本日は、また「ヨルの秘密編」ですー。
ヴァトーレ邸で眠りに落ち、夢のなかで子供時代を回想するヨル・ヘイデン。彼が思い出しているのは、リリス・ヴァトーレと初めて出会った日のことでした。行くあてもなくスラムで過ごしていたヨルは、リリスさんに拾われたのです。そして……
それでは、本日もまいりましょう!
*
ヨル・ヘイデンは不思議な女の人に連れられて、霧深くて暗い集落にやってきました。
ここへ辿り着くまでの間、ふたりは地下鉄を乗り継いで、バスに乗って、山道を少しばかり歩きました。こんなに遠くまで連れて来られるとは思っていなかったので、ヨルは胸がドキドキしました。
不安がないと言ったら、ウソになります。でも、女の人にお金を払ってもらって地下鉄に乗るのは、思っていたよりずっと素敵な体験でした。ヨルは乗り物がとりわけ好きだったのです。
???「おいで」
ポーチから、女の人が高飛車に呼びました。
ヨル「ここ、あなたの家?」
???「そうよ」
ヨル「あなたの名前を、まだ聞いてない」
大人相手に堂々と渡り合おうとするヨルを、女の人は面白そうに見つめました。まるで、彼女を恐れない子供を初めて見た、と言っているようでした。
???「ヴァトーレ家のリリス。お入り」
邸宅のなかは落ち着いた造りで、しかし、どこか禍々しいしつらえでした。
リリス「カレブ、いるわね。客人よ」
お部屋の奥でカゲのようなものが揺らめいたと思うと、空気がふわりと動きました。気がつくと、ヨルの目の前に、男の人が立っていました。
???「お帰りなさい……。あまりに帰りが遅いから、鋭い太陽の光でその身を焼かれてしまったかと思った。無事で何よりだよ。……おや、子供?」
リリス「カレブ・ヴァトーレ」
ヨルに向かって、リリスさんが端的に紹介しました。
ヨル「……あなたの夫?」
本当にそうかと思ったので、ヨルは口に出して訊きました。
リリス「弟よ」
リリスさんは、にこりともせずに答えました。
カレブ「なるほど……。この子が姉上の【運命の者】か。だけど、残念だね。この未成熟な身体じゃ、あと十年しないと美酒にはならない」
リリス「わかっている。この子に食事を用意して。温かくて消化の良いものを、出来るだけたくさん」
カレブ「仰せのままにするよ、親愛なる姉上。すぐに料理に取り掛かろう」
そう言って、カレブさんはリリスさんの手の甲に口づけしました。
不思議な姉弟を、ヨルはただ黙って見つめていました……。
つづきます!
*
今回のポーズ
SSの9枚目(リリスさんの手にキスするカレブさん)
以上1枚のポーズは、
Katverse 様
よりお借りしました。いつもありがとうございます!
(その他のポーズは、自作です……)
Thanks to all MOD/CC creators and all builders!
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