本日は、また「ロイヤルと裸足の魔女編」ですー。
ひょんなことからリノの身体に取り込まれ、リノの目で世界を見ることになってしまったロイヤル。彼女とユキちゃんの会話を聞いたロイヤルは、ユキちゃんの無垢な想いを知ることになります。しかし直後、洗い物をしていたユキちゃんの頭上に食器の山がくずれ落ちる、という危機が訪れて……
それでは、本日もまいりましょう!
*
ユキちゃんが床に落ちたフォークを拾おうとした時……彼女の頭上に積み上げられていた食器(洗う必要のない、清潔なもの)が、傾きました。
ロイヤル「ユキ!」
ロイヤルの悲鳴は、リノの内側の暗闇に、むなしく霧散しました。
驚いた顔で見上げるユキちゃんに、陶器が雨のように降りそそいでいきます……!
…………!!
…………!!
きらびやかなまでの破砕音が響きわたり、粉々になった器があたりに散らばりました。ユキちゃんは頭を手で庇いながら、うずくまっています。
ロイヤル「ユキ、ユキ……!」
ロイヤルが必死に呼んでも、ユキちゃんには聞こえません。
ユキちゃんはおそるおそる目を開け、自分の手足を見下ろしました。そして、驚きに目をみはりました。ユキちゃんの身体は、すり傷ひとつ負っていなかったのです。
いつの間にそこに居たのか……、ユキちゃんを守るように、かたわらにリノ(フォレスティーナ)が跪いていました。リノはユキちゃんの頭上に、手をかざしていました。
ユキ「フォレスティーナ!?まさか……!!」
自分の代わりに、リノが陶器の雨を浴びたのではないか?そう思って、ユキちゃんは蒼白になりました。しかし、リノはほほえんで首を振りました。
食器がなだれ落ちた時、駆けつけたリノはとっさに、ユキちゃんの頭を手で覆いました。降りそそいだお皿はリノの手に……いいえ、正確にはリノの手から発せられた波動に弾かれました。そして、見えない壁にぶつかったかのように向きを変えて、別の方向に吹き飛んだのです。
リノ「これが……」
いつになく低い、不思議な声音で、彼女は言いました。
リノ「これが、わたしのもうひとつの魔力です。盾のチカラ、防御の魔力。このチカラと、空間を飛び越える【紋章】の魔力。ふたつを使い、わたしはあるじを守ってきました。……こちらの世界に来ても役に立つとは、思っていなかったが」
ユキちゃんは吸い込まれるように、リノを見上げています。
リノのなかに閉じ込められているロイヤルは、胸をなでおろしました。同時に、合点がいきました。
以前、ストレンジャービルのロイヤルのおうちに、リノが突然現れたことがあります。そしてロイヤルは、リノと激しく争うことになったのでした。
あの時、ロイヤルが力任せに投げたテーブルは、どういう訳かリノにあたらず、わきのほうへ飛んでいきました。あの闘いの時もまた、彼女は目に見えないチカラを振るっていたのです。
ユキ「あ……ありがとう」
思いがけずナイトに助けられたお姫様のように、ユキちゃんは素直に言いました。リノの手を借りて、立ち上がります。
リノ「……どんなチカラにも、使い道があるものですね。こちらの世界……闘いのない平和な世界では、無用の長物だと思っていました。ユキを守れたなら、まあ良しとしましょう」
いつになく柔らかい表情のリノを感じて、ロイヤルもほほえみました。彼は自分でも気づかぬうちに、声に出して言いました。
ロイヤル「……そうだな。ありがとう、リノ」
ぴくり、とリノの肩が動きました。彼女は髪をひるがえして振り返り、お部屋のすみの空間を見つめました。
リノ「ロイヤル?やはり……居るのですか?」
ユキ「…………?どうしたの、フォレスティーナ……」
今まで何をしても、ロイヤルがここに居ることに気づいてもらえなかったはずが、リノは唐突に彼を呼びました。そのことに動揺して、ロイヤルは彼女の内側であとずさりしました。
途端に、ばちんっ!という音がして、ロイヤルの頭に、痺れるような衝撃が走りました。目を塞がれたように何も視えなくなり、聴こえなくなり、そして……
気がついた時、ロイヤルは、ストレンジャービルのおうちに戻っていました。
ロイヤル「痛てて……。何だったんだ……?」
一方その頃、ウィンデンブルグの小屋では……
ユキ「フォレスティーナ、ロイヤルがどうかしたの……?」
リノ「……いいえ、なんでもありません」
そう言った彼女の足許には、
彼女が【花の一族】の女である証……彼女から芽吹く「魔力を帯びた花」が、散り敷かれていました……。
つづきます!
*
今回のポーズ
SSの2枚目(ユキちゃんとリノ、それぞれ)
以上のポーズは、
akuiyumi 様
よりお借りしました。いつもありがとうございます!
SS3~7枚目のポーズは、自作です。
SS3~7枚目のポーズは、自作です。
また、今回もたいへん多くのMOD・CC・ギャラリー作品のお世話になりました。
Thanks to all MOD/CC creators!
にほんブログ村
0 件のコメント:
コメントを投稿