兄は苦闘のなかにあり、

2020年3月12日木曜日

【プレイ日記2020】 ★ロイヤルと裸足の魔女編 カー家 マジカル後継者世帯

t f B! P L
こんにちはー。

本日はまた「ロイヤルと裸足の魔女編」ですー。

不可思議な事件のなかにいるロイヤルは、ついにフォレスティーナと対峙し、謎の核心に迫ろうとしています。

一方、遠く離れたノーマン一族の屋敷では、グリフィンが父親に呼び出されていました。ポーラスターは「またお父さまは、面白くもない話があるらしい」と言っていましたが……?今回は、グリフィンの行動を追いかけます。

それでは、本日もまいりましょう!

(最終加筆修正:2023年10月18日)





グリフィン・トワイライトは父親に呼びだされ、襟のついたシャツに着替えて、書斎のドアをノックしました。

ウルハ「入れ

グリフィン「失礼します」

部屋に入るより先に、目のまえに待ち構えている人物が見えました。

ウルハ「……着替えたのか。今朝のおまえが、別の衣服を身に着けていたことは見知っている。若者の感覚を否定する気はない。みずからの信念に基づいて装うことは重要だ」

ウルハ「だがこの屋敷で過ごす以上、当主らしい服装が必要になる。わたしの前でだけ化けても意味がないのだ。……まぁいい。掛けなさい」

グリフィン「…………」




彼こそが、ノーマン家の先代当主。
グリフィン、ポーラスター、ロイヤル、そしてクラリッサの父親。

名高い探求の魔法使い、ウルハ・エルダーグラスです。

ウルハ「見慣れない光景だ、おまえがこの屋敷で暮らしているとは」

手近な椅子を引き寄せるグリフィンをながめながら、ウルハは言いました。

グリフィンが、彼自身に生まれつき備わっていた【呪われた魔力】を理由にこの屋敷を追われたのは、四歳の頃。当時、グリフィンを放逐する決定をくだしたのは、父親であるウルハその人でした。

いま、グリフィンを見る父の目に、特筆すべき感情は浮かんでいません。




グリフィン「……おれ自身も、奇妙な感覚です。自分で思ってたより、おれはこの屋敷のことを憶えてなかった」

グリフィンは感情をまじえず言いました。

ウルハ「執務は順調か。おまえは一族の者を、ひとりも取りこぼすことなく導かねばならぬ」

グリフィン「いまのおれにできうる限りのことを、やろうとしてます。まだ慣れませんが」

息子の率直な回答は、ウルハを満足させたようでした。

ウルハ「レイニー・クレイフィールドを知っているな。おまえの従姉妹……【悲嘆のレイニー】と呼ばれる娘だ。いま、十八歳になっている」

グリフィン「…………?はい、知ってます」




ウルハ「顔を合わせたことは、ないのだったな」

グリフィン「ありません。彼女がこの屋敷に引きとられたとき、おれはすでに森の奥に移ったあとだった。いまも彼女がこの屋敷に住んでることは知ってますが、彼女は自室から出てきません。姿も知らない。臆病な性質(たち)だと聞いてます」

ウルハ「レイニーを屋敷より放出することになった。彼女には父母ときょうだいがいないため、山の居住区……【十二本の杭の塔】に送ることになるだろう。当主であるおまえの許可が必要だ。レイニーに移住命令を出すのだ」

目を伏せて聴いていたグリフィンが顔を上げ、その瞳が正面から父をとらえました。

グリフィン「…………。なぜですか」

ウルハ「なぜ、とは」

グリフィン「山の居住区はもともと、一族のなかで罪を犯した者や、役目を終えた妖魔を送る監獄区だったと聞いてます。レイニーは、あなたの妹の子どもだ。彼女はなにも犯していない。それとも、なにかしたというのですか。……いや、万にひとつ彼女が掟を破ったのだとしても、自室にこもっていたのでは、やることはたかが知れてる。成人していない娘を、ひとりで監獄に送るほどの理由にはなりません」




ウルハ「おまえの言う通りだ。彼女はなにもしていない。グリフィン、考える必要はない。おまえはただ、命令をくだすだけでよい。この一族において当主とは、ときに年寄り衆の言いなりになる駒のようなものだ」

グリフィンの目つきが鋭くなりました。
見くびられたものだ、とその表情に書いてある。

グリフィンは父親の意図を読みとろうとするかのように、目をすがめました。そうしていると、野生の獣めいた顔になる青年でした。

グリフィン「……ロイヤルが原因ですか。そしてその原因のおおもとには、おれがいる」

質問ではなく断定するように、つきつけるように、彼は言いました。

数日前に、グリフィンが新しい当主として目を通した、一通の文書があります。ロイヤルとレイニーの処遇に関する【おとなたちのとりきめ】が書かれた、古い契約書。あの得体の知れない、まわりくどい文書の正体がわかった、と彼は思いました。

父親が、乾いたため息をつきました。

ウルハ「敏感すぎるところが、おまえの短所だ。そうして万事感じとってしまうようでは、一族のなかで生きていくのはつらいことだろう。おまえの指摘の通りだ。レイニーは元々、古いとりきめにより、ロイヤルの婚約者として迎えた娘だったのだ

ウルハ「しかし、ロイヤルの魔力が……グリフィンよ、おまえから盗みとった【まがいもの】であり、おまえの呪われた魔力と同質のちからだとわかった以上……破談とするよりない。ロイヤルが妻を娶ることはない。呪いの魔力を、次代に継承するわけにはいかんのだ」




グリフィンの表情は、ほとんど変わりませんでした。
しかし彼は、内心では感情を落ち着かせようとして、自分の頭を押さえました。

グリフィン「……お役御免で監獄区送りとは、あまりにもレイニーを軽んじている。彼女自身がこの【放出】に納得しているとは思えません。ロイヤルのほうは、この監獄送りについて知ってるのですか」

ウルハ「あれはなにも知らん。ただの子どもだ。レイニーが自分の婚約者であったことさえ、知らんのだからな。レイニーがロイヤルの婚約者であったという過去の話を知っている生者は、わたしと、長老方と、おまえだけだ。ロイヤルには、あいつが成人したのちに伝える手はずだった。だが、いよいよ二十歳になるという時期が来てみれば、グリフィンよ、ロイヤルはおまえに連れられて、とうに屋敷を去ったあとだったというわけだ」

ウルハ・エルダーグラスは、運命を憎むように哄笑しました。




刺激臭がする紫色の液体をグラスにそそぎ、怨みをぶつけるように飲み干しているウルハを見て、グリフィンは「もしかしたら、父は酔っているのかもしれない」と思いました。ウルハが【ハーブや魔法石を酒に漬けた薬】を好むのは、一族のだれもが知るところでした。

ウルハ「……グリフィン・トワイライト。近い将来、おまえの魂の終焉が宿命づけられているのは、残酷な話だ。おまえの魔力がそのように強大なものではなく、もうすこしありふれた魔法使いであったなら……おまえにはポーラスターを娶らせるつもりだった。もしそうであったなら、おまえは永く一族をささえ、善(よ)く導いたことだろう。一族の再興も、夢ではなかったかもしれん」

グリフィンの呼吸が、一瞬止まったようでした。

彼が椅子を蹴って立ちあがらなかったこと、感情にまかせて呪詛を吐きださなかったこと。
その自制心の強さは、称賛に値しました。

グリフィン「……いま、なんと言いましたか」

ウルハ「過ぎ去った理想だ」

グリフィン「ポーラスターは、妹です」




ウルハ「ほんとうにそう思っているのか

グリフィン「…………?」

父はちらと笑って、頭を振りました。

ウルハ「いや、忘れろ。一族の伝統だ。ほんの百五十年前までは、たとえ兄妹であっても母親が異なるのであれば、婚姻は認められていたのだ」

グリフィン「旧時代の忌むべき悪習です」

ウルハ「口をつつしめ、息子よ。歴史を侮蔑してはならない。おまえは若く、その手を汚す決断をしたことがない理想主義者だ。魔法界より抹消された我ら一族を存続させるために、たったの二百八十人からなる我々がそれぞれ婚姻の相手を見つけるために、棄て去らねばならぬものがあったのだ」

グリフィン「……もう、失礼します」

グリフィン・トワイライトは立ち上がり、彼としては最大限乱暴にドアを開けて、父の書斎をあとにしました。

肩をいからせ、翼を広げた鷲のように階段を駆けおりていく若い当主を、使用人たちがあっけにとられてながめています。だれもいない廊下に出たところで、グリフィンはようやく足を止め、いま自分が閉めたドアに寄りかかりました。

グリフィンにとっては非常に珍しいことでしたが、彼はふいに気力をくじかれて、床にすわりこみました。




彼は充分に耐え、充分すぎるほど痛手を受けた。
彼にとって、この屋敷にやすらぎの場などないのです。

二分間、彼は床をながめていました。
二分経つと、まだなんとかやれるだろう、という気がしてきた。
彼は立ちあがり、またドアノブに手をかけて、生活の場にもどっていこうとしました。

その彼を見つけて、うしろから……




???「グリフィン?」

声をかけた人物がいました。




グリフィンはひどい顔色で、妹をながめました。

控えめに言っても、いま父親の次に会いたくない相手は、ポーラスターでした。彼は自分を立て直し、できる限りおだやかな声で言いました。

グリフィン「……父さんの話が終わった。おまえがひとこと知らせてくれたおかげで、服装について三十分の説教をされずに済んだ。ありがとう」




ポーラスター「…………。兄さんが言いたくなかったら、そう言ってくれていいんだけど」

妹は注意ぶかく、そう前置きしました。

ポーラスター「なにを言われたの、お父さまに。グリフィンはいま、尋常じゃない顔をしてる」

グリフィン「……………」

ああ、森よ。
彼はその口で、妹に告げねばならぬのか。

グリフィンは妹の顔を見つめ、身じろぎひとつしませんでした。

つづきます……!



今回お借りしたポーズ
新生まるきぶねスローライフ

他、たくさんのMOD・CC・ギャラリー作品のお世話になりました。
すべてのクリエイター様、ビルダー様に、心より感謝しております!
Thanks to all MODs creators and all builders!

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