今回はまた「ロイヤルと裸足の魔女編」です!
ロイヤルの兄姉であるグリフィンやポーラスターが調査を進めている間に、ロイヤル自身もまた、自身に降りかかった「謎」を解こうと頑張っています。ユキちゃんがロイヤルに伝えたのは「高熱を出していたロイヤルに、フォレスティーナが不思議な薬草を飲ませていた」という、ロイヤル自身も知らなかった事実でした。そして……?
それでは、本日もまいりましょう!
*
ユキちゃんから「不思議な薬草」の情報を得たあと……
ロイヤルとユキちゃんは、フォレスティーナの山小屋に向かいました。
ユキ「こんにちは、フォレスティーナ!ロイヤルとユキが来たよー!」
ユキちゃんがノックすると、小屋の中から足音がして、フォレスティーナがひょっこりと顔を出しました。
ふたりを出迎えたフォレスティーナは、ロイヤルが見たことのない服装をしていました。彼女はニコニコしながらくるりと一回転して、自分のお洋服を見せてくれました。
フォレスティーナ「…………!…………!」
ユキ「わぁ、フォレスティーナ!着てくれたんだね?サイズもぴったりでよかった!」
ロイヤル「…………?」
ユキ「あ、そっか。ロイヤルには言ってなかったね?フォレスティーナのこの服、わたしの家から持ってきたの。フォレスティーナの恰好が寒そうだったから、お着替えが必要だと思って。……え?フォレスティーナ、なんて言ってるの?【あたたかい】……?服があったかい、って言ってくれてるんだね?よかった!」
ロイヤルはフォレスティーナをじっと見つめ、眼差しで何かを問うていました。その様子から、フォレスティーナが彼にあたえた薬草について知りたがっている、ということは明白でした。しかし彼は慎重で、それを口に出そうとはしませんでした。
ロイヤル「すこし、状況を見極めたいんだ。まだ、動く時じゃない気がする」
そして……
三人はボートを出して、ウィンデンバーグの市街地にやってきました。
これが、今日のメインイベントです。
フォレスティーナをいつまでも、ひと気(シム気)のない孤島に置いておく訳にはいきませんし、街に来れば「フォレスティーナがどこからやってきたのか」という謎を解くカギが得られるかもしれませんからね?
ユキ「いい天気!空気が澄んで、遠くの街並みまでよく見えるね!」
確かに、相当遠くのほうまでよく見えます。
積もった雪は、日差しを受けてとけはじめ、キラキラと輝いています。
その時、フォレスティーナの喉から息をのむような音が漏れたのを、ロイヤルは聞き逃しませんでした。振り返って彼女を見ると……
フォレスティーナは街の景色を見つめ、わずかに動揺したような顔をしていました。表情が変わらなくても、その瞳の揺れ方で、彼女が「街並みを見て、驚いている」のだということは、はっきり伝わりました。
ロイヤル「…………」
その後、ユキちゃんとロイヤルはフォレスティーナを連れて、街を歩きました。ここが雑貨屋、ここがお洋服屋さん、ここがバー……。ユキちゃんが説明しています。暫くはこの街で暮らしていかなければいけないのですから、フォレスティーナもこの街の施設を憶える必要があります。
しかし、その話を聞くフォレスティーナの目はだんだんトロンとしてきて、足取りも重くなりました。彼女はのろのろと道端のベンチに向かい……
ベンチの上で子猫のように体を丸めて、眠ってしまいました。
ユキ「え……?フォレスティーナ……?」
ロイヤル「おい、大丈夫か……!?」
目を覚ます気配がありません。
ユキ「どうしたんだろう……?具合が悪いのかな……」
ロイヤル「どうだろう……。顔色は悪くない。体温も呼吸も普通だ。街にシムが多くて疲れたのかな。おれの一番下の妹(※クラリッサのことです)の話だけど、初めてサンマイシューノの人ごみに揉まれた時、刺激が多すぎてぼんやりしちゃって、屋台のメシ食いながらウトウトしてたことがあるよ」
ロイヤル「…………?フォレスティーナのそばに、何か落ちてる。ブルーベル?」
ユキ「あ!この花だよ、ロイヤル!」
ロイヤル「は?」
ユキ「ロイヤルが熱を出した夜、フォレスティーナがロイヤルに飲ませてたのはこの花を煮出した薬!これ、似てるけどブルーベルじゃないの。匂いをかいでみて!」
ロイヤル「…………。ほんとだ。煮詰めた蜂蜜みたいな香りがする。ブルーベルとは全然違う草だ」
ユキ「どうしてこんなところに……?」
ロイヤル「…………」
結局その日は、フォレスティーナが目を覚ますのを待つだけで終わってしまいました。ロイヤルは、くーくー寝息を立てている彼女に自分の上着をかけてあげます。
夕刻、フォレスティーナが健康そのもののあくびをしながら起きてくると、ロイヤルはユキちゃんと一緒に、フォレスティーナを小屋まで送っていきました。
そして、ロイヤルはストレンジャービルに帰ってきました。
小雨がぱらつく中、傘も差さずに歩いていきます。
ロイヤル「わからないことが多すぎるな……。やっぱり、梟の刺青について調べるのが早道かなぁ。ポーラ姉さんに調査を頼んであるけど、任せっきりにはできない。確か、グリフィンたちとの旅の途中、グリマーブルックに潜んでた頃に、近所でタトゥーを入れた魔女とすれ違ったことがあったよな?彼女なら、魔法使いの刺青に詳しいかもしれないけど……でも、彼女があの村のどこに住んでるのか聞いたこともないし。……冷(つめ)てっ!襟から背中に、雨粒が入った!」
ロイヤルは飛び上がって、背中をさすりました。
ロイヤル「……あの魔女についておれが知ってるのは、名前だけだ。彼女は、ペスと呼ばれてた。おれの記憶が正しければ、本名は、ペシミスティ・ミスティスワンプ」
背中に入った水滴を、服の上から拭いてそう言った時、ロイヤルの身体は白い光に包まれました。光は音もなく膨れ上がり、また収束して……
ロイヤル「なんだ!?また……!?」
気がつくと、ロイヤルは見知らぬ場所で、宙に浮いていました。
ロイヤル「ぅわ……!」
雲のようにぷかぷか浮かんでいたのは一瞬のことで、ロイヤルは地面に転がり落ちていきます。しかし、そこは武闘派である坊っちゃんですから、空中で器用に身体をひねって宙返りを決め、小動物のように着地するのでした。
ロイヤル「痛ってぇ!勘弁してくれよ、まったく!どうしておれ、こんなにしょっちゅう勝手に瞬間移動するんだ……!?」
あたりを見回してみると、ロイヤルが居るのは小さな家のまえでした。
ロイヤル自身から放たれている白い光の残滓が、玄関を幻想的に照らしています。その光も、やがて収まっていきます……。
ロイヤル「どこだ……?ここは、グリマーブルック、なのか……?こんな家、見たことないけど……」
ロイヤルの目の前にある家のなかで今、ひとりのシムが立ち上がります。
彼女がドアを開け、ロイヤルのまえに姿を現しました。
わざとロイヤルと目を合わさず、精いっぱいの勿体をつけて、重々しく歩いてきます。
ロイヤル「え!?ペシミスティ・ミスティスワンプ……!?きみはグリマーブルックの、ペス、なのか……?」
ロイヤルが無防備に叫んだ言葉に、彼女は物憂げに首を巡らせ、ロイヤルのほうを見ました。形のよい唇が息を吸い込んだあと、彼女の口から発せられたのは……
???「ペスって呼ぶな!!あたしの愛称は、ミスティ!おまえも腕を食いちぎられたくなかったら、あたしのことはレディ・ミスティと呼べ!!」
ロイヤル「え……!?」
つづきます!
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今回も、たくさんのMOD・CC・ギャラリー作品のお世話になりました。
すべてのクリエイター様、ビルダー様に、心より感謝しております!
Thanks to all MODS creators and all builders!
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