こんにちはー。
本日は、また「ロイヤルと裸足の魔女編」ですー。
お屋敷を追われそうな少女・レイニーを助けるため、グリフィンは「レイニーの母・レオノーラ」の物語を解明してしてゆきます。レオノーラはグリフィンの父親の妹、と言われていましたが、そうではありませんでした。彼女は、二百九十年ほど前に生まれた「長命の魔女」だったのです。そして、長い物語の主人公は、娘のレイニーに移ります……。
それでは、本日もまいりましょう!
*
グリフィン「おれの父・ウルハが屋敷にレオノーラを招いた時……彼女の横には、彼女そっくりの子供が立っていた。レイニー、それがおまえだ」
レイニー・クレイフィールドは身体を硬くして、唇を引き結んでいました。
グリフィン「おまえが屋敷に来てまもない頃、子供たちは珍しがって、おまえの部屋を覗こうとしていた……レオノーラの手記に、そう書かれてる。だが、おまえはドアを開けなかった。おまえは大人たちによる、別の興味にも晒されていたからだ」
グリフィン「大人たちは、こう考えてた。【レイニーは、当主とレオノーラの間に産まれた子供なのではないか?】【レオノーラは、当主の十三人目の妻として迎えられるのではないか?】……真相は違ってた。レオノーラは、親父の……当主ウルハの気に入りの実験体。そしてレイニー、おまえはレオノーラの【代替品】だった」
一瞬の躊躇もなく言い切ったグリフィンは、ある種の残酷さを帯びていました。それとも彼は、躊躇と優しさを振り切ろうとして、あえて強く、その言葉を口にしたのでしょうか……?
グリフィン「おまえは、レオノーラの爪のカケラから生まれた。文字通りの意味でだ。十八年前、実験室のガラス管のなかに、赤んぼうだったおまえは居た。レオノーラとまったくおなじ身体を持つ、もうひとつの実験体として……おまえは目を醒ましたんだ」
レイニー「…………。はい」
レイニーは俯いたまま、その事実を肯定しました。
グリフィン「おまえが、そんなに親父の実験に協力的なのは……自分が【実験のために生まれた】と、信じてるからなのか……?」
思いがけず穏やかに、グリフィンはそう尋ねました。
レイニー「…………」
グリフィン「最初の数年……おまえが【少し大きな子供】になるまでの数年間、おまえはそれでも大切に育てられた。おまえはレオノーラのように【成長がゆっくり】ではなく、他のシムと同じ速さで背丈を伸ばした」
グリフィン「七歳になった時、おまえは被験者として実験用ベッドに上がるようになり、九歳でレオノーラを亡くした。レオノーラが亡くなったのは、単に歳をとりすぎたためだった……最期まで、彼女は若い女の姿のままだったそうだが」
レイニー「おかあさんは、綺麗でした……」
ふいに、憧れのようなものを滲ませて、レイニーが口を挟みました。
グリフィン「写真を見た。おまえは似てる」
レイニー「わたしは……試作品であり、失敗作なのです。わたしは、不老の特性を受け継ぐことができなかった。おかあさんとは違います……」
グリフィン「…………」
少女を見定めるグリフィンの眼差しは、心の奥底まで覗き込むかのようでした。
グリフィン「……死期が近づいた時、レオノーラはおまえを案じた。実験体として生まれたおまえが、将来粗末に扱われるのではないかと。それで彼女は、ウルハに手紙を書こうとした。【我があるじよ、あなたの愛情を信じています】……ただ、それだけ。続きを書く前に、彼女は亡くなった」
レイニー「…………」
グリフィン「お前はその後も実験卓(じっけんたく)に上がり続け、そして身体を壊した。今、使い道がなくなったおまえを、親父は監獄区に送ろうとしてる。……意外だったことがある。親父は実のところ、おまえを屋敷に置いておくことが出来るよう、方法を探してたという形跡があるんだ。だが、元々レオノーラでさえ、周囲に白い目で見られながら、親父がムリに連れてきた女だ。その女から生まれたおまえは、一族の者たちにとって、望まぬ荷物以外の何ものでもない。……親父は、一族の者たちからの、目に見えない反抗に負けたんだ」
父に対する言葉は強く、酷薄でした。
レイニー「……仕方のないことです」
むしろ、凛として現実を見つめるように、レイニーは言いました。
グリフィン「親父は、闘うべきだった。責任を果たすべきだった。自分の身の破滅など恐れずに。おれならそうする」
感情のこもらぬ声で、グリフィンは痛烈に断じました。彼の持つ【オオカミのような部分】が、静かに牙を剥いていました。
グリフィン「本当は、道はあったんだ。……ここにレオノーラが遺した、もう一通の手紙がある。彼女は二百五十年前に……レイニー、今のおまえを救うための言葉を書いていた」
レイニー「…………!?」
つづきます……!
*
今回のポーズは、すべて自作です。
今回も、たいへん多くのMOD・CC・ギャラリー作品のお世話になりました。
すべてのクリエイター様に、心より感謝しております!
Thanks to all MOD/CC creators and all builders!
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