こんにちはー。

本日はまた「ロイヤルと裸足の魔女編」をお送りしたいと思います!

足を運んだ覚えもないのに、夜半極寒の池で目覚めたロイヤルは、ユキちゃんの助けを得て孤島の山小屋にたどり着きます。ロイヤルは疲れのあまり眠りに落ちて……

それでは、本日もまいりましょう!




ウィンデンバーグの孤島。山小屋。

暖炉の火に照らされて、ロイヤルは眠りこんでいます。

ロイヤルの熱が上がってきたことに気づいたユキちゃんは、坊っちゃんのおでこに濡らしたタオルを載せて、毛布を喉許まで引き上げてやりました。

そしてユキちゃん自身は、奥の部屋に引き上げました。

雪の夜が更けていきます……。


熱に浮かされた眠りのなかで、ロイヤルは夢を見ました。

見知らぬ荒野に、古い砦が建っています。
あたりは暗く、冷たい雨が降っています。


???「…………!………………!!

砦の一角から、張りのある声が聞こえました。威厳のある、雄々しいその響きとは裏腹に、その男は悲嘆と呪詛を吐き続けています。

もうひとつの凛とした声が、嘆く男に語りかけます。

???「目をそむけてはなりません、我があるじよ。彼女を殺したのは、あなたです」

声は断定して、続けます。

???「あなたはみずからの魔力に押し流されて、敵の手の者のみならず、妹君のお命をも奪った。刺したのだ、あなた自身が光の刃で、妹君の心臓を。目を閉じ耳を塞いでも、その事実が消えることはないのです」

???「黙れ、リノ!悪夢のような者め!おれはただ、見失ったのだ。おれの魔力を解き放った結果がこんなことになるなど、思ってもみなかったのだ」


リノ「嘆いている時はありません。ご命令を。日の光があるうちにこの砦を捨て、大河川まで退却しなければならない。夜の闇が迫れば、ヴァンパイアどもはまた動き出す。このままでは、我々は全滅します」

???「その身にあたたかな血がかよっているとも思えぬ女だ。しかし、おまえの言うようにしよう。……カドガンを呼べ!湿原の者たちを第十三塔まで後退させる。ヴィットリアの隊に、出藍砲をすべて破壊したうえで廃棄するよう伝えよ」


リノ「しんがりはわたくしにお命じください。わたくしの【盾】の魔力があれば、マルゴ型砲弾の雨が降りそそいだとしても、しのぐことができましょう」

???「そなたの望むままにしよう。オオカミモドキを二頭出す。おれの妻として、存分に働くがいい。おれが自分を絞め殺すのは、この戦いが終わったあとにするべきだな」

…………。
……………………。


ロイヤルは夢うつつに目を開けて、身を起こしました。

窓からは白い光が差し込み、鳥が鳴いています。
朝がきたのです。

ロイヤル「…………。リノ……?

その額から、濡れタオルが落ちました。

ロイヤル?「え?なんで……おれ、寝込んでたのか?ここは……ウィンデンバーグの山小屋、か……」

小屋のドアが開く音がしました。

ユキ「おはようございまーす!買いもの終わったよ!お邪魔しまーす!」


ロイヤル「へ……?」

ロイヤルはソファーから立ち上がり、ぺたぺたと玄関のほうへ歩いて行きます。


ロイヤル「ユキ!」

ユキ「おはよう、ロイヤル!元気になったみたいでよかった。覚えてないかもしれないけど、ゆうべロイヤルは熱が高かったんだよ。もう大丈夫?……あれ、お姉さんは?わたしたちを助けてくださった、夕陽色の瞳の女の人だよ」

ロイヤル「え……あ、おれは平気みたいだ。ありがとう。ユキが看てくれたんだな。あの女性ならたぶん、この小屋のどこかにいるはずだ。彼女の魂の気配がするから」

ユキ「そんなことまでわかるんだ。ロイヤルって、なんだかふしぎだね。……ちょっと待ってて。ちょうどいいから、いま渡しちゃう」

ユキちゃんは、抱えていた雑貨屋の袋を下ろし、袋のなかを覗きはじめました。


ユキ「ロイヤルが眠ってる間に、買い出しに行ってきたの。ロイヤルはまず、その裸足をなんとかしなきゃいけないと思う。そのカッコじゃ、どこへも行けないもん。だから……」


ユキ「はい!ムカシながらの雑貨屋さんで買ってきたから、都会っぽいカッコいいのとかじゃなくて、実用一点張りだけど……防水バッチリ履きやすいよ!

ロイヤル「なんだ?」


ロイヤルが箱の包み紙を破ってみると、中から出てきたのはスニーカー(と、靴下)でした。

ユキ「よかった。サイズは合ってるね!……どうしたの、ロイヤル?こんな親みたいなことされるの、イヤだった……?」

ロイヤル「違うんだ。おれ、きのうからこんなに世話になって、礼を言い尽くせない」

ユキ「やだなぁ、問題ないよ!お金は使うべき場面で惜しみなく使えって、おばあちゃんが言ってた。きょうはなじみのお店でツケてもらっただけだし!」

ロイヤル「はぁ」


いつのまにか、夕陽色の瞳の女性がそばに立っていました。

ロイヤル「ぅわ!いつ来たんだ……!?や、それはいいんだ。ありがとう。きみにも礼を言いたかった。きみのお陰で、おれたち凍え死にしなくて済みました。きみのこと、なんて呼んだらいい?」

夕陽色の瞳の女性は、やはりほほえんだだけでした。
この女性はゆうべから、いっさい言葉を話さないのです。

ロイヤル「弱ったなぁ」

ユキ「そうだね……あ、待って。いい考えがあるよ」

ユキちゃんはまた雑貨屋の袋をがさごそして、新品のノートを取り出しました。

ユキ「数学の授業で使うために買ってきたんだけど、これ使っちゃお。ロイヤル、そこのテーブルからペンを取ってくれる?……ありがとう」

ユキちゃんはノートをめくると、最初のページに大きな字で書きました。

【あなたのお名前を教えてください】

ロイヤル「そうか!筆談すればいいんだ!」


女性「…………」

ユキちゃんからペンを手渡された女性は、躊躇ったように見えました。しかしすぐに、筆記体でこう書きました。

【わたしの名前は消え去りました。お好きなようにお呼びください】

ユキ「消え、去った……?」

ロイヤル「どういうことだろう。なにかの魔法をかけられたのか……?」

ユキ「ロイヤル、なんにしろ、名前がないんじゃ不便だよ。お姉さんに呼び名をあげよう?いい名前を思いつかない?」

ロイヤル「そう言うユキは、なんかないのか?」

ユキ「フランソワーズとか、ネリーとか、ジュリエッタとか」

ロイヤル「ぴんと来ない。……うーん、そうだなぁ」

ロイヤルは頭を掻いて考えました。
十二秒も考えたあと、自信なさそうにはにかんで提案しました。


ロイヤル「フォレスティーナ、とか……?」

女性の夕陽色の瞳が輝いたことに、だれも気がつきませんでした。


ユキ「フォレスティーナ……森(フォレスト)で出会ったからだね?わたしはすてきだと思う。ふしぎな名前だけど風格がある気がするし。お姉さんは、どう思いますか?」


夕陽色の瞳の女性は「いたずらの共犯者になる子ども」のように、ニヤッと笑いました。

”オーケー”

ユキ「あぁ、じゃ、決まりですね!よかったね、ロイヤル。フォレスティーナ、これからよろしくお願いします!」

名前をあたえられることにより、人の子はこの世界の住人となる。
名前を授けることにより、人は人を支配する。

物語はいま、新たな段階に進んだのです。
ロイヤルもユキちゃんも、その事実に気づかぬうちに。

つづきます!



今回もたくさんのMOD・CC・ギャラリー作品のお世話になりました。
すべてのMOD・CCクリエイター様、ビルダー様に、心より感謝しております!
Thanks to all MODS creators and all builders!

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