今回も「ロイヤルと裸足の魔女編」ですー。
が、今回は坊っちゃん本人は出てきません。グリフィンに頼まれて、記憶の渦から「梟の刺青」の手がかりを掬い上げようとしたハンナちゃんのその後の行動を、今回は追いかけてみようと思います!
それでは、本日もまいりましょう!
*
自分の特殊なチカラを使って記憶の渦を覗き込み、資料となる書物のありかを捜し当てたハンナ・ミナキ。しかしハンナちゃんは、反動で記憶の大波にノックアウトされ、ぱたりと倒れてしまいました。
それから、どれほどの時間が経ったでしょう。ソニア姉さまにお部屋に運んでもらって、ぐっすり休んでいたハンナちゃんは、誰かが自分の背中に触れていることに気づきました。
ハンナ「誰……?」
うにゃうにゃ喋る猫のように、ハンナちゃんは寝ぼけて問いかけました。
ティモ「おれ」
ぼそりと、ハスキーな声。
離れて暮らす配偶者、野生児ティモ・フォーンがいつのまにかそこに居て、心配そうにハンナを見守っていました。ハンナちゃんはほっとしたように息をついて、かすかにほほえみました。
ハンナ「来てくれるとは思わなかった」
ティモ「来るに決まってる。ソニアが電話がくれたんだ。おまえが無茶をしたって」
とても静かにそう言って、ティモはハンナちゃんの手をきゅっと握りました。
ハンナ「でも、ティモ。海は苦手でしょ?ティモのほうが心配。あたしは大丈夫だから。……髪伸びたね。綺麗」
ティモ「綺麗ってことは無いだろ……。ただ森にこもってて、切る時間がなかっただけだし」
ハンナ「森で何をしてたの?」
ティモ「植物ハント。ウィンデンバーグの種苗店が、野生のヒナゲシをいくつか捜してるっていうから。まだ、先方の望みの大きさの物は見つけられないけどさ」
ハンナ「見つかるといいね」
ティモ「おれに森の女神の加護があれば、見つかるよ。いいから寝てなって。おれは暫くここに居て、おまえが壁際に積み上げた本でも整理してるから」
ハンナ「本の順番、バラバラにしないでね?」
ティモ「はいはい、わかってる。まったく、小学生みたいだなぁ」
ティモはハンナちゃんの頭をくしゃっと撫で、ハンナちゃんは笑って目を閉じました。
そして、再びハンナちゃんが目を覚ました時……
ティモの姿はもう、ありませんでした。
ハンナ「……ティモ、森の小屋に帰った……のかなぁ。ティモがここに居たのは、夢じゃないもん。あたしのために、とんできてくれたんだ。潮風にさらされて、平気でいられるような男の子じゃないのに。あ……、あたしの本がきちんと並んでる……けど、やっぱり順番が違うなぁ、あはは……」
(足元では、ハンナちゃんと一緒にお昼寝していたクゥが、気持ちよさそうに背伸びしています)
ソニア「ハンナちゃん、起きたの?」
お部屋のドアがノックされて、ソニア姉さまが入ってきました。
ハンナ「姉さま、心配かけてごめん。今、何時?」
ソニア「正午過ぎ。ティモくん、ついさっきまで居たのよ?お紅茶を飲んで貰って、すこしわたしとお話ししたの。お昼も食べて行って貰いたかったんだけど、そろそろ帰ると言って」
ハンナ「うん、わかってる。ティモはあんまり潮風に当たると、身体がかゆくなって、掻きむしりながらのたうち回ることになっちゃうから。ひどい時だと寝込んじゃうし。あたしの看病に来てくれたのに、ミイラ取りがミイラになったんじゃ目も当てられないでしょ?」
ハンナちゃんは、あっけらかんと笑いました。
ソニア「そうね。だから一応、ティモくんが帰る前に、うちでシャワーを浴びて行ってもらったの。それと、さっきおうちに不思議な電話が掛かってきたよ?」
ハンナ「?」
ソニア「わたしが電話を取ったら、相手のシムはすこし驚いたみたいだった。若い男性の声で、ミナキの遠い親戚だと名乗ったけど、自分のお名前は言わなかったの。ハンナちゃんの具合が悪いことを知っていて、すこし沈んだ口調だった。ハンナちゃんに代わりましょうかと言ったら、別にいい、起こさないでほしいって。そして、ハンナちゃんに伝言。【おまえがそれを望まないことはわかっているが、すまなかったと言わせてほしい。思い返してみれば、おまえは見た目より他者に気を遣うシムだった】って」
ハンナ「グリフィンだ」
枕もとに置いてあったチョコレートのアルミ箔を剥きながら、ハンナちゃんがあっさり断定しました。
ソニア「グリフィンって、ノド・ミナキの子孫である御一族の男の子?そっか。確かに、遠い親戚だね。ハンナちゃんの子供時代のお友達だって、前に教えてくれたよね?」
ハンナちゃんは頷きましたが、グリフィンからの依頼で記憶の渦を覗いたという事実については、今はまだ黙ってることにしました。ハンナちゃんから得た情報を使ってグリフィンが何をしようとしているのか、ハンナちゃん自身まだ知りません。そうすることが必要と判断すれば、彼はハンナちゃんにいつか、すべてを報告してくれるでしょう。確かなことがわかったあとでソニア姉さまにも話そうと、ハンナちゃんはそう思ったのです。
ハンナ「そう。あたしの最初の友達の、グリフィンとロイヤル。でも、念のため訊いておこうっと。その電話の相手って、独特の声だったでしょ?はい姉さま、チョコレート」
ソニア「うん、独特の声だった。そして、歌ったら綺麗だろうなと思う声。夜の荒野に響いてゆく、大きな黒い鐘の音(ね)のような」
ハンナ「百八十パーセント、グリフィンだ。姉さまにもいつか会わせたいな。いい子なんだよ。あと、彼が沈んだ口調なのはいつものことだから、あんまり気にすることないと思う。むしろ彼は、何を言う時でも声色があんまり変わらないのがクセモノで。感情があんまり出ないんだよね。……グリフィンってば、あたしの携帯電話に掛けるとあたしを起こしちゃうと思って、わざわざおうちに電話くれたのかなぁ」
ソニア「ふふ。それは確かに、とても優しいね?」
ハンナ「…………。うん、みんな優しい……。あーあ、ティモにもグリフィンにも姉さまにも、心配かけちゃったなぁ!コハクが学校行ってて居なかったのが、せめてもの救いだった!」
ソニア「ねえ、ハンナちゃん。ハンナちゃんは頑張り屋さんだけど、そんなにスーパーマンを演(や)る必要はないんだよ?さあ、もうちょっとゆっくりしててね。わたしはカモミールティーを淹れてくるから」
…………。
穏やかなお昼の空気を感じつつ、つづきます……!
*
今回お借りしたCC・ポーズ
電話機
Il clan di Mo 様
ハンナ・ティモのポーズ
Howondaland 様
ハンナのあくびポーズ
Sandy-sims. 様
グリフィンのポーズ
Kiruluvnst 様
その他、多数のMOD・CC・ギャラリー作品のお世話になりました。
すべてのクリエイター様、ビルダー様に、心より感謝しております!
Thanks to all MODS creators and all builders!
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