本日は、また「ロイヤルと裸足の魔女編」ですー。
ロイヤルの到着より一歩早く、リノ・ミナキ(フォレスティーナ)の魔力が、ユキちゃんに牙を剥きました。リノがユキちゃんやロイヤルに確かに見せた、あの親愛は何だったのか……?ウィンデンブルグで、最後の時が訪れようとしています……。
それでは、本日もまいりましょう!
*
ユキ「違う……違う!あなたはそんなことをしない!フォレスティーナ、それを選んではダメなんだよ……!」
ユキちゃんの叫びを黙殺し、リノが手を振りかざしました。魔力の波動が、嘲笑うようにねじ曲がりながら、ユキちゃんに襲いかかります。
それは、風でした。
リノが解放した魔力とは、暴力的な風であり、ユキちゃんの身体はあっというまに巻き上げられました。顔を手で庇ったまま、少女の足は地面を離れ、両腕は紙くずのようにめちゃめちゃに回転しながら吹き飛ばされます。
ウィンデンブルグが誇る悠久の流れ、歴史的な河川が、なぜかユキちゃんの足の下に見えました。ついさっきまで、水路の柵を背にして立っていたはずなのに。
一瞬の空白。
そして、激しい水音が上がりました。
ユキちゃんは無数のあぶくを撒き散らしながら、水路の底に沈んでいきました……。
ロイヤル「ユキ!!」
リノの背後で、悲鳴じみた声が上がりました。彼女はおもむろに振り返りました。
リノ「来ましたね、ロイヤル」
ロイヤル「リノ、どうして……!いや、それよりも、ユキ!ユキ……!」
突然の危機、そしてリノの裏切りに混乱しながらも、ロイヤルは水路に駆け寄ろうとしました。しかし、なぜかカクンと膝が砕けて、石畳の上に倒れ込んでしまいます。
見ると、ロイヤルの身体はまた、気体めいた半透明に変わっていました。実体を失った身体が、物理法則に従って動いてくれないようなのです。
激しく悪態をつきながら、ロイヤルは指先をすり合わせました。そうしていると、身体が血肉を取り戻します。次に、ロイヤルはお尻のポケットから、あのボトルを抜き取りました。毒でもあおるかのように、銀色の薬をひと息に飲み干します。
グリフィンとポーラスターがくれた、最後の切り札。
それで束の間、ロイヤルに魔力が戻りました。魔力を補給したということは、今しばらく彼の生命が維持されることを意味します。しかしこれは、たった一度だけ有効な切り札です。
ロイヤルは、すぐにも冷たい水のなかに飛び込んで、ユキちゃんを助け出すつもりでした。しかし、話は簡単ではありません。ロイヤルは今、衰弱した身体に急激に魔力を取り込んだことによって【すきっ腹に酒を流し込んだような】めくるめく感覚に襲われています。
ロイヤル(な、んだ……?)
魔力とは別にもうひとつ、身体の底から湧き上がってくるものがあります。
【リノ・ミナキに復讐しなければならない】
という、確信めいた思い。ユキちゃんを傷つけたリノに罰を与えなければならないという、憎しみにも似た衝動です。
ロイヤル(魔力の薬に……薬のなかに凝縮されたグリフィンの魔力に、攻撃衝動が含まれてる……?魔力と一緒に、破壊をもたらしたくなるような衝動が、おれのほうへ浸透してくる!)
一秒でも早くユキちゃんの許へ、という意志とは裏腹に、ロイヤルはリノに向き直りました。身体は錆びたように軋んでいるのに、その内部で彼の血液は、灼熱の濁流のように駆け巡っています。
???(効率が必要だ、ロイヤル)
ロイヤルの頭のなかで、よく響く声が言いました。グリフィンの声に似ているように思われましたが、別の誰かだったかもしれません。
???(あの魔女から、おまえの魔力を取り戻せ。それでおまえは、ユキの許に飛べる!)
頭のなかの声は、何重にも反響しながら命じます。強い吐き気がこみ上げてきて、ロイヤルは顔を手で押さえました。
ロイヤル「……うるさい、わかってる。元から、そのつもりだ」
姿なき相手に向かって、ロイヤルはうわごとのように応えました。そして彼は、リノに向かって、ゆらりと手を掲げました。しかし実際のところ、彼の意識は混濁し、自分が何をしているのかもわからないのです。
敵意を込めて手を上げるロイヤルを見定め、リノは酷薄に笑いました。
リノ「そう。それでいい」
つづきます……!
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今回も、たくさんのMOD・CCのお世話になりました。
Thanks to all MOD/CC creators!
(今回のポーズは、すべて自作です)
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