久しぶりに運動したら筋肉痛がすごくて動けなくなりつつあるプレイヤーこと管理人つまり私でございます。お変わりございませんか?
今回は「母親捜しの旅路」こと(?)ガレくん編です。
廃墟となったフォーゴトン・ホロウのバーで、行方不明になっていたガレを見つけたソニア。ガレはバーの奥に、母親の手がかりとなる「店主の日記」を見つけたと言うのですが……?
(これまでのストーリーの流れは「★ガレ編」のラベルからどうぞ!)
それでは、本日もまいりましょう!
*
ソニア「これが、このバーのあるじだったシムの日記帳。ここに、ガレくんのお母様の名前が書いてあるのね。箱の中に、こんなにたくさん……。どれから読んだらいいんだろう……?」
ソニア姉さまは、大きな箱にぎっしり詰め込まれていた日記帳の中から、数冊を抜き取りました。
ソニア「…………?新しい付箋が貼ってある。ガレくんの字だ。ええと、暗くて読みにくいけど『フェリシアナ?』って書いてあるみたい。こっちのページにも。そっか。ガレくん、手がかりのあるページをこうやって調べてたのね……?」
姉さまは椅子に腰かけ、最初の付箋が貼ってあるページを読みはじめました。
『○月○日。今日、見慣れぬ女がこの町を訪れた。痩せていてひどく疲れた様子で、荷物はトランクひとつだけ。見かねて、店で食事を摂らせる。女は感謝し、常連のお客たちの前で歌声を披露してくれた。数十年前の、忘れ去られたようなジャズ。良い声をしている。女は一夜の宿を乞うたが、この町には泊まらせないのが彼女のためだろう。彼女のか細い首を見ると、そこに温かなブラッドが流れているのを感じる。彼女がわたしの手を取って食事の礼を述べた時、本能的な衝動を抑えるのに苦労した』
『○月△日。珍しく、太陽が中天に差し掛かるより前に目覚める。予感があって店の前に出ると、昨日の女がしゃがみこんでいた。行く当てがなく、町の広場で夜を明かしたという。店の前で凍死される訳にはいかない。招き入れるより他に、選択肢はない。彼女はわたしの店でチョコレートを飲み、ほっとしたのか眠りについた。彼女の険しい旅について事情を訊いてみたが、答えなかった』
『○月◇日。彼女はまだここに居る。店の雑用を買って出てくれている。せっかくだからわたしの店で歌ってみたらどうかと提案すると、彼女の金色の瞳がほのかに明るくなった。明晩から、わたしの店には歌手が加わる。彼女は今回も、わたしの手を取って礼を述べた。その長く柔らかな指に触れられると、なぜかしら心が躍った。彼女のブラッドだけが、わたしを惹きつけている訳ではないのだろうか』
『○月●日。彼女のステージは素晴らしい。その魅惑的な声で歌う時、彼女の頬には血色が戻り、彼女の瞳には星がまたたく。あの四十分間、わたしの目には彼女しか映っていなかった。しかし、想いに流されてはいけない。わたしは自分を律せねばならない』
『△月○日。彼女は、わたしの正体に気づいている』
『△月△日。彼女のブラッドを飲んだ。夜の王に誓って記すが、わたしのほうから求めた訳ではない。彼女は言った。わたしの胸に手を置いて【これからもわたしをずっとここに置いてくださるなら、わたしは永劫あなたのものです】と。わたしは彼女と夜を過ごした。棺にもたれ、わたしの腕のなかで幸福そうに眠る彼女を見ると、自分を絞め殺したくなる。このままでは、彼女は光の世界の住人ではいられなくなる』
『△月◇日。彼女を遠ざけようとするわたしの心を読み取ったかのように、彼女のわたしへの献身は募る一方だ。彼女は店でもことさら快活に振舞い、客に求められればいくらでも歌う。明らかに、彼女は見捨てられることを恐れている。夜明け前、棺にもどるわたしを見送る彼女の瞳は、心細さに震える子猫のようだ。その様子を見ると胸が締めつけられ、理性をかなぐり捨てて彼女をこの腕にかき抱きたくなる』
『◇月○日。身体の動きが鈍い。手足が重く乾いて、これが本当にわたしの肉体なのかと疑うほどだ。夜半、彼女が来て棺を開け、わたしの額に口づけをした』
『◇月△日。約束の日が近づいていることを、わたしはついに悟った。今日、わたしの指先が砂糖細工のようにほころび、長さにして一センチほどの血肉がぼろりとくずれ落ちた。千年の牢獄はついに終わり、わたしはまもなく虚無に還るのだ。この時が訪れるのを渇望していたというのに、今胸にあるのは彼女のことばかり。彼女をひとりにする訳にはいかない。わたしはまだ、消える訳にはいかない』
『●月○日。わたしは今、寝台に横たわっている。棺ではなく。部屋の寝台で眠ってくれれば看病ができるから、という彼女のたっての希望だ。昼間は窓からの日差しがまぶしくてあまり眠れないが、ほのかな光の向こうに立つ彼女は幻のように美しい。わたしが虚ろな心持ちで肉体の不調をやり過ごしていると、彼女が来て長い髪をたくしあげ、細い首筋を見せて【どうぞ】と言う。そんなことをする必要はない、そんなことをしなくてもきみには充分価値があるから、とわたしは言い、彼女をこの腕に抱いた』
『●月△日。彼女が体調を崩した。看病の疲れだろうか』
『●月◇日。夜の世界の王と光の世界の女神とを、等しく呪いたい。なんということだ。彼女の肉体もまた、病に蝕まれている!医者の見立てでは、病状は重いとのこと。彼女がこの夜の世界にたどり着くまでの間、なみなみならぬ苦労を背負ってきたことは察しがついていた。その溜まりに溜まった無理が、ここへきて牙をむいたのだ。夜の間じゅう彼女と過ごし、彼女の香りに包まれる。やはり、彼女を光の世界に還したい』
『▲月○日。小さな計画を立てた。わたしと彼女はウィンデンバーグに行く。彼女と共に、彼女が本来住むべき世界を見てみたくなったのだ。そこがわたしの最期の地となるかもしれない。彼女の状態も、あまり良くはない。それでも、わたしたちは行く。これはふたりの蜜月なのだ。わたしは彼女に伝えよう。彼女は他者に縋らなくても、自分ひとりの力で立つことができる力を、本来持っているのだと。他者に縋るのではなく他者の助けを借りながら、自分の力で生きていくのだと。それは孤独とは違うのだと。病苦を負う彼女にこれを言うのは、酷だろうか。わたしはそうは思わない。彼女は自分の人生を生きなければならない。この旅はわたしから彼女への、最後の贈り物となるだろう』
『▲月△日。愛しいフェリシアナ。わたしが虚無に還り、この身が灰となり果てたなら、その一握の灰をわたしの庭に撒いてほしい。わたしの店の美しい庭に。そしてきみは、きみの世界に還るのだ。光の世界に。ふたりが光と闇の世界に分かたれても、わたしの心はきみと共にある。今こそ自由になるのだ。誰でもない、きみの心の扉を開けて、自由になるのだ。それでは、別れは言わないよ。きみはわたしの唯一の女(ひと)だ。生涯すべての愛を込めて、リジル・タル』
ソニアは日記を閉じ、静かに息を吐きました。
そして階段を上り、庭に出ました。
ソニア「これが、ガレくんのお母様の……そして、彼女が愛したヴァンパイアの物語」
ガレ「そう」
いつのまにか、地下で休んでいたはずのガレも目を覚まして、庭へ来ていました。
ガレ「母は、愛されたんだ……。とても傷つきやすい女性だったけど、母はこの店で、幸せだったんだ……」
ソニア「うん……」
つづきます……!
*
今回のポーズは
Katverse 様
よりお借りしました!
その他、今回お借りしたCCについては「MOD一覧」のラベルからご覧くださいませ。
すべてのMOD・CCクリエイター様、ビルダー様に、心より感謝しております!
Thanks to all MODS creators and builders!
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