皆様、お変わりございませんか?
今回は、また「グリフィン&ロイヤル編」に戻りたいと思います。サンマイシューノはカルペッパーハウスの一室で、穏やかな時をすごす兄弟たち。カー家に拾われたポーラスターとクラリッサは、すっかりこの家庭に馴染んでいます。そして……?
(前回のお話は、こちらからどうぞ!)
それでは、本日もまいりましょう!
*
「まだ、ねんねしない」と言い張っていたバンビを楽しく誘導して、お姉さんらしさを発揮したポーラスター。グリフィンとロイヤルをしばし解放して、バンビの寝かしつけに向かいました。
バンビ「カレーパンひめのえほん、よんで!」
ポーラスター「うん、いいよ!……むかしむかしあるところに、雪ひらのように真っ白な、ふわふわのメロンパンの坊やが暮らしていました。メロンパン坊やは、お隣に住んでいるカレーパンのお嬢さんが大好きでした。カレーパンのお嬢さんは、いつもとんがったサングラスをかけていて、ローラースケートが上手でした……」
ポーラスター「そしてメロンパン坊やは、カレーパン姫にシロツメクサの冠をかぶせてあげました。めでたしめでたし。……ふふ、最後まで聞かないで寝ちゃったね。おやすみ、バンビ」
ポーラスターが戻ってくると、グリフィンとロイヤルはベランダに居ました。
ポーラスター「お待たせ。グリフィン、ロイヤル」
ロイヤル「バンビは、寝た?」
ポーラスター「うん、ぐっすり。はしゃぎすぎて疲れたみたいね」
ロイヤル「クラリッサも眠そうだったから、部屋に戻したよ。こんな寒いとこに居たら、カゼ曳くかもしれないしさ。あいつも疲れたのか子供部屋までたどり着けなくて、そこの手前の部屋でぐーぐー寝ちゃってた」
「そこの手前の部屋」とは、ポーラスターとマダム・メルローズの寝室だったりします。
窓からは、ベランダに居る兄弟の姿が見えます。
ポーラスター「知ってる。今そこを歩いて来たんだもん。あの子わたしのベッド使ってたから、朝までそのままにしておいてあげようと思う。明日の一時間目は算数だから、いっぱい寝て頭冴えさせたほうがいいと思うしね。クラリッサは算数の成績が良いんだよ?この間も先生に褒められてた」
グリフィン「そういうところは、おまえに似てる。おまえも計算の天才だった。……それはいいが、おまえはどこで休む……?クラリッサを寝かせたまま、子供部屋まで運ぶか?」
ポーラスター「ん、いいの。あの子重くなったから、グリフィン兄さんでも腰痛めるかもしれないしね。それに、わたしが代わりにクラリッサのベッドを使えばいいんだし。ふたりも泊まっていったら?もうだいぶ遅いよ?」
ロイヤル「気が向いたらな。……だろ?グリフィン」
グリフィン「ああ」
ポーラスター「ふふ。ふたりとも、ちょっと見ない間になんだか逞しくなったね」
ロイヤル「そうでもないよ。サンマイシューノに来る前も、ほんとはビクビクしてた。グリフィンもな。おれたちふたりとも、姉さんに会ったら殺されるかもしれないと思ってたからさ。おれたちが姉さんたちを置いていったこと、姉さんは怒る権利があるわけだから」
ポーラスター「うん、怒ったよ。でも、グリフィンとロイヤルが、わたしやクラリッサの身にまで呪いが及ばないように気遣ってくれてたこと、今はわかるから。ふたりが居なくなったあとでクラリッサとはぐれた時は、ちょっと動揺したけどね」
グリフィン&ロイヤル「…………クラリッサと?」
ポーラスター「うん。あの嵐が去ったあと、わたしたち暫くモノレールの高架下で寝起きしてたの。で、アルバイト先も見つけてお金も貯まったから、ある時期からクラリッサに食料調達を任せて不動産屋をまわってたんだ。そしたら、合流できなくなっちゃった。捜しまわるうちに、スパイスマーケットの近くの家に迷子の小学生が引き取られたって聞いて、わたし、ある雪の夜に訪ねようとした。でも、到着したのが夜中だったの。夜明けを待とうと思って近くのベンチで寝てたら……朝、たまたま外に出てきたクラリッサが、わたしを見つけてくれた」
身も凍るような話をおっとりと聞かせるポーラスターに、グリフィンとロイヤルが顔を見合わせます。
ロイヤル「いろいろ聞き返したいことはあるけど……まず姉さん、雪の夜に外で寝たら、凍え死ぬよ?いくら姉さんでも」
グリフィン「……もっと早く、おまえたちを本気で捜そうとするべきだった」
ロイヤル「うん、コワい話だった。おれ、自分が楽観的過ぎる性格だったんだって、いま痛感した」
ポーラスター「いいんだよ、全部うまく行ったんだから!グリフィンとロイヤルは大変だったんだから、クラリッサを見るのはわたしの役目。わたしたちみんな、一緒にひとつの旅をしてたように見えて、本当はそれぞれ自分の旅をしてたんだと思う。そして、自分の居場所を見つけたんだよ。クラリッサは、この街に来て初めて学校に通うことが出来て、友達も出来た。わたしは元々、グリフィンとロイヤルのようにお屋敷を飛び出して、世界を旅したいと思ってた。そして今、ここでマダム・メルローズの手伝いをしてて、すごく楽しい」
ロイヤル「……うん」
グリフィン「そうか……」
そして、兄妹弟はベランダで心ゆくまで喋り……
眠くなったポーラスターはのんびりと、子供部屋のベッドを占領しに行きました。
ポーラスター「ふたりとも、本当に泊まっていくといいよ。今からじゃ、ホテル取れないもん。遠慮してここを出て、道で寝るのはやめてよ。グリフィンたちはそれでも大丈夫だろうけど、わたしがマダムに怒られるもの。リビングで自由に寝て?毛布はそこにある。新しい歯ブラシはあっち。明日の朝食べたいものがあったら言ってね。じゃ、おやすみなさい」
グリフィン「おやすみ」
ロイヤル「おやすみ、姉さん」
グリフィンとロイヤルの兄弟は、その後も静かに話をしていました。
そして、サンマイシューノに朝が来ます。
メルローズ「ああ、おはよう。ポーラ。彼らは帰ったよ。あんたとクラリッサが目を覚ます前に、ここを発つと言って」
ポーラスター「え……!?もう、あのふたりらしいなぁ。反省したって言ったくせに、やっぱり何も言わずに居なくなっちゃうんだから!いつかまた、どこかで会えるだろうから、いいんだけどさ……」
メルローズ「まあ、許しておやりよ。あらたまって別れるのが恥ずかしいんだろう。若い男の子だからね。その代わり彼らは、あんたにこのメモを残していったよ」
ポーラスター「これ、住所……」
メルローズ「あの少年たちが住んでいる場所だそうだよ。何かあれば連絡をよこせと言っていた。まあ、何かなくても、遊びに行ってやればいいんじゃないかね?」
ポーラスター「もう……恥ずかしがり屋だなぁ……」
メモを見つめて、ポーラスターの目元にほほえみが浮かびます。
ポーラスター「さあ、一日をはじめなきゃ!マダム、朝ごはんは何が食べたいですか?」
メルローズ「玉子が古くなりかけてるから、焼いておくれ。あたしは洗濯をするから、洗うものがあったら出しておくれよ」
ポーラスター「はーい!」
こうして、グリフィン&ロイヤル兄弟はストレンジャービルに戻っていき、ポーラスター&クラリッサはサンマイシューノで、変わらぬ平和な日々を送ります。ひとところで寄り添ってはいなくても、それぞれの存在を胸に置いて、それぞれの生活を送っていくこと……自分が居場所と思う場を選んで心地よく過ごすことが、彼ら独特の暮らし方なのかもしれません。
それからまもなく、ポーラスターは本当にストレンジャービルを訪ねて兄弟に再会し、新しい事件がはじまるのですが、それはまた別の物語。とりあえず、サンマイシューノの兄弟編は、ここまでです。
それでは、また。
シムはみんな、たくましくて可愛い!
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今回のポーズは、
新生まるきぶねスローライフ 様
よりお借りしました。
その他、お借りしているCCについては「MOD一覧」のラベルよりご覧ください。
すべてのMOD・CCクリエイター様に、心より感謝しております!
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