年賀状作業がだいたい終わって、ホッとしているプレイヤーこと管理人つまり私でございます。お変わりございませんか?
今回は「呪いを解くカギを探す兄弟」編の最終話(ひとまず)です!いい具合の話の切れ目が見つからなかったため、いつもよりやや長めの記事となっており恐縮です。もしよろしかったら兄弟の「旅の終わり」をご一緒に見届けて頂けると、とても嬉しいです。
【最終章・目次】
第一話 こちらです。
第二話 こちらです。
第三話 こちらです。
第四話 こちらです。
それでは、本日もまいりましょう!
*
(ヴェルヴェットの話を聴くロイヤルの動揺が激しく、上着を脱いでお水を飲んで休みました)
ヴェルヴェット「ロイヤル、わたしとすこし話しましょう」
ロイヤル「……うん」
ヴェルヴェット「ロイヤル、あなたはご自分の心のなかにグリフィンへの妬みがあることに気づいていて、ご自分の無垢を疑っていた。あなたはとても小さかった頃、グリフィンの髪の毛を飲んで魔力を得たはず。なぜそんなことをしたのか、その本当の理由を憶えていないの?」
ロイヤル「それは……おれには魔力がなくて、そのせいで母さんが責められたから。魔力があれば母さんを助けられるって、赤んぼながらに思ったんだと思う」
ヴェルヴェット「あなたがそう言うのなら、それがあなたの物語。でも、よく思い出してみて」
ロイヤル「…………」
ヴェルヴェット「ならば……ここで、ずっとあとになってから先代ヴェルヴェットが見つけだした研究成果を話しましょう」
ヴェルヴェット「『ライオネル・トワイライトを祖とするノーマン家の魔力は、他のシムを外側から害することはない』」
グリフィン&ロイヤル「?」
ヴェルヴェット「おかしいとは思わない?ライオネルを継ぐグリフィンの魔力は呪われていて、グリフィンのそばに居るシムを侵食する。誰もがそう思っていた。だが、実際にグリフィンの魔力に呪われているのは、ロイヤルただひとり。ずっとそばに居た他のシムたち……グリフィンを身籠っていた時のディアナ様でさえ、呪いなど受けたことはなかった」
ヴェルヴェット「そして、主に魔法使いたちの間で見られる特有の現象……。瞳が紫色に染まる不思議な疾患は、シムが他者の魔力を飲食によって取り込み、身体の内側からその魔力に汚染された時に起こるとわかってきた」
ロイヤル「…………!?」
(ロイヤルの瞳は、紫色です)
ヴェルヴェット「わかってみれば、簡単なこと。ロイヤルは、グリフィンの隣でその魔力を浴び続けていたから汚染されたのではない。グリフィンの髪を飲んで、体内に食い込んだその数本によって汚染されたのだということ。このふたつは似ているようで、決定的な違いがある」
ヴェルヴェット「第一に、隣に居ても汚染されないのであれば、グリフィンを隔離する必要はない。そして、ロイヤルがグリフィンと一緒に居続けたところで、これ以上汚染が進むこともない」
グリフィンの瞳に、ほほえみのような色が覗きました。気性の優しさに反して、いつも厳しい顔つきをしていたグリフィンが、今ではずっと強く、ずっと穏やかに見えました。
ヴェルヴェット「第二に重要なのはもちろん、幼い頃のロイヤルがご自分で選択してグリフィンの髪を飲んだということ。小さなロイヤルが精一杯考えて選んだ結果、ロイヤルはお兄さんの魔力を盗み、お兄さんとまったく同質の魔力を得た。ロイヤル、あなたはそうして、お兄さんと同じ『呪われた魔法使い』となり、グリフィンがひとりぼっちになってしまうことを防いだ。ロイヤル、あなたのお陰でグリフィンは、決して孤独ではなかった」
ロイヤル「そんなの偶然だよ……。わかっててやったことじゃない」
ヴェルヴェット「そうね。あなたがそう思えば、それがあなたの物語」
ロイヤル「違う……違うんだ。おれが覗き込まきゃいけないのは、グリフィンを羨ましく思ってたおれの心だ。母さんのことだけじゃない。本当は、グリフィンと入れ替わりたかった!おれは幼かったあの日、グリフィンの魔力を根こそぎ奪い取り、自分のものにしたかもしれなかったんだ。おれにそうするだけの力がなかっただけで、本当はグリフィンの才能をすべて喰い尽くしてしまいたかった。おれは、自分が一度はそう思ったということを、自分で認めなきゃならない。もしそれを認めないのなら、この先に進むことなんて出来やしないんだ……!」
ヴェルヴェット「おめでとう、ロイヤル。あなたはついに辿り着いた。カギはすでに差し込まれ、扉に手が掛けられた」
グリフィンとロイヤルはそれぞれの想いで、互いの瞳を見つめました。互いの心を知り、自らの心を見つめた今、ふたりの間にあるもの・ふたりの結びつきの形に変化が訪れていました。ふたりはどちらともなく、腕を差し伸べました。ロイヤルは一度目を伏せましたが、恐れはしませんでした。ふたりの指先と指先が触れ合いました。
その時、ふたりの間の空間で銀色の光が膨れ上がり、音を伴わない大爆発を引き起こしました。
グリフィン&ロイヤル「…………!!」
シャーロッタ「グリフィン様!ロイヤル様!」
ディセンバー「シャーロッタ!?無事だな!?」
光の奔流が収束した時、ヴェルヴェットはすでに立ち上がっていて、朗々とした声で呼びかけました。
ヴェルヴェット「お待ちしておりました。ノーマン家第二十七代当主、グリフィン・トワイライトよ。その身を滅ぼされる運命を負いながらも、魂のくびきを打ち砕いた者。そして、ロイヤル・バーンウッド。トワイライトの魔力に魅入られながらも、かの魔法使いの真の友人となった者。あなた方こそ、ノーマン家の本当の呪いを解いた、最初の後継者です」
グリフィンとロイヤルは顔を見合わせ、かすかに笑いました。
グリフィン「導いたのはあなただろう、ヴェルヴェット」
ヴェルヴェット「選び取ったのは、あなた方自身です」
(まもなく、夜が明けます)
ヴェルヴェット「しかしまァ派手な覚醒、長い髪ですね。髪は魔力の放出機関ですから仕方ないのだが。ロイヤル、お兄さんが振り向いた時にそばに居ると、髪でひっぱたかれますよ?ディセンバーの妹のシャーロッタ、彼の髪を梳いて、カットしてやってくださいね?」
シャーロッタ「は、はい……!」
ロイヤル「はははは……!」
さて……。兄弟の物語が、ひとまず完結しました!
その肉体の呪いが解かれることはないとしても、生き方を選ぶことはできると、ヴェルヴェットは言います。
次回はエピローグ。
残った謎と問題(?)が結局どうなったのか?というエピソードをお届けしたいと思います。本日もお付き合い頂き、ありがとうございました!
つづきます!
*
今回のポーズは、自作です。
ひたすら修正の日々です!
また、長髪版グリフィンの髪型は
Nightcrawler Sims 様(TSR)
よりお借りしました!
すべてのMOD・CCクリエイター様に、心より感謝しております!
Thanks to all MODS creators!
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