こんにちはー。
本日は、また「ロイヤルと裸足の魔女編」ですー。
ある日「リノの身体に意識を取り込まれる」という不思議な現象を経験したロイヤル。リノとロイヤルが一心同体になっていたのは、ほんの数分でした。再び、おうちで目を醒ましたロイヤルの許に、父親から火急の知らせが届きます……。
それでは、本日もまいりましょう!
*
ロイヤルの父親・ウルハが送ってきた電報には、驚くべきことが書かれていました。
【ポーラスター倒れる。連絡乞う】
印字された文面を三度読み直し、ロイヤルは目をこすりました。
ロイヤル「おれの目が変になって、読み間違えてる訳じゃないよな……?だって、姉さんが屋敷に帰ってからも、おれたち何度も電話で話して……姉さんはいつも、あんなに元気だったじゃないか!」
まさに、青天の霹靂。
あまりにも思いがけない出来事が降りかかるとシムは、それが現実のことなのか、疑いたくなるものなのかもしれません。ロイヤルは「とすん」と椅子にすわったり、また立ち上がったりを繰り返しました。それから、握りこぶしを口に押し当てて、何かブツブツ言いはじめました。
ロイヤル「そうだよ。姉さんは元気だった……!」
ロイヤル「これが、もしグリフィンなら……自分の魔力に呪われてるグリフィンのほうが身体を壊したっていう話なら、まだ納得できた。でも姉さんは、馬に蹴飛ばされても倒れないくらい頑丈なんだ。でも、もしかしたら……?もしかしたら姉さんは、身体の具合が悪いことを隠していたのか?おれが姉さんやグリフィンに、自分の身体のことを黙ってたのと同じように……姉さんも何か病気を隠してた……?おれを、心配させないために……?」
愛情深く温かな心の持ち主であるポーラスターなら、それはありそうなことでした。少なくとも、ロイヤルはそう思いました。
ロイヤルは覚束ない足取りで、自分の荷物のところまで歩きました。リュックサックから携帯電話を取り出し、電源を入れます。グリフィンから電話が掛かってきた際に、逃げるように電源を切って以来、ロイヤルが通信手段をオンにするのは初めてでした。
冷静に、冷静に動こうと努めながら、ロイヤルは実家……お屋敷の電話番号に掛けようとしました。しかし、上1ケタの数字を打ち込んだ時、彼の指は金縛りにあったかのように、動かなくなりました。
まずい、と思った次の瞬間、
ウルハ(ロイヤル、我が息子よ。おまえには、力がない)
いつかずっと昔に聞いた父の言葉が、激しく反響しながら、耳に甦りました。ロイヤルの鼓動が速くなり、身体は蛇に睨まれた蛙のように凍りつきました。
ウルハ(諦めるのだ。空の高みを目指して羽ばたいても、おまえの翼では、丘の峰さえ越えられない。強大な魔法を修得し、知恵の深淵を覗き込むにしては、おまえはあまりに無能に出来ている。おまえは自分を知り、自分の人生を歩むべきだ)
ロイヤル「イヤだ」
カラカラに乾いた喉で、ロイヤルはそう呻きました。
ええ、そうです。ただ昔のことを思い出しているだけなのに、まるで目の前に、父親その人が立っているような感じがします。記憶のなかから姿を現した父は、冷酷で、ひどく恐ろしい存在であるように、ロイヤルには思われました。
ロイヤル(どうして、こんな時に思い出すんだ。こんなの、子供の頃の出来事じゃないか。父さんが恐ろしくて電話を掛ける手が止まるなんて、おれはそんな弱虫じゃないはずなのに……!本当に姉さんが心配なら、電話を掛けるくらい、なんでもないはずなのに!おれは結局、自分がいちばん大事なのか……!?)
普段はうまく隠しおおせていることですが、実際のところロイヤルは、これほどまでに父親を苦手に思っていました。そこに「姉が倒れた」という知らせが与えたストレスが加わって、彼の恐怖は【夕暮れ時の影法師のように】途方もなく巨大化してしまったのです。
電話番号を途中まで打ち込んでは消し、打ち込んでは消し……
ついにロイヤルは、機械的にその数字列を入力しました。ギュッと目をつぶって、何も考えないようにして、通話アイコンをタップします……!
呼び出し音が3コール。
そして電話が取られ、無感動だがよく響く声が応じました。
???「もしもし」
その男が応答するとは思っていなかったので、ロイヤルは新しいめまいを覚えました。凝り固まった下顎をムリやり動かして、少年はともかく答えました。
ロイヤル「……もしもし、グリフィン。おれだよ」
つづきます……!
*
今回のポーズ
SSの3枚目(ポーラスター、イメージ)
以上1枚のポーズは、
新生まるきぶねスローライフ 様
よりお借りしました。
SSの6枚目(頭を抱えるロイヤル)
以上1枚のポーズは、
akuiyumi 様
よりお借りしました。
尚、SS7枚目(グリフィン)のポーズは、自作です。
受話器accは、Moo様よりお借りしております。
今回も、たくさんのMOD・CC・ギャラリー作品のお世話になりました。
Thanks to all MOD/CC creators and all builders!
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