こんにちはー。

本日は、また「ロイヤルと裸足の魔女編」ですー。
魔法の国で眠りに落ちた、ロイヤル坊っちゃん。ハンナ・ミナキの奇想天外なチカラを借りて「梟の刺青」の謎を解くカギに手を掛けたグリフィン。チカラを使った反動で、ぱたりと倒れたハンナ。三者三様の朝。ロイヤルの意識はまだ、目を覚ましません……。

それでは、本日もまいりましょう!




ロイヤルは、眠りのなかで夢を見ていました。
満月の下に、いつかどこかで聞いたような、張りのある男の声が流れています。

???「カドガンが死んだ。……ヴァンパイアどもが集落に火を放った時に逃げ遅れた子供を、やつはただひとり、救い出そうとしたのだ。やつは燃え落ちる柱から子供をかばい、炎の愛撫をその身に受けた。リノよ。おれは亡骸を見たのだが、もはや面影はなかった」

凛としたもうひとつの声が、感情を込めずに応じました。

リノ「フィーア王女も、片脚を失くされました」

???「知っている。王女については、隊を離脱させるより他にない。彼女自身はまだ、鞍にその身を縛りつけてでも戦場を駆け、槍を振るう気でいるようだ。しかし、姫を犬死にさせる訳にはいかぬ」

リノ「お味方の被害は甚大です。出来る限り避けたいことではあったが、やはりあなたが、御身に宿る魔力を解放するより他に道はないでしょう。あなたはいまや、人知を超えた兵器。あなたは本来、滅びの魔力を撒いて歩むだけで、一個中隊を全滅させることができるのですから」

???「そしてまた、おれは自分を抑えきれず、愛すべき者どもまでも殺すのか。大地に虚無の大穴を開け、世界に惨禍をもたらすのか」

リノ「宿命を受け入れなければなりません。あなたは世界の行く末を握る方。血のかよった者としての感情を、棄て去らねばならないのです」

…………。
……………………。


魔法の国で目を覚ましたロイヤルは、小さなあくびをして、フローズン・ヒースを見上げました。

ロイヤル「……あれ。おれ、寝てたのか?魔法のハーブについて調べてたはずなのに。そこにいるのは、ヒース?もしかして、ずっとそばに居てくれたのか?」

フローズン・ヒース「はは、大したことじゃないさ!おはよう、ロイヤル。よく眠っていた。身体の調子はよさそうだね?何か変わったことは無い?」

ロイヤル「あ……、うん。おれは別に、普通だよ。いつもより頭が冴えてるくらいだ。……そうだ。調べものの続きをしなきゃいけないな。それにしてもおれ、どうして眠ってたんだろう?」

フローズン・ヒース「何も、憶えてないの?」

ロイヤル「?」

フローズン・ヒース「いや、いい。なんでもないよ」

フローズン・ヒースはそれ以上余計なことを言わず、あとは見守ることに徹すると決めたようでした。ロイヤルは不思議そうな顔のまま本部の書庫に戻っていき、また巨大な書架に向き合いはじめましたが……

ロイヤル「…………!?なんだ。誰かが頭のなかで、本を読み上げてる……!?」

本棚に手を掛けた瞬間、彼は悲鳴のような声をあげました。フローズン・ヒースがささやかに息を呑み、その発光する身体が、緊張気味に明滅しました。


フローズン・ヒース「ロイヤル、気を鎮めて。きみが聴いているその声は、書庫がきみに語りかけ、きみを読み込んでいるだけだ!今なら、膨大な書庫の記録のなかから必要な情報をつかみ取ることができるかもしれない。きみの魔力ときみの意志が、そうさせるんだ。ロイヤル答えて!きみが探すハーブの名前は?」

ロイヤル「…………。ムラサキタグリバナ。原産は、東方。花と葉を煎じて用いる。飲んだ者の魔力を高める他、使役魔法の補助薬として、使い魔に投与することもある。根は有毒」

感情のない機械的な声で答えたあと、ロイヤルはびくりと震えて、自分の意識を取りもどしました。

ロイヤル「なんだ、今の……?どうしておれ、こんなことを知ってるんだ?」

フローズン・ヒース「心配いらない。おめでとう、ロイヤル。それがきみの探していたページだよ」

そう言われても、ロイヤルは訳が分からないという様子で、気味が悪そうに自分の胴を抱きしめていました。しかしよくよく考え、思い直して、もう一度書架に手を掛けました。

ロイヤル「今の技で、梟の刺青……魔法陣のことも調べられるかも」

フローズン・ヒース「やってみる?」

ロイヤル「ああ。ちょっとコワいけどね」

ロイヤルは目を閉じましたが、十秒後に息をつきました。

ロイヤル「……何も感じないな」

フローズン・ヒース「該当件数ゼロ。そういうことだろうね?」


こうして……、ロイヤルの「魔法の国の調べもの」は終わり、グリマーブルックのポータルに、再び……


ロイヤルの姿が、戻ってきました。

フローズン・ヒース「じゃあ、気をつけて帰るんだよ。ロイヤル!」

ロイヤル「ああ。いろいろありがとう、ヒース!モーギンにもう一度会えなかったのは残念だけど、おれがお礼を言ってたって伝えておいてくれよ?」

フローズン・ヒース「もちろんだよ!じゃあ、またいつか会おうね!」

キラキラパタパタとお別れの羽ばたきをして見せるフローズン・ヒースに、ロイヤルは手を振り……


グリマーブルックの小径を帰っていきます。

フローズン・ヒース「素直な少年だったなぁ……。むかしのモーギンに、ちょっとだけ似てたかもね?」

妖精が懐かしそうに呟いたことを、もちろんロイヤルは知りません。
バス停へ向かう道を、彼は軽快に駆けていきます。

と、そこへ。


いつかどこかで見たような魔女の姿が現れました。
いえ。正確には、走ってその場に姿を現したのはロイヤルのほうで、彼女は最初からそこに居たのですが。

ロイヤル「ぅわ。ペシミスティ・ミスティスワンプ……!

そして、彼女がそこで何をしていたのかというと……


「バーの表に据えられたゴミ箱を、魔法でふわふわ飛ばす」という悪戯をしながら、ケタケタと悪質な笑い声を上げているのでした。(とほほ)

ロイヤルは「まわれ右」しようかと思ったようですが、良心に従って声を掛けました。


ロイヤル「おはよう、ミスティ」

ペシミスティ「ノー。レディ・ミスティ!

ロイヤル「きみのおかげで魔法の国にたどり着くことが出来て、おれ、知りたかったことを知ることが出来たよ。ありがとう。きみの兄弟子のモーギンにも会えたんだ」

ペシミスティ「うむ。それなら良し。ところでおまえ、あたしが今やってることを阻止したりするんじゃないぞ?ゴミ箱だって、たまには遊びたいはずなのだ。こやつ(ゴミ箱)の身にもなってみろ。日がな一日、店の前でゴミを突っ込まれるだけの生活。たまには遊ばんと、やってられんわ。そしてあたし自身もまた、今はお楽しみ中なのだからな」


ロイヤル「はは。きみのプライベートに立ち入る気はないかな?」


せっかくバーの前を通ったのだから……
という訳でもないのかもしれませんが、坊っちゃんはお店のドアをくぐり、ごはんを食べていくことにしたようです。ロールパンでおなかを満たし……


お手洗いも済ませます。
坊っちゃんは手を洗いながら、独りごとを言っています。

ロイヤル「不思議な冒険だったな……、まだ謎は山積みだけど。朝になるまで帰れないなんて、思ってもみなかった。あー、背中がかゆい。風呂入りたいな。とりあえずストレンジャービルに着いたらすぐ、エルウィンの家に行かなくちゃ。昨夜は、トトを預けっぱなしにしてしまったし……」

鏡に向かいながら、肩をひねってガシガシと背中を掻いていると……

ふいに、坊っちゃんの身体が白い光を発しはじめます。光は音もなく膨れ上がり、また収束して……

ロイヤル「ぅえ!うそだろ!?また……!?


気がつくと坊っちゃんは、エルウィンくんのおうちの中に立っていました。
間違いなく、ここはストレンジャービルです。
背後の気配を察知して振り返ったエルウィンくんが、文字通りとびあがりました。

エルウィン「うわ!!!

ロイヤル「うわ!!!


エルウィン「び、びっくりしたぁ」

バクバクする心臓を押さえるようにしながら、エルウィンくんが言いました。

エルウィン「ロイヤルいつ入ってきて……!いやそれより、昨夜はどこ行ってたの?連絡ないから、心配してたんだよ……!」

ロイヤル「え。あ、えーと、なんかいろいろごめん……」


トト(坊っちゃん、おかえりなさいです!)

つづきます!



今回お借りしたポーズ
Andrew's Studio 様

その他、多数のMOD・CC・ギャラリー作品のお世話になりました。
すべてのクリエイター様、ビルダー様に、心より感謝しております!
Thanks to all MODS creators and all builders!

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