【裸足の魔女編】エピローグ・C

それでは、本日もまいりましょう！

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クラリッサ「わたし、地下室を見たいの。だってわたし、地下室って、赤ちゃんの時から一度も見たことないんだもん……！」

思いがけないクラリッサの告白に、ロイヤルは目を白黒させました。

ロイヤル「え……？ほんとか……？」

ロイヤルやクラリッサの実家……森の奥にそびえるノーマン家のお屋敷には、魔窟めいた地下室が、たくさんあったはずでした。ロイヤルがそのことを言うと、クラリッサはまじめくさって頷きました。

クラリッサ「うん。お屋敷に地下室があったのは知ってる。でも、小さい子は地下への階段を下りちゃダメって言われたの。お兄ちゃんだって、コドモの頃はダメだったでしょ？」

ロイヤル「あぁ……そっか……」

ロイヤルは、歯切れの悪い返事をしました。

あらためて思い出してみるまでもなく、ノーマンのお屋敷は【禁止事項】の多い家でした。けれど、やんちゃ坊主だったロイヤルは、その【禁止】を片っ端から破ることを生きがいにしていました。そして、ロイヤルが犯した最大の【罪】は、森の家に幽閉されていたグリフィンの許へ、しょっちゅう遊びに行っていたことでした。

クラリッサ「シャーロッタ！わたし、地下室を見てもいい？階段はどこにあるの？」

ロイヤルがぼんやりしているので、クラリッサがターゲットを替えました。

シャーロッタ「勿論よろしいですよ、クラリッサ様。地下への階段は、お外に出て……住居の裏手に回ったあたりにあります。……念のため、ロイヤル様もご一緒に行かれてください」

シャーロッタ自身はお料理で手が離せないので、当然そういうことになりました。

ロイヤル「わかった、行くよ。……あれ？そういえば、グリフィンはどこ行ったんだ？」

シャーロッタ「本当ですね。いつのまにか、お姿が見えなく……あ、グリフィン様の書置きがあります。どうやら、お仕事に出かけられたようですね。もうそんな時間……」

グリフィンは軍の宿舎で、清掃のお仕事をしているのです。

ロイヤル「またか！……グリフィンってどうして、仕事に出る時は誰にも声を掛けないで、煙みたいに消えちゃうんだ……？」

シャーロッタ「さあ……」

そこまで話したところでロイヤルは、一番下の妹が、じっと自分を見つめていることに気づきました。従順な性格であるクラリッサは、大人たちの話が終わるまで、ガマンして待っていたのです。

ロイヤル「悪かったよ、クラリッサ」

頭を撫でて詫び、ロイヤルは彼女と一緒に、地下室に向かいました。

クラリッサ「……ロイヤルお兄ちゃん、元気がないね？」

無邪気なばかりだと思っていた妹に言われて、ロイヤルは動揺しました。

ロイヤル「そう見える？」

クラリッサ「うん……。お兄ちゃんはフツーにしてるつもりだと思うけど、いつもより声が小さいもん。あと、お兄ちゃんのほっぺはいつも、もっとピンク色だもん」

ロイヤル「はは……。まいったな」

ロイヤルはほほえみのようなものを浮かべて、ぽつぽつと話し始めました。

ロイヤル「おれ……友達に会えなくなっちゃったんだ。ずっと一緒に居たかったけど、友達は遠くへ行ってしまった」

クラリッサ「お引越ししちゃったの？わたしが森のお屋敷から、サンマイシューノに行ったみたいに。お兄ちゃんとお友達は、またいつか会える？」

ロイヤル「…………！」

クラリッサの素直な問いは、ロイヤルの心を強く揺さぶりました。いつか、ロイヤルがおじいさんになって生命の終わりを迎えた時、彼女と再び出会うことが出来るのでしょうか……？彼女は今、死者の国で平穏に暮らしているのでしょうか……？

ロイヤル「わからない。それを確かめることが出来たら……」

物思いに沈みながらそう呟いて、ロイヤルは首を振りました。久しぶりに会う小さな妹に聞かせたい話ではない……そう思ったのです。

ロイヤル「さあ、ここだよ地下室は。待ってて、今電気をつける」

クラリッサ「わぁ……！いろんなガラクタで、いっぱいだねぇ……！」

薄闇に目を凝らして、クラリッサが歓声を上げました。

つづきます……！

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Thanks to all MOD/CC creators!

（今回も、ポーズは自作です……）