本日は、また「ロイヤルと裸足の魔女編」ですー。
リノ・ミナキ(フォレスティーナ)の魔力を借り、水路に落ちたユキちゃんを救うことに成功したロイヤル。水面に顔を出したロイヤルとユキちゃんは、街の人たちの助けを得て、陸に引き上げられてゆきます……
それでは、本日もまいりましょう!
*
ロイヤルとユキちゃんは、縄を結びつけられた浮き輪につかまって、陸へと引き上げられました。
ロイヤル「…………!」
ユキ「…………!」
ずぶぬれになったふたりは、唇を紫色にしたまま見つめ合いました。そして、声もなく、硬い抱擁を交わしました。
街の男「お嬢ちゃん、坊主。大丈夫か……!?」
ふたりを助け上げてくれた人たちが、かわるがわる手を差しのべたり、バスタオルを差し出したりしてくれます。
ユキ「ありがとう。平気、ケガはないです。あの……」
ロイヤル「助かります。でも、ええと……」
親切に感謝しながらも、人垣の向こうに首を伸ばして何かを捜して、ロイヤルとユキちゃんはうわのそらでした。ロイヤルが街の一点に目を留めて、ハッと息を呑みました。
ロイヤル「すみません、ありがとう、通して……。ユキ!」
ユキちゃんの腕を掴んで、彼は駆けだしました。
ロイヤル「リノ……!」
誰からも見放されたような街の片隅に、彼女はひとり立っていました。
ロイヤル「無事だったのか……!」
と言いかけて、ロイヤルはリノのほほえみが、奇妙に透き通っていることに気づきました。
ロイヤル「…………?」
ユキ「フォレスティーナ、浮いて、るの……?」
ユキちゃんが、そっと尋ねました。何が起こっているのかわからないまま、ロイヤルはとにかく、リノの手首を掴みました。
ロイヤル「きみに魔力を返さなきゃ。じゃないと、きみが消えてしまう!動かないで……」
しかし、リノは首を振り、ロイヤルの手を掴んでほどきました。
リノ「必要ありません。わたしの魔力は継承されました。あなたに」
ロイヤル「違う。そうじゃない」
焦燥に駆られながら、ロイヤルは強い口調で否定しました。目の前に居るはずのリノの気配が、ひどく薄くなっていることに気づいたのです。いまや、存在が消えようとしているのはロイヤルではなく、リノのほうでした。
ロイヤルは手を掲げ、自分のなかにある魔力を、彼女の身に移し替えようとしました。しかし、魔力の渦は彼自身の身体に居すわって、どうやっても離れようとしませんでした。
ロイヤル「どうして。くそっ……!」
リノ「わたしは今、あるじの許に還ろうとしている自分を感じます。あるじが放った光の刃がわたしの身体を貫いた、あの瞬間に……わたしの死の瞬間に、わたしはただ還ろうとしている」
リノの顔にぴしりと、ヒビのようなものが走りました。
ロイヤル「リノ!」
ユキ「フォレスティーナ!」
リノ「……初めから、すべては決まっていたことでした。終わりの時が近づいていることは、だいぶ前からわかっていた。だからその時が来る前に、わたしはここへ流れ着いた意味を得たかったのです。ロイヤル。わたしの魔力を、あなたに」
ロイヤルは、絶句しました。その眉が下がり、彼は絞るように息を吐きました。
ロイヤル「きみは、芝居を打ったのか?ユキを襲って、敵対者になったフリをして。全部、おれにきみの魔力を奪わせるために……?」
答えの代わりに、リノは晴れやかに笑いました。
リノ「時を超えた旅の終わりに、わたしは良い後継者を得ました。烈しく誇り高い……ロイヤル、あなたは紛れもなく我が一族の子。ユキ、あなたには怖い思いをさせて、申し訳ないことをしました」
ユキ「ううん……」
ユキちゃんは笑うか泣くかしようとして、そのどちらも上手く出来なかったような顔をしました。
リノ「ロイヤル。あなたとの友情も対立も、わたしにとっては一瞬の夢。心のどこかで分かっていたはずなのに、認められなかった。この平穏な世界に降り立って、出来ることならここで再び生きたいと願っていた。あるいは、生きて再びあるじの許に戻り、戦場を駆けたいとも思った。でも、そうではない。……わたしは生と死の狭間で束の間この世界に立ち寄った、放浪者にすぎません」
つづきます……!
*
今回のポーズ
SSの1枚目(ロイヤルとユキちゃん)
以上1枚のポーズは
よりお借りしました。いつもありがとうございます。
(その他のポーズは、自作です)
Thanks to all MOD/CC creators!
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