんなに悲しそうな顔をしないで?ちょっと休めば元気になるわ。……でね、わたし、あなたにブラッドを渡してる間、ちょっと考えてたんだけど」
レヴィ「うん、何……?」
ジョイ「瀉血(しゃけつ)って、こんな感じなのかしら?」
レヴィ「は?」
ジョイ「大昔は【病気を治すためには、患者の血を抜くと良い】……と信じられていたって、本で読んだわ。瀉血される時ってこんな感じなのかなぁ、って考えてたの」
レヴィ「……ジョイは面白いね。おれは百二十年くらい生きてるけど、瀉血されたことはないから、よくわかんないや」
ジョイ「うふふ……」
その後、ジョイはすぐに体調を取り戻し、レヴィも渇きが癒え、ふたりは静かに散策を楽しみました。
夕刻、ふたりが最後に立ち寄ったのは……
教会(映画のセット複製)でした。
ジョイ「……美しいわ。あ、でも十字架がある……。レヴィ、大丈夫?」
レヴィ「?」
ヴァンパイア少年はきょとんとして……、
レヴィ「うん。おれ、十字架は平気。むかしのヴァンパイアなら死んじゃったかもしれないけど、今のヴァンパイアで十字架が苦手なやつは居ないんじゃないかな……?産業革命以降、ヴァンパイアもみんな変わっちゃったから。神秘がチカラを失って、科学が根を下ろしたんだって……ばあちゃんが言ってた」
ジョイ「そうなの?」
ふたりは、教会(映画のセット復元)の調度を見学して……
結婚式のように、ふたりならんで居ました。
ジョイ(わたしは今、未来の夫と一緒に、ここに立っているのかしら……?そうだといいな。そういう未来に向かって、わたしは歩きたい。優しくて、可愛くて、美しいヴァンパイアと一緒に……)
ジョイはそう思いながら、内気な少年の横顔を見つめていました。
レヴィ「……何をお祈りしてたの?」
ジョイ「ん……。願いが叶ってほしいから、今は言わないわ」
そして、ふたりはつかず離れず帰って行き……
土曜日のデートは終わったかに見えました。
しかし、その日の深夜。
ジョイが寝入ったあと、ソファーでだらだらしていたレヴィが、急に身を起こしました。
彼は、何か白昼夢を見ているようなボンヤリした目で、外に出て行き……
暗闇のなか、人知れず(シム知れず)生き血を啜っているのでした……。
いつかどこかの話に、つづきます……!
*
今回も、たいへんたくさんのMOD・CC・ギャラリー作品のお世話になりました。
すべてのクリエイター様に、心より感謝しております!
Thanks to all MODS/CC creators and all builders!
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