こんにちはー。
本日は、また「ロイヤルと裸足の魔女編」ですー。
四百五十年前の時代を生きた「リノ・ミナキの息子」は、どんな人生を送ったのか?そのことを調べるロイヤルの前に、リノの幻(?)が現れます。彼女を追った結果、ロイヤルは一瞬のうちに、ウィンデンブルグの小屋に飛ばされてしまいます。そして、彼の身体は「半透明の気体」のようなものに変わってしまっていたのでした……。
それでは、本日もまいりましょう!
*
窓ガラスに触れた途端、ロイヤルの身体は一瞬にして「気体めいた半透明」に変わり……気がつくと、見慣れた場所【リノの小屋】に浮かんでいたのでした……。
ロイヤル「…………。え?」
ロイヤルは自分の手を見下ろして、間の抜けた声を出しました。ロイヤルの掌は色ガラスのように透けていて、その向こうにある地面の草を映しています。
ロイヤル「……死んだのか、おれ?」
妙に落ち着き払った振舞いで、彼はそう言いました。あまりにも思いがけないことが我が身に降りかかると、シムはかえって冷静になってしまうのかもしれません。
小雨が降り始め、風が吹き抜けました。
大気のかたまりに押されて、ロイヤルは雲のように吹き流されそうになりました。風向きの関係で、小屋の外壁に叩きつけられそうになります。しかし、透明になってしまった(?)ロイヤルは、またも壁を突き抜けて、建物のなかに頭を突っ込んでしまいました。
ロイヤル「ぅ、わ」
視界がぐるぐると回転し、玄関わきの荷物の山や壁、ドア、なぜか天井まで見えたあと……背中を向けて立っている彼女が見えました。
すると、ロイヤルの身体はグイッと引き寄せられ、またもや彼女のなかへと吸い込まれてゆくのでした……。
まばたき一回分の空白があって、ロイヤルはリノになっていました。【自分はロイヤル・バーンウッドだ】という意志は残っているのに、姿はリノ・ミナキ。リノは変わらず、そこに立っています。
???「……どうしたの?フォレスティーナ」
穏やかな声がして、ロイヤル(リノ)は、ハッとしました。すぐそばにユキちゃんが居ることに、ロイヤルはこの時初めて気づきました。
リノ「……いえ、なんでもありません」
ロイヤル(リノ)の唇がひとりでに動き、リノの声でそう言います。
ロイヤルがそうしようと思っている訳ではないのに、彼女の……リノの瞳が左右に彷徨い、彼女はひじを掴みました。
リノの身体には今、彼女自身の魂とロイヤルの魂……ふたつの心が入っているのでしょうか?かすかに肩を震わせた彼女は、もしかしたら自身の身に何かしらの異変を感じ取っているのではないか?動揺しているのではないか?ロイヤルには、そう思われました。
ユキ「……何の話をしてたんだっけ。そうそう、わたしたちの世界では【真っ白なお砂糖】は珍しくないんだ、っていう話。お菓子を作る時は、その白いお砂糖を使うことが多いんだよ?」
リノ「なるほど。……驚くほど鋭く、強い甘みです。わたしが焼いた珍しくもないケーキが、まるで別の味になっている」
自分は、何か夢を見ているのではないか?
ロイヤルは、そう思いはじめていました。以前にも、リノになる夢を見たことがあります。その夢のなかで、ロイヤルはリノの正体を掴んだのでした。
ユキ「わたしは、フォレスティーナが四百五十年前に使ってたっていう【雑味のある】お砂糖にも興味があるよ?あーあ、ウィンデンブルグの雑貨屋さんにはいろんなお砂糖が並んでるけど、フォレスティーナのお砂糖も無いかなぁ……はぁ」
ユキちゃんは頬杖をついて、ため息を洩らしました。
リノ「元気がありませんね……。ロイヤルのことを考えているのですか?」
とつぜん自分の名前が出てきたので、ロイヤルは飛び上がるほど驚きました。
ユキ「……う、ん」
ユキちゃんは、あいまいな返事をしました。
ユキ「ロイヤルのことと……あなたのことを考えていたんだよ、フォレスティーナ」
リノ「わたしの」
ユキ「うん。……わたし、ロイヤルを失いたくない。そのためなら、なんでもしたいって思う。でも、だからってフォレスティーナが消えてしまうのはイヤ。自分が欲張りだなんて思わないよ。わたし、ふたりが助かる方法を探して、ウェブで検索してみたの。コンピューターは得意だから、結構アンダーグラウンドなところまで潜ったんだよ?でも、魔力のことを書いてあるサイトなんて無かった。……フォレスティーナ、あなたはこんな毎日でも、とても落ち着いてるように見える。何も恐れてないように見える。ロイヤルもあなたも、どうしたらいいかわからないはずなのに」
リノ「諦めは、人(シム)を穏やかにします」
ユキ「諦めた?では、フォレスティーナは今、本当は何を望んでいるというの?」
リノ「…………」
リノは静かな瞳で、少女を見つめました。
リノ「愛しているのですか、ロイヤルを」
ユキ「…………!」
予想もしなかった言葉に、ロイヤルもまた、リノの内側で顔を上げました。不思議な言葉に触れたとでもいうように首を傾げ、目をみはります。
しかし、彼の器となっているリノ自身は表情を変えず、ただ穏やかに、ユキちゃんの答えを待っていました……。
つづきます!
*
今回のポーズは、すべて自作です。
(SS6枚目:リノの手、SS9枚目:ユキちゃん、SS10枚目:リノ)
また、今回もたいへん多くのMOD・CC・ギャラリー作品のお世話になりました。
Thanks to all MOD/CC creators and all builders!
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