本日は、また「ロイヤルと裸足の魔女編」ですー。
夜、ストレンジャービルに突如姿を現したフォレスティーナ。彼女の正体を掴みつつあるロイヤルは、彼女の本当の名前「リノ」を呼び、リノはナイフを握って彼に戦いを挑みます。ロイヤルは持ち前の身体能力で彼女を退け、そして……?
それでは、本日もまいりましょう!
*
ロイヤル「トト、トト!大丈夫か!?」
ロイヤルがそう叫んで駆け寄ったのは、地下室のすみで体をこわばらせ、苦しそうに鳴いているトトを見つけたからでした。
フォレスティーナ(リノ)に勝利したあと、ロイヤルはおうちのなかをひっくり返してトトを探していました。深夜の襲撃のあと、あの忠実な小犬が姿を現さなかったので、心配していたのです。いつものトトなら、怯えながらも真っ先にリノを見つけて、坊っちゃんを守ろうと立ちはだかってくれるはずでした。
はたして、トトは地下室のすみに居たのです。そして「金縛りで身体が動かない」とでもいうように、ぬいぐるみのように身動きせず鳴き続けていたという訳です。
ロイヤル「トト、どうした……!?……これ、魔法だ。トトが金縛りの魔法に掛けられてる。おれを襲うために、フォレスティーナ……いやリノが、トトを足止めしたのか……?よっと、待ってろトト。えいっ……!」
ロイヤルはトトの背中に手を触れて、清浄な魔力を送り込みました。
ロイヤルの魔力に応えるように、トトの耳がぴょんと持ち上がり、嬉しそうにしっぽを振ります。
ロイヤル「よかった、無事で……!」
坊っちゃんはトトを抱きしめ、ようやくほっとした様子を見せました。
しかし、それもほんの一時のことで……
ロイヤル「……あぶない、気が抜けそうになった。そういう場合じゃないんだ。リノがどこへ行ったかわからない以上、どこが危険でどこが安全なのわからない。彼女はウィンデンバーグに居たはずなのに、突然ここ(ストレンジャービル)に現れた。彼女はおれみたいに、瞬間移動の魔法を使うのかもしれない。そうじゃなく、別の方法で来たのかもしれない。まだ何もわからない。彼女が襲おうとしてる標的は、おれだけか?そうかもしれない。いや、そうじゃないかもしれない。ユキ……。ユキは無事なのか……!?」
強いストレスを感じて、坊っちゃんは握りこぶしを口許に押し当てました。爪を噛み始めそうな様子に見えましたがそうはせず、地上への階段をのぼっていきます。反対の手には、トトを抱えたままです。
ロイヤル「まず、ユキの無事を確かめなきゃ……。おれの背中の魔法陣(梟の紋章)の魔力で、ウィンデンバーグにジャンプする。今この力を使わないで、いつ使うっていうんだ!……トト、おまえも一緒に来て、おれのそばに居てくれ。またリノに見つかって、おまえが魔法にかけられたらと思うと怖いんだ。……行くぞ」
ロイヤルは、自分の背中に手をまわし、息を吸って唱えました。
ロイヤル「ユキ・ベーア」
しかし、予想外のことが起こりました。
坊っちゃんがユキちゃんの名前を呼んだ瞬間、「ばちんっ!」とスイッチが切られるような音がして、痺れるような衝撃が走ったのです。
ロイヤル「痛ってぇ!」
トト(坊っちゃん!わんわん!)
以前には例のなかったことですが、瞬間移動の魔法は発動しませんでした。
坊っちゃんは相変わらずストレンジャービルのおうちの前に立っていて、足許ではトトが心配そうに鼻を鳴らしています。
ロイヤル「なんだ……?おれの魔力が、枯渇している……?…………。……まずい、目がまわってきた。……いいよ。魔法が使えないなら、別の方法を選ぶまでだ。今の時間なら、バスの最終便に間に合う。終着駅はウィンデンバーグじゃなく、途中の町までしか行かないけど、そこから歩けばなんとかなるから」
ロイヤルはそう呟いてから、トトの不安そうな様子に気がつきました。坊っちゃんの真剣な顔を見て、心配しているのです。坊っちゃんは安心させるように笑いかけ、トトのふわふわの頭に鼻をうずめます。
ロイヤル「トト、ごめんな?心配させるついでって訳じゃないけど、ウィンデンバーグまでの小旅行に付き合ってほしい。おまえだってふかふかのペットベッドで寝たいと思うけど、今夜の寝床はバスのなか。そのあと、夜通し歩くんだ」
トト(勿論、どこまでもお供します!わん!)
そして、坊っちゃんはお着替えを済ませ、必要最低限の荷物を持って出発しました。トトを抱っこしてバスに乗り込み、でこぼこ道をガタゴトゆられて……
明け方、坊っちゃんの姿は山道にありました。
バスの終着駅からひたすら歩いて、ウィンデンバーグへの道を行くのです。
ロイヤル「トト、疲れてないか?だいぶ歩いたな。水飲むか……?」
トト(ぼくは、だいじょぶです。坊っちゃんがお水飲んでくださいです。わん!)
岩陰ですわりこんで、仮眠をとります……。
おや、ここは……?
プレイヤーにとっては見覚えのあるこの小屋は、ハンナ・ミナキの配偶者であるティモ・フォーンの住居です。今はティモが早朝のアルバイトに出かけているらしく、シムの気配はありません。それはともかく、ティモの小屋があるということは、ここはもうウィンデンバーグの郊外。ユキちゃんのおうちは、まもなくです……。
そして朝日が昇るなか、坊っちゃんは待ち望んでいた場所にたどり着きました。
澄み渡った、青春の家。
魔法とも、呪いとも、ブラッドの匂いとも無縁の……ベーア家の邸宅です。
降りはじめた雨の中、坊っちゃんはポーチに立ち、ベーア家のインターホンを押しました。しかし返事はなく、続いて扉をノックします。
ロイヤル「……いない。トゥインクルが家の中から、ドアをひっかいてる様子もない。まさか、リノに襲われて……?」
坊っちゃんはトトをポーチにすわらせ、ここで番をしているように言いつけました。
そして自分は踵を返し、ユキちゃんの姿を探して街に出ていきます。
あてもなく舗道を走り、屋台の横を過ぎ、角を曲がったところで……
正面から来た女の子を見て、坊っちゃんは縫いつけられたように立ち尽くしました。
ロイヤル「ユキ……!!」
ユキ「ロイヤル!?おはよう!わたし今、ロイヤルに電話しようと思ってたところだったの!思ってた時に会うなんて、ロイヤルはほんとに、絵本に出てくる魔法使いにそっくり!」
元気いっぱい、何も変わらないユキちゃんの様子に、ロイヤルはぽかんとして……
ロイヤル「はは、はははは……!」
安心して、笑い出しました。その頬に赤みが戻り、坊っちゃんの元気が息を吹き返します。
朝が、来ようとしています。
つづきます……!
*
今回お借りしたポーズ(ロイヤルが膝を抱えてすわっているポーズ)
新生まるきぶねスローライフ 様
他、たくさんのMOD・CC・ギャラリー作品のお世話になりました。
すべてのクリエイター様、ビルダー様に、心より感謝しております!
Thanks to all MODS creators and all buildes!

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(↑ ぺしっと押して頂けると、坊っちゃんがトトにおやつをあげます。たぶん。↑)
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